JAXA iが閉館

「JAXA i」閉館の取材に行ってきた。記事はすでにマイコミジャーナルに掲載されている。

【レポート】「JAXA i」が6年の歴史に幕 – ファンに惜しまれながらも仕分けで閉館に

記事中に、閉館時の様子を撮影した動画も載せたが、このロングバージョンをYouTubeにアップした。舘広報部長の挨拶が全部入っているので、見てもらえればと思う。

今回はJAXA i閉館の記事だったので、その前に行われていたトークショーの内容については割愛させてもらったのだが、もったいないのでここで簡単にまとめておきたい……と思うのだが、いまちょっと時間がないので、それは後で追記したい。

とりあえずここでは、トークショーの後に10分だけ時間があった囲み取材でのやりとりについて、抜粋だけ掲載しておきたい。

ーーー

Q 閉館についての感想は?

A 立川
はやぶさとほぼ同じ期間だったので感慨深いものがあるが、我々は国民に理解してもらうのが重要。今後も何らかの格好で、PRの場は設けていきたい。筑波もそうだが、各事業所にこういうのをもっているので、展示をうまく活用して、いかにお金をかけないでやるかと考えていきたい。

A 川口
JAXA iを本当に閉じていいのかなという思いは正直ある。やはり気楽な気持ちでふらりと来て、宇宙開発の最前線に触れられる場所があるのは、何ものにも変えられないと思う。大臣も、これがはやぶさの後に議論があったらまた違っていたのでは、と悔しがっていた。本当にタイミングなんだと思う。それが悔しい。

A 星出
個人的にもJAXA iの方々にお世話になり、東京事務所に来る度に顔を出していた。今日もこれだけ多くのお客さんが立ち見で話を聞いてくれた。非常にアクセスのいい場所にあって、こういう形で宇宙開発の話を聞いてもらえる場は非常に貴重だった。JAXA iが閉鎖されるのは非常に残念だが、今後は筑波宇宙センターや各所の展示をご覧頂きたい。

Q これからの広報の課題は? 理解を得るための戦略は?

A 立川
まず具体的なプロジェクトがそれぞれ成果を出すこと。はやぶさがそのいい例だろう。それぞれが見えるような格好になれば、みなさんの理解も深まる。今回、はやぶさの知名度はかなり高くなったし、それによって宇宙開発もだいぶ知れ渡った。JAXAの名前も浸透した気がする。

我々は1つ1つのプロジェクトを完遂していく。それがこれからの課題になる。

Q 新しい展示施設を作る予定はないのか?

A 立川
今のところはない。筑波にいい展示館がある。筑波までは45分。

常設ではなくて、その時々に応じてイベント会場でアピールをするという手もある。人がたくさん集まるところを選んでやることになるだろう。PRはたくさんの人に、いかに浸透するかが重要。そういう発想で考えないといけない。だから土地代が安いところに作っても人が集まらないと意味はない。そう考えている。

Q 子供達にはいい場所だった。説得できなかったのは残念か?

A 立川
残念だと思うが、でもそういうとすぐ「東京だけか、地方の子供達はどうする」と言われるので、そういう言い方もなかなか難しい。我々としては今から全国行脚もしようと考えている。タウンミーティングのときには必ず展示もやっているが、いかに経費をかけないでたくさんの人に見てもらうか。

できれば展示も実物を見てもらいたいが、なかなか持って行けないものもある。はやぶさのカプセル展示でも結構苦労した。全国をまわるには時間もお金もかかる。お金をかけないでPRするのはなかなか難しい。我々はそれをこれから模索しなければならない。

Q 事業仕分けについて。プレゼン能力が問われた部分があるがどう思うか?

A 立川
仕分け自身は悪いことではない。会社では当然、途中でチェックして駄目なものは止める。民間ではそういうことをやっている。官僚の世界ではそれがあまりなかった。そこに目を付けた、その点は良かったが、そのときの判定根拠がいろいろあるべき。もう少し、本当に必要かどうかという視点で見てもらえたら良かったという気はする。

Q 技術者としては事業仕分けのやり方に温度差も感じたか?

A 川口
目先の費用対効果を見ている気がする。そういうと怒られるかもしれないが。

はやぶさのカプセルはこれから1~2年かけて全国をまわっていくが、どこかに恒久的な場所を作れないか。アメリカにはスミソニアンがある。日本には未来館や科学博物館もあるが、もっと日本が発信しているものがよく見える場所があればいいと思う。そういう場所が日本には少ない。

科学技術を大事にするのであれば、そういう場所こそ作って欲しい。箱物を作れと言っているわけではないが、次世代を育てるためにはそういう施設が必須だ。

A 立川
アメリカでいうとスミソニアン。あそこにシャトルもある。日本も歴史的なそういう遺産は残すべき。あのカプセルは歴史的遺産。

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あかつき・記事の補足

金星探査機「あかつき」に関して、JAXAで記者会見があったので取材してきた。記事はすでに書いてマイコミジャーナルに掲載されている。

【レポート】金星探査機「あかつき」は推進系の異常か – 原因が徐々に明らかに

今回、JAXAからは宇宙開発委員会の調査部会に提出する資料として、かなり詳しい情報が出てきた。いろいろと興味深いことが書いてあるので、ぜひ目を通してもらえればと思う。JAXAの以下のページからダウンロードできる。

「あかつき」の金星周回軌道投入失敗の状況について

本当は記事でもこの内容を詳しく紹介したかったのだが、今回の一連の「あかつき」記事では、私は「初心者にも分かりやすく、かつ詳しく」を特に心がけていたので、ちょっと範囲を超えているかと思って、深くは触れなかった。今までは、ある程度分かっている人向けに書いていたところがあって、基本的な説明などはかなり端折っていたのだけれど、はやぶさのおかげもあって、最近になって興味を持ってくれた人も多いようなので。

というわけで、記事には書かなかったことなどを、資料をもとに、ここで補足しておきたい。

各機器の配置。燃料と酸化剤を加圧するための高圧ヘリウムのタンクは、探査機の-X面に飛び出ている。XYZ軸で説明すると分かりにくいかもしれないが、「X軸周りに回転」などと言ったときには、どれがX軸か分かっていないと回転がイメージできない。

ちなみに、+Z面にハイゲインアンテナ、±Y面に太陽電池パドルがあるのは「はやぶさ」と同じだが、OMEはイオンエンジンと違って-Z面にある。イオンエンジンは「はやぶさ」の+X面だった。

前回、石井氏の手書きの図が公開されていたが、今回はきちんとした図が出てきた。

OMEは2液式スラスタなので、燃料と酸化剤のタンクが別々にある。それらをエンジンに供給するために、高圧ヘリウムで押し出す仕組みになっており、それが図の一番上にあるタンクだ。

ヘリウムタンクからの経路には、フィルターやらバルブやらが付いている。エンジンを噴射して燃料や酸化剤が減ってきても、このバルブを開閉して調整することで、推進剤のタンクの圧力はそれぞれ一定に保たれるようになっている。

一部でバルブがパラレルについているのは、故障のための冗長構成だ。壊れて開かなくなっても、もう一方が動作すれば問題ない。加えて、シリアルにもう1つバルブが付いているが、こちらでは壊れて閉じなくなった場合に対応している。開故障と閉故障の両方に備えて、シリアルとパラレルの冗長を組み合わせるのは一般的な方法である。

ちなみに、良く見ると燃料タンクだけ円が2重になっているが、これは実際にこんな感じに、燃料がタンクの内側のゴム風船のような入れ物に入っているからだ。宇宙空間では重力がないため、燃料が下にたまっていてくれない。それではタンクの中でチャプンチャプンと動いてしまってよろしくないので、このような方法が使われている。

一方、酸化剤タンクがこうなっていないのは、高分子膜が酸化剤で腐食してしまうからだ。そのため実際の運用では、2液式スラスタを噴射する前に、1液式スラスタを噴射して酸化剤を出口側に寄せるようなことをやっている(これをセトリングと呼ぶ)。ちなみに「はやぶさ」はスラスタが全て2液式だったためにこれができず、そのため酸化剤のタンクはちょっと変わったものになっている。

高圧ヘリウムが燃料側/酸化剤側に分岐してから、酸化剤タンク側にのみラッチングバルブが付いているのは、こういった構造の違いがあるために、特に酸化剤側では逆流の恐れが大きいからだ。燃料側は膜で分離されているので、シンプルな逆止弁が付いているだけだ。

今回、「あかつき」ではOME噴射中に燃料タンクの圧力低下が見られており、その原因の1つとして、この逆止弁の閉塞が疑われている。これは火星探査機「のぞみ」と同じもの(アメリカ製)が搭載されているが、「のぞみ」で不具合が出たのは酸化剤側のラッチングバルブであり、この逆止弁は問題なく動いていた。実績のある標準品でもあり、本当にこれが壊れたのかどうか、今のところは謎だ。あくまでも可能性の1つということだ。

OME噴射中には、リアクションホイールではなく、RCSによる姿勢制御が行われていた。「あかつき」のRCSとしては、23Nスラスタが8台(AT1~4/AB1~4)、3Nスラスタが4台(T1~4)搭載されており、OME噴射中には、このうち側面の4台(T1~4)と底面の4台(AB1~4)の計8台が使われることになっていたようだ。

右下の絵はOMEの構造。「あかつき」のOMEは従来のニオブ系合金ではなく、セラミック製のスラスタが採用されているが、それは燃焼室・スロート・ノズルスカートの部分である。今回のFTAではスロート・ノズル部分の破損も可能性としてあげられているが、直接的に観測する手法がないため、現時点では先ほどの逆止弁と同様に、可能性の1つに留まっている。

ちなみに、もし本当にセラミックスラスタが壊れていて、OMEの再使用が不可能であった場合には、RCSで代用はできるのだろうか。OMEの推力は500N。RCSの推力はそれよりも1桁小さいが、OMEと同じ面に23Nが4台付いており、合計の推力としては5分の1近い。より長時間噴射することで対応できないか…と思うのだが、実際にはOMEよりも効率が悪いために、燃料が足りなくなる恐れが強いようだ。一般的に、2液式に比べると、1液式のスラスタは効率が数割ほど悪い。早い時期に噴射が中断されたとは言え、燃料はすでに2割ほど消費されており、残量にそれほどの余裕はない。

そのときに使える手として、金星の大気を利用して減速するエアロブレーキングも理論的には考えられるが、エアロブレーキングは軌道制御に使った例はあっても、惑星の周回軌道投入に使った例はまだない。中村プロマネによれば「エアロブレーキングが難しいのは、大気の状態(膨張具合など)が日によって変わるので予測が難しいから。検討はもちろんするだろうが、そこで金星に突っ込んで落ちてしまう危険性をとるかどうか」と慎重な構え。

中村プロマネは理学側なので、工学側からは別の意見もあるかもしれないが、「探査機が生きてさえいれば、工学的にも理学的にも、それだけいろいろなデータが取れる。何があっても長生きはして欲しい」と話す。リスクを取るか、安全に行くか。現時点ではトラブルの原因が判明しておらず、あくまでも「OMEが使えない」という仮定の上での話ではあるが、場合によっては6年後の金星再接近で周回軌道投入は諦め、フライバイによる観測に切り替えるという判断もありそうだ。

長くなったので、気が向けば次回に続く。

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はやぶさブリーフィング12月第1回

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月13日、「はやぶさ」カプセルのキュレーション作業について、定例のブリーフィングを開催した。上野氏は「あかつき」の方に専念しているということで、出席者は向井利典・JAXA技術参与のみ。期待されているB室をついに開封したそうだ。

いつものように取材メモを添付する。

ーーーー
向井

前回11/29
B室を開ける準備をしているところで
A室をひっくり返してたくさんの微粒子を採取

光学顕微鏡で見える大きさ
ということを報告した

その後
その素性を調べようとしているところ

初期分析に回せるものがあるかどうか
これまでのところ
20個程度の分析を行った

その結果
半数強は岩石質であろうと同定できたところ

今日公開の写真
B室の開封作業を行った
いまのところ目視検査をしたところ

開封されたB室(C:JAXA)

ルーム2というクリーンチャンバーで作業している
開けた状況の写真

見た限りではA室と同じという印象w
少なくとも肉眼で見た限りざっくざくという感じではなかった

だが見る人が見るとB室の方がなにかありそうだと
それほどドラスティックな状況ではないが

当面はA室でこの前採取された微粒子の
電子顕微鏡による観察を優先させているが
いずれにしてもB室のサンプルの状況を調査する必要がある

初期分析をいつからやるか、どのようにやるかについては
このなかの情報をもう少し掴む必要がある

現在の状況としては以上

ーーーーーー
質疑応答

Q 読売
半分強が岩石
電子顕微鏡で見たのか

A 向井
その通り

Q 電子顕微鏡で見て
イトカワのものと言える状況か

A 断定は今日のところは避けたい
輝石とかカンラン石とかの割合
出せる状況にない

比較的大きい
数10ミクロン

ヘラについていたのは数ミクロン
大きさとして10倍

可能性は高いと思っているが
断定は避けたい

Q B室は
最初にひっくり返して叩くのか

A まだ決めてない
まだ調査しないといけないので
まだ目視しただけ
まずは光学顕微鏡で見ようとしているところ

B室の構造はA室に比べて複雑
隅々まではなかなか見れない

A室も傷と粒子の区別が難しかった

まずそういうことから始める

シャーレで蓋をして
反転してというのは早い機会にやると思う

Q 時事通信
写真は開封した直後のものか

A そう

Q 何日に開けたのか

A 先週の7日だと
びっくりするような結果ではなかったので
お知らせは出してないが

Q 共同
A室の20個
岩石質以外はアルミ?

A アルミもあった
ほとんどアルミかもしれない
私はその情報は持っていない

Q 目視でぱっと見たところ
何mm以上のものがないということになるか

A 私の視力だと1mmだが
もっと小さいものも判別できると思う

難しいのは傷があるから
そこにあるかもしれないが

0.1mmのものは肉眼で見えるが
粒子か傷か分からない可能性もある

Q 日経サイエンス
容器の傷はどういうことでできたのか

A 切削傷
旋盤で切ったときの

鏡面仕上げをしていないので
普通の加工で面取りをしている
傷は無数にある

Q 表面にコーティングはないのか

A テフロンのコーティングがある
全部がそうだったか…

回転棟はテフロン加工だが
他の面はアルミの蒸着だったか…

Q 毎日
20個というのはペースとして遅いが
数百個を全部調べていくのか
それともいくつかを優先して調べるのか

A この中で初期分析に回せるものを見極めるのが先決
とりあえずは数10個を判断する

このペースでいくと…
年内に30~40個は候補が見つかると期待している

Q 年明けには初期分析を開始?

A B室の状況も見ないと
数10個見ると全体の比が分かる

期待としては年内に
いつごろやるという目処を付けたい

Q 朝日
前回ひっくり返して数百個
細かい数字は

A まだできていない
ただ2~300個ではなくて
多い方の数百個

アルミの粉みたいのも多いが
比が変わらなければ半分くらいは岩石のはず

Q B室について
まだ決めてないがまず光学顕微鏡で見て
それからひっくり返す方向か

A その方向で考えている

Q 日経
B室を開けて目視でわかる大きなものはなかった
A室のとき 1mm近いものが…

A それはコンテナのフランジのところ
キャッチャーではない

Q あれは分析は?

A まだやっていない
分析もなにもしてないが
あまり本物らしくはない

Q なぜ後回しに?

A あまり本物らしくないからw

初期分析の考え方
いまのような状況だと
全てを見てから初期分析するととんでもなく遅れる

初期分析を何ラウンドかに分けることも考えている

中には0.1mm以上のものもありそうだが
そういったものは非常に貴重なので
いきなり調べるのではなくて
まずは普通のサイズのものをやる方向で

大きいからすぐに分析するかというと
分析すること自身が汚染になる
たくさんあれば別だが

Q 100ミクロンでも分析はできるのか

A 10ミクロンでも数ミクロンでも分析はできる
もちろん大きい方がいいが

Q 想定した大きなものがなかったのは残念?

A 量としては確かに少ない
1mmで大体1mg
0.1mmで大体1μg
10μmで大体1ng
くらい

ただはやぶさは工学実験で
今回のlessons learned(学んだ教訓)を次に活かせればいい

Q 東京新聞
初期分析のメド
はやければ1月中にもできるのか

A 10個ではまだちょっと少ない
もう少し増えないと
今のペースで増やして行ければ可能性は高い

次のブリーフィングのときには何か
メドについては言いたい

Q A室よりはありそうという根拠は

A 私は分からない
見た限り一緒

断定はできないところ

Q NHK
調べた粒の大きさは全て数10ミクロンか

A 数10ミクロンで間違いないが
小さいのは30ミクロンで大きいのは100ミクロン
平均では5~60ミクロンくらいか

Q 岩石質だった10数個
もっと調べて確定的なことが言えるのか

A 調べるのに時間がかかる
数10ミクロンになると
たくさんの粒子が集まったような構造が多い
丹念に調べると大変
それ自体を初期分析にお願いするのが筋
その方が精度も酔い

Q この10数個はすでに初期分析の候補に
なっていると考えていいか

A 今のところはそう考えている
できるだけ典型的なものを初期分析に

Q 年末に向けての作業は
A室とB室のどちらを優先するのか

A 両方

Q 平行して作業できるのか

A 数百個のシャーレから電子顕微鏡のホルダに移す作業と
B室の中の作業は平行できない
同じ部屋なので

だが移した後で電子顕微鏡で見る作業は平行してできる

Q いくつくらいになったら初期分析が始まるのか

A 難しい
岩石質のものがある程度あれば

そういうものの数次第だがどうだろう
まだ決めてないので

私としては30個もあればいろいろできると思う

Q ニッポン放送
B室はA室よりも複雑
それはなぜ
機能的な違いがあるのか

A 機能的な違いはない
構造上複雑にならざるを得なかった

この部分はA室になかったが
A室とB室の仕切り板をA室側で固定している

Q 20個の分析
1個の分析にどのくらい時間がかかるのか

A 分析そのものは20個でも1日
シャーレからホルダに移す作業
静電マニピュレータで移動
その作業が1個あたり1時間かかる
しかもなるべく人工的なものも除いている

Q 24時間で1日?

A いやいや1日数時間
ほかの作業もやっているので

移すだけで数日

電子顕微鏡で見た後に
また確認しないといけない

今週はその作業をやっていた

Q 時事通信
初期分析にまわすのに粒子を固定
方法は解決したのか

A それはどういう分析をするかによる
分析によって決まる

これから決めるが問題ないと思う

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あかつき取材まとめ

日本初の金星探査機「あかつき」について、マイコミジャーナルで記事を書いた。本当は、12/7朝の軌道投入開始で小林記者が速報記事を書いて、夜の記者会見で私がレポート記事を書く手はずになっていたのだが、ご存じのように、金星周回軌道への投入失敗で予定はグダグダに。結局記事は4本になってしまった。

【レポート】金星探査機「あかつき」にトラブル発生 – これまでの状況を整理する

【レポート】金星探査機「あかつき」の周回軌道への投入は失敗、6年後の再投入を目指す

【レポート】金星探査機「あかつき」続報 – エンジン噴射中に1回転していたことが判明

【レポート】金星探査機「あかつき」に新情報、燃料タンクの圧力が異常低下していた

ちなみに12/7は、私は相模原キャンパスに行かずに、自宅で仕事をすることにしていた。たまった仕事をなんとかする必要があり、担当している22時の会見だけ行けばいいか、と思っていたのだが、どのみちあかつきが気になってあまりはかどらなかったので、こんなことなら行っておけば良かった…と思わなくもない。でもまぁ、相模原は遠いのよ。ということもあり、上記の取材はすべてJAXA東京事務所でのネット中継だけで行った。


「あかつき」の現在の軌道の推定値(赤色)。今後、かなり太陽に接近することが予想されている。

これまでに分かっている事実は大体記事にまとめた通りだが、まず「高圧ヘリウムの供給系に問題があり、燃料タンクの圧力が徐々に低下した」ことと、それによって「燃料の供給量が少なくなって、軌道制御エンジン(OME)の推力が徐々に低下した」ことは確実。これらのことは、データレコーダに残っていた推進系や姿勢系の記録の解析から明らかになっている。


探査機の角度の履歴。OME噴射後152秒から姿勢を大きく崩し始め、158秒後にはX軸周りに42°まで傾いた。


探査機の角速度の履歴。


探査機の加速度の履歴。本来ならば、噴射を続けると消費した推進剤の分だけ探査機は軽くなるので、加速度は右肩上がりにならないとおかしい。


燃料タンクと酸化剤タンクの圧力の履歴。本来ならほぼ一定になるはずだが、燃料タンクの圧力が徐々に下がっている。


石井プロジェクトエンジニアリングマネージャによる手書きの推進系系統図。燃料と酸化剤を高圧ヘリウムで押し出している。

ただ、これがOME噴射後152秒から起きた大きな姿勢の乱れには、直接的には結びつかない。現在、解析が進められているところであり、推測は避けたいが、記者会見でのやりとりからは、「酸素過多になったことによるOMEの異常燃焼(破断?)」や「共通の燃料タンクを使っている姿勢制御スラスタ(RCS)の動作異常」などが疑われているようだ。

次の会見はいまのところ予定されていないが、また事実が明らかになり次第、続報をお届けしたい。
(12/15追記)次回の会見は17日(金)にセットされた。

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HTV2号機説明会

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月25日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)2号機を種子島宇宙センターにてプレス公開、あわせて説明会を開催した。私は種子島には行っていないのだが、東京事務所の中継で説明会のみに参加してきたので、内容をここで報告したい。

種子島での説明者は、虎野吉彦プロジェクトマネージャと佐々木宏ファンクションマネージャ。説明会の資料については、以下のWEBサイトからダウンロードできるので参照して欲しい。

HTV2号機説明会資料(PDF:3.5MB)

プレゼンはほぼこの資料に沿って行われたので省略して、質疑応答の部分のみ以下に掲載する。

ーーーーーー
種子島から

Q 西日本新聞
2号機の製造費用はいくらか
打ち上げも含めて

A 虎野
H-IIBの価格は知らない

HTV2号機は140億円

A 東京広報
ロケットについて
この前の機体公開でプロマネは
民間移管時の受注交渉に影響を及ぼすので
差し控えたいと回答していた

Q 実験機器について
どういう実験ができるのか詳しく

A 虎野
東京側から説明する

A 東京
実験装置について

ラックが2つ
資料13P

Q 与圧部の拡張
いままでの余白を有効活用したのか

A 虎野
初号機は真四角になっていて
真ん中の空間が少し空いていた
あそこにもモノを詰めるように
新たな治具みたいなものを作って
その分たくさん荷物を詰めるようにした

荷物は容量もあるので密度によっては
めいっぱい積んでも6トンにならない場合がある

ー筑波

Q 読売
2号機になって
技術的な改善点は

A 虎野
国産化の部分
LED照明と
ISSとの間の通信機

もう1つは
初号機の異常
その対応をとった

大きなものが3つあった

1.GPSの航法値の誤差がどんどん蓄積する
軌道制御に困った状態になった

初号機では定期的にリセットしていたが
2号機ではソフトウェアで処理をすることにした
初号機のように定期的にリセットしなくていい

2.スラスタの加熱
ISS直下500mから上昇するときに
スラスタの一部が高温化した

もともとISSよりも低い軌道を同じスピードで飛ぶのは至難の業
物理的には、普通は早くしないとどんどん落ちる
HTVは下にエンジンを吹きながら
プールで立ち泳ぎをしているようなもの

そこで温度が上がったが
スラスタ自身は高温に耐えられるが
センサーが高い温度に耐えられない
2号機ではもっと耐熱性が高い温度センサーに変えた

3.コンピュータのいくつかが運用中にフリーズ
これもGPSがらみだが
週や日が変わると時刻が変わる
週の番号、日の番号、時間の番号、分、秒、
うまく同期しないときは
まだ週替わりしていないと認識
処理が長くかかる

これもソフトのバグ
これを修正してフリーズしないようにした

ー東京

Q 朝日
実験ラック
JEMに入れるのか

A 東京
その通り

Q LEDのメーカーは

A 虎野
パナソニック電工

Q 今日NASAがディスカバリーの延期
2号機への影響はあるのか

A 12/18ころなら問題ない
予定通り打ち上げて運用できる

Q それ以降になるとシャトルが優先か

A 優先かどうか決めるのはNASA側になる

Q HTVとシャトルは同時に接続できないのか

A 佐々木
同時にランデブーはできないが
係留中については可能な見通し

シャトルが係留中にHTVはランデブーできない
HTVが係留中にシャトルがランデブーするのは
まだ確認中だが可能だろう

Q 時事通信
延期になると
打ち上げの時間はどう変わる

A 佐々木
3:03ころ
24分早くなる

Q 大塚
与圧部の補給能力が最大4.5トンから5.2トンに増えたのは
スペースが広くなったからか

A 虎野
初号機よりもたくさん積める治具を開発したので
そういう表現になった

Q 与圧部にもっと積めるようにしたのは、そういうニーズがあったからか

A ニーズもあった

Q 与圧部の荷物が重くなったときに、大きな開口部がある
曝露部にかかる負荷は大丈夫か。何か対策は

A 解析の結果問題ない
5.2トンを積み込んでも大丈夫

Q 再突入を地上から撮影する予定はないか

A 虎野
我々もやりたいとは思っているが
撮影には結構お金がかかる
船にしても飛行機にしても
距離が遠いこともあって相当のお金がかかるということで
とても我々の懐ではできそうもない

Q 見たいんですがw

A その代わりと言ってはなんだが
いまNASAやESAと調整している

落下中に極力データを遅れるような
通信装置を最終搭載(打ち上げ1週間前の予定)で
レイトアクセスということで
データ通信装置を搭載する方向で調整している

うまくいけば落下中に
電波でHTVの状況がある程度は送ってこられるだろう

送られるのは
温度や加速度などのデータ

Q ニッポン放送
搭載物資で何か特徴のあるものは
例えば食料など

A 特に変わったことはないが
初号機でなくて2号機に載せるモノは水
80kgくらい
ある意味試験的に載せる
23Pに詳しく

Q 産経
船内物資と船外物資のそれぞれの重量

A 11ページに
比率は書いてあるが

A 東京
与圧部 3.9トン
曝露部 1.4トン
合計 5.3トン

あとはレイトアクセスが少しある
それも込みで5.3トン

Q では全体で15.8トンか

A 虎野
荷物込みで16.0トン

残りの200kgは推進剤を多めに積む

Q カナダやESAの分の荷物はないのか

A 東京
ない

A 佐々木
リエントリの観測装置はNASAの装置

A 虎野
ESAのもあったような気がするが…
あとで回答する

A 東京
確認した
ESAのものは乗っていない

Q 今回の荷物で来年古川さんが使うものはあるのか

A 虎野
HTV側としてはこれがどこで使われるかは把握していない
東京側で

A 東京
こちらもHTVの担当しかいないが…

Q 与圧部の拡張で増えた重量は何百kgか

A 佐々木
スペース的には
ラックが40個分確保されている

Q 読売
2号機で試験やデモはないようだが
ISS到着まで同じ8日間かかるのはなぜか
デモがなければ短縮できるのでは

A 佐々木
8日間というのは
日本時間では同じに見えるが
前回は午前2時 今回は午後
実質的には7日間のランデブーと考えている

5日間でも可能だがドッキングできるタイミング
飛行士の作業のスケジュールも決まっている
2日間の余裕を持たせてNASAと合意した

打ち上げが遅れたときは
ここで1~2日を吸収する考え

Q 初号機のミッション期間が長くなったのは
曝露パレットの運用と与圧品の輸送廃棄を別に

今回は同時に
今回積んでいるものだから
与圧部と非与圧部を同時にできるのか
それとも前回は慎重を期してやったのか

A 虎野
後者 慎重にやった
本来は同時にできる

あとは飛行士のスケジュールもある

Q ATVの運用のスケジュールはどうなっているか

A 佐々木
2号機は2/15に打ち上げ
ドッキングが2/26の予定

Q HTVが離脱した次の日にドッキング?

A その通り

Q もし天候でHTVの打ち上げが何日も遅れた場合は
ATVの日程にも影響がでるのか

A 係留期間も調整できるが
最終的にはNASA/ESAと調整することになる

Q 日刊工業
初号機からの仕様変更による
コストの変動は

A 虎野
設計変更に基づくコスト変動
国産化については当初の既定路線
増減はない

2号機以降の部品はまとめ発注している
各号機のコストの増減にはほとんどきいていない

今回の改修の影響はほとんどない

Q スラスタの温度センサー
具体的にどう変わったのか

あと通信装置のメーカー名は

A 当初は熱電対型
せいぜい300℃くらいしかもたない
白金センサーに変えたので飛躍的に高温までもつ

通信装置は三菱電機

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はやぶさブリーフィング11月第2回

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月29日、「はやぶさ」カプセルのキュレーション作業について、定例のブリーフィングを開催した。今月16日に、微粒子1,500個がイトカワ由来と判明したばかり。もっと期待できるB室の開封が今月中に実施されるか…という期待もあり、会見には大勢の記者が詰めかけたが、現時点では未開封だった。だが、B室に移行する前にA室をひっくり返して調べたところ、新たな微粒子が数百個見つかった。

出席者は、向井利典・JAXA技術参与と上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。以下に、いつものように取材メモを添付する。なお、ブリーフィングの通し番号に段々意味がなくなってきたので、ブログのタイトルは今回から~月~回目という形式に変更した。

ーーーーーここから
向井

11/16に大きな発表
岩石質1,500個
ほぼすべてがイトカワ起源

21日に停電が予定されていて
重要なサンプルが入った状態でクリーンルームを止める
慎重に行った

停電のあとに復旧作業
結果としては全て順調に復旧している

前回も話したが
これからの作業の優先度
B室の開封を優先する

B室を開けるためには
ひっくり返さないといけない

まだA室に残っているかもしれないので
シャーレで蓋をして
ひっくり返したところ
またたくさん微粒子が出てきた

今回は光学顕微鏡で見える程度のサイズ
ざっと見た感じ数百個くらい出てきた

クオリティからすると
9月末だったかに回収した60個
それと同レベルのもの

その粒子がどういうものか
判定するためには
走査型電子顕微鏡(SEM)にかけないと
それはこれから

前回1,500個を同定したときみたいに
ヘラで一挙にやるのはできないので
1個1個マニピュレータでやる作業になるので
時間は多少かかる

うまくいけば
先日発表した10ミクロン以下の微粒子の初期分析の前に
大きい方
今回数百以上、その前のが60個あるが
この中から初期分析に回すものが
可能性としてはあるのではと期待している

なので
B室の開封はまだ
これからになる

この3週間の状況はそんな感じ

ーーーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 読売
今回の微粒子 岩石質はどのくらいあるのか
初期分析の前に

A 向井
この前ヘラでこすったものは
まずSEMの中で見ながら操作できるマニピュレータが必要
すぐにはできない

1月に入る予定だが試験もあるのでだいぶ先

これだけたくさんあれば
かなりの確率でイトカワと言えるが
1個2個の場合は当たり外れがある

ただアルミとかそういうものは除けると思うが
それが全部イトカワ起源かどうか、それはどうか

なかには特殊な
この前の1,500個の中にも硫化鉄とか

しかし最初はもうちょっとオーソドックスなものから
初期分析しないと分からないのが正直なところ

初期分析にまわせる比率は
サイズ分布が違うので一概には分からないが
岩石質よりは人工物の方が多いと思うが

岩石も同じような比率だとすると
人工物が2で岩石質が1とか
正確ではないがそんな感じかなと

なので結構な数があるのではないかと期待したい

Q 光学顕微鏡で見つかった微粒子
1月までに電子顕微鏡にかけるのか

A 全部は終わらない
まずは電子顕微鏡にかけて初期分析に回すものを選ぶ
いくつ選べるかは

ある程度の数がたまれば初期分析を開始できる

B室を開けて中の状況を見た上で

B室から回収・採集はまた時間がかかるが
全体の様子を見て判断する

Q 毎日
大体のサイズはどのくらい
そもそもどこから出てきたものか

A 10ミクロン以上
サイズは大体何十ミクロンだと思う

どこからはA室

ぱっと見て見えなかったのにどこにいるんだということだが
光学顕微鏡だと傷と粒子の区別は難しい

我々も正直こんなにあったのかと不思議だったが
まだ残っている可能性がある

微粒子は大体静電気でくっつている
まだ全部出てきたとは思えない

Q NHK
シャーレの上でトントンは初めて?

A もともと開けて最初にやる作業は
自由落下法(トントン)というのが最初の手段であったが
最初見て何もなかったのでそれはやらずに
ずっと顕微鏡でやってきた

今回はどうせひっくり返さないといけなかったので
ついでにやってみらたこんなに出てきた

Q 朝日
今にして思えば、最初にやっておけばよかった?

A 上野
トントンはしてなかったが
作業の過程では
粒子は確認できなかったので
作業を進める間に落ちやすくなったのかも
耐電状態がいまとは違うと思う

Q 石英のシャーレに落としたのか?

A そう

Q 赤旗
トントンといのは
何をどうトントンしたのか
もう少し詳しく

A 向井
私がやったのではないので詳しくはないが
実際はキャッチャーハンドリングユニットがあって

シャーレで蓋をして
どこを叩くか決めて
側面を叩いたんだと思う

A 上野
やり方は極めて原始的

Q 共同
今まで見ていた側面でなくて
死角に一杯あったのか

A 向井
どうかな
あったのかもしれない
回転棟のそばは見にくい

Q 媒体不明
これまでの60個
電子顕微鏡で調べる予定は

A どちらを優先するか
一挙にはできないので
順番を決めてピックアップするしかない

Q 来月の早い時期に判明?

A そう期待したいが
1個1個ピックアップして電子顕微鏡に乗せるので

でも数百個全てはとてつもない時間がかかるので

初期分析にどのくらいまわせそうかという
情報は早く出てくると思うが

Q 微粒子の写真はないのか

A ない
いまピックアップする作業をしているので

ついでに説明
回収はどういうことかといと
石英の碁盤の目があってそこに番号
カタログのための
それができれば回収

我々がいまやっているのは採集
ナンバリングはこれから

Q 東京新聞
いままで逆さまにしたことは?

A 向井&上野
分からない

Q 手作業でひっくり返した?

A 向井
キャッチャー~ユニットに付いた状態で

Q 何かモノでたたいた?

A そう

Q 朝日
トントンはいつやったか

A だいぶ前

Q この前の発表の後?

A そう

Q 11月中旬と言っていいか

A そうかもしれない

Q 指で叩いたのでなくて
器具で側面を叩いたのか

A そう

Q 何で叩いたのか

A 何かの工具だと思う

Q 日経
今回の数百個
初期分析に回すときは石英のガラス管で?

A そう考えている
何らかの固定は必要だと思うが
従来のやり方でやろうとしている

Q 媒体不明
科学的に分析する上で大きい微粒子の利点は

A 専門家ではないので
この前の記者会見では中村さんだったかが説明していた

A 上野
結晶構造の解析
スライスは5ミクロンでも頑張ればできるが
10ミクロンあると作業は楽に進められる

初期分析に必要な作業や手順は
より迅速にできるだろう

Q ヘラについている微粒子の作業は当面止めるか

A 向井
同時にやっている
この前発表したヘラ
電子顕微鏡の中で使えるヘラは1月に入ってくる
だが難しい

Q 聞いている限りでは
そっちはもういいのかと

A 大きいのが出れば
でもせっかく同定したものなので
初期分析に回すと考えている

A 上野
今後B室を開けてどうなっているかにかなり依存する
A室からかなり出てきたとはいえ

初期分析だけじゃなくて
今後プロポーザルを出してもらって分析してもらうときは

小さい粒子でもできる研究はなるべく小さい粒子で
大きい粒子は大きい粒子でないと実験できないものに
多分そういう形になる

A 向井
スターダストでも
大きい方の10~20個は置いている

大きいがゆえにいろいろ入っている可能性がある
誰が何をやるかまだ決めかねている

Q NHK
初期分析の開始時期は

A なんとも言いようがない
10月以降は間違いがないがw

B室を開けての状況にもよるが

ヘラに付いた状態の微粒子はだいぶ先
それよりは早いだろう

これからSEMにかけるので

今後のブリーフィングもどうするか

いろんな作業を平行しているので
なかなか発表となると良く見たりしないといけないので

もし隔週開催なら次回か次々回くらいには
いつと言いたい

Q 年内には厳しいのか

A SEMは年内に見るが
初期分析はいくらなんでも

Q 読売
新たに見つかった数百個
10ミクロン~数十ミクロンでいいか

A 正確なサイズは測っていない
数10ミクロンなのか100ミクロンなのか
曖昧な状態

Q じゃあ数十から数百…

A 数百もあったら目で見える
大半は10ミクロンのオーダー

Q 割合は個人的な印象か
それとも見た上で1/3は岩石質と言えるのか

A それは前者
サイズ分布によって割合は違う
テフロンでこそげたものの比率は大体そのくらいだった
それと同じくらいはあるんじゃないか

いま確認中

Q いまA室から出てきた数百個を電子顕微鏡にかけるのを
優先させるということで良いか

A 優先はどういう意味で

Q 1,500個の続きに対して

A それは間違いない

A 上野
それにあわせてB室の開封も進める

A 向井
どっちもドーム2の中にあるので
平行にできない部分もあるが

Q 時事
2回目のタッチダウン
地面に着いたことの確認はできているのか

A 上野
テレメトリ上はタッチダウンしている
実際にやったかどうかは誰も確認できない

Q 日経サイエンス
トントンとやって
サブミクロンオーダーが無数に落ちている可能性は

A 向井
確認していないので分からない
光学では確認できない

Q シャーレの上はどうやって調べるのか
ヘラも使うのか

A 最終的にはそうかもしれない
まだそこまで考えていない

Q ニッポン放送
今回の数百個
形で地球のものと分かったもの
ぱっとみて分かったことは

A 私は見てないので伝聞になるが
人工物か岩石質か見た瞬間に分かるものもあるし
そうでないものもある

岩石質らしいものはそういう形や光沢
そう判断できるものもある

やる人の目も肥えているので

Q 同じ方法で確認するのか

A 番号づけをまずやらないと管理できなくなる

Q 読売
今後の予定
B室の開封はいつくらい

A さあ
予定としては今週末か来週か

開封にはまずワイヤリングを切らないといけない
切れば粉が出る

粉が入らないように
慎重にしないといけない

Q 媒体不明
はやぶさは流行語大賞の候補
研究者としての思いは何かあるか

A 正直言って
私は最初からからんでないので

多大な関心を持っているのは嬉しいが
本音はもうちょっと静かにして欲しい

大学が仕事にならない
小さい研究室でいちいち取材は大変

研究者に迷惑はかけないようにしないと

研究者は論文を書かないといけないので
マスコミの発表とのバランスは
理解して欲しい

以上
ーーーーー

来月のブリーフィングは、13日(月)と27日(月)に開催される予定。今度こそB室が開封されているか、注目が集まるだろう。

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「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」帰還バージョンを観てきた

コスモプラネタリウム渋谷で上映が始まった「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 帰還バージョン」を観てきた。記事はマイコミジャーナルに掲載する予定だが、とりあえずさくっと感想だけ書いておきたい。

ポスター

ちなみに2009年バージョンについては、こちらに記事を掲載しているので、参考にして欲しい。

小惑星探査機「はやぶさ」のドキュメンタリー映画が完成
~全編CGの43分間、人間は1人も出てこないヒューマンドラマ
(Robot Watch)

2009年バージョンとの違いについては、ネタバレになってしまうので詳細についてはここでは触れないが、基本的に本編はほぼそのままで、エンディングの部分(再突入シーン)が全面的に描き直されている。上映時間は、その分、2分ほど長くなっている。

とは言え1カ所だけ紹介。ちゃんとひっくり返ったぞ!

私はもともと、帰還バージョンの話を聞いたときに、最後の方で出てくる「現在地球に向けて航行中である」というテロップを外すだけでもいいと思っていたので、小規模な修正であったことは評価できる。そのくらい、2009年バージョンは作品としてすでに完成されていた。それに、制作当時は想像するしかなかった再突入シーンの演出も、驚くほど実際の映像に近かった。

マニアからは、「クロス運転が何で入っていないんだ」という声もでるかもしれないが、それは上坂監督がこの映画で本当に描きたいと思っていた本質部分ではないのだ。監督の「命は思いを繋げていくことが本質だと思う。はやぶさはもういないが、その意志はみんなの心の中に生きている。はやぶさがやりとげたことを、これからも心のどこかにしまっておいてくれれば嬉しい」という舞台挨拶を聞いて、改めてそう感じた。

コスモプラネタリウム渋谷は、渋谷駅の西口からでも見える 最上階の丸いドームが目印

プラネタリウムは文化総合センター大和田の12Fにある 当日の12時半で完売になったそうだ

12Fにある券売機でチケットを購入する。回も指定できる 上映は1日4回(平日)/5回(土日)。時間が異なるので注意

ぜひ、17mドームの映像で帰還バージョンを楽しんでもらいたい。DVD/BD版の発売については未定だが、前向きに検討中とのこと。こちらも期待して待ちたい。

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あかつき記者向けブリーフィング

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月18日、金星探査機「あかつき」の運用状況について、記者向けの説明会を開催した。金星周回軌道への投入計画なども詳細が明らかになった。

登壇者は、プロジェクトマネージャの中村正人教授と、システムエンジニアリング担当の廣瀬史子氏(ともにJAXA/ISAS)。以下に配布資料と、若干の補足を掲載する。


運用状況の概要。説明は不要だろう。


飛行計画と実績の比較。ロケットの投入精度が高かったために、探査機側の初期軌道修正が不要になった。


探査機の分離画像。中央上にが見えるが、これは「黒い点を打ったら印刷でこうなってしまった」とのこと。どうせオリジナルの画像も公開されているのだが、良く見ると白い点が写っている。何かが一緒に分離されて飛んでいったらしいが、散々調べても特に探査機から外れたものは見つからず、「特段支障はない」という結論になったようだ。


打ち上げ後の初期軌道修正が不要になったおかげで試験撮影ができた。


あかつきには世界で初めてセラミック製のスラスタが搭載された。従来の金属製スラスタでは特殊なコーティングが必要で、そのために海外に運んでいたが、セラミックスラスタではその工程は不要。ちなみにセラミックは京セラ製だ。


航行中の運用。金星周回軌道への投入精度を高めるために、7月は探査機の姿勢を固定して外力の大きさを精密に計測した。8月は再生測距方式のトランスポンダの精度を検証。これは新規開発して搭載したもので、従来は地上からの電波をそのまま送り返していたが、再生測距方式ではノイズを除去してから送り返す。これによって測距の精度が向上するそうで、現在評価を行っているところだ。9~10月については以降のスライドで説明。


2つのカメラ(UVIとIR1)で同じ方向(射手座)を撮影することで、アライメントを確認した。


さらに4つのカメラ(UVI/IR1/IR2/LIR)で地球を撮影してアライメントを確認。ちなみに10月まで実施しなかったのは、IR2の冷凍機を起動する電力が不足していたからだ。太陽に近くなったことで、電力事情が改善された。


ハイゲインアンテナを地球に向けていると、地球を追い越したときに、今までと太陽が当たる面が逆になる。カメラ面に太陽光が当たると困るので、向きを逆にするのだ。普通に180℃回転せずに、途中がややこしくなっているのは、安全のために一旦カメラ面を日陰側(地球側)に待避しているからだ。


ヤマ場となる周回軌道投入。軌道制御エンジン(OME)による噴射で減速して、4日周期の周回軌道に投入する。詳しくは以下の質疑応答を参照。


近金点高度が300kmとあるが、最新の計画では550kmになっている。

以下は質疑応答。

Q 時事通信
軌道投入計画の確認
周回軌道の近金点と遠金点は

A 広瀬
近金点は550kmが目標
遠金点は
周期4日の場合が18~20万km
周期2日の場合は10~12万km
周期30時間の場合は8万km

Q 1回目の噴射で軌道に入ったかどうか
分かるのは通信再開後か

A 軌道制御誤差
ドップラーで確認できるか
いま詳細解析をしている

通信が再開した瞬間には分からない
はっきり分かるのは10数時間後程度になる

A 中村
日本だけでなくて
NASAの局も動員するので
3角測量なので

NASAのデータが入ってきて
日本のデータも揃えて
こういう軌道に入っているよと
確定するのが21時としている

Q NHK 室山
最初の観測
見て分かる最初の情報はいつになるのか

A 中村
まだ議論しているところ
まず軌道に入れるのが重要
そのためにエンジンの向きが制限される
カメラは金星に向けないと撮影できない

その姿勢に持って行くかどうか

30時間の軌道に落ち着いてもう大丈夫だと
これで衛星の姿勢を変えても大丈夫だと
我々技術陣が確信したところで金星に向ける

それまでにたまたま金星にカメラが向くチャンスがあれば
撮ることはあるかもしれない

Q 大体いつくらいになりそうか

A 12/13に入るので
学会発表が16日なので
それまでには撮って欲しいw

Q 赤旗
地球までの交信にかかる時間

A 広瀬
6,300万km
片道215秒程度かかる

Q 読売
VOIは3回実施するのか

A 中村
そう

Q 初の日陰でどんなことが予想されるのか

A 太陽電池からの出力が途絶える
バッテリ運用
電力系が初めてそういう状況に入る
いままで陰に入ったことがない

衛星の温度がどんどん下がるので
バッテリで各機能を維持しながら
ヒーターで温めながら運用する

Q 東京新聞
OMEの噴射コマンドはどういう形で送っておくのか
3回の軌道修正のあとにファーストショット
科学観測の開始はいつからと言えるのか

A 広瀬
コマンドは前日に送っておく
タイマーで衛星が実行する

A 中村
サイエンスの観測はファーストショットから始まる

Q カメラの調整はいらないのか

A 調整といっても画像のゆがみは取れないので…

サイエンスデータとして配るのは
補正データを始めるのは数ヶ月先になる
それはやってみないと分からない

Q 産経
周回軌道に投入したというのは21時頃か

A 中村
投入はエンジンを吹いている間なので
8:50~9:01の間だろう

Q 日本の探査機が惑星の周回軌道に投入されるのは
成功すればこれが初めてか

A 惑星という意味ではそう
他の天体では月と小惑星に投入

Q 周回軌道の投入が山場という理由は

A まず全て自動シーケンスで行わないといけない
こっちから何かしようと思っても
電波で215秒
片道3分以上かかるので
何か衛星に異常があったことが分かって電波を送っても
それはかなり手遅れ状態に近い

衛星自身が判断しながら
実行していくのが技術的なチャレンジ

Q 軌道投入のウィンドウはこの11分間か

A ジャストオンタイム
この時間にあわせて軌道制御してきたし
この時間にきちんと12分間吹いてくれないとダメ

しかし実際には噴射が5~10%くらい足りなくても
4日周期じゃなくてもっと遠い周期の軌道に入る可能性はある

その場合は修正マヌーバで4日周期に戻す
それを決定するのが21時まで

Q ワンチャンスなのか

A この時間にエンジンを吹かないと
双曲線軌道でイカロス君とともに通り過ぎる

Q 日経サイエンス
月と地球の写真
2枚で位置が逆に見えるが

A 中村
多分反転している
あとで確認したい

Q 読売
軌道投入の作業が始まるのは8:49か

A 中村
作業そのものは3日前から始めている
温度を上げるとか

その最終仕上げとしてエンジンを吹くのが8:49と

Q 噴射したという確認は
すぐに分かるのか

A そう

Q 720秒間 吹いたかどうか分かるのはいつか
通信再開後すぐに分かるのか

A 衛星全体のデータを取らないといけないので
数時間後になる

Q 日陰に入ったとき
通信そのものは維持されるのか

A 通信は維持される

Q 読売
のぞみのことが頭にあるので
どれくらい噴射すれば
周回軌道に入れたと判断できるのか

A 中村
衛星の姿勢が正しく向いていて正しく吹いていれば
かなりの確度で入っているだろうと思う

ただしのぞみの悪夢がある

のぞみの場合
酸化剤が供給されなくて所定の推力がでなかった

2液ともバルブが開いてちゃんと供給されていることが
確認されないと本当に入ったとは言えない
やはり確認に12時間程度欲しい

確信は段々と強くなると思うが

僕たちの顔を見てなんとなく
ニヤニヤしていたら入っているんだと
思ってもらえればw

Q 地球軌道を横切ったのはいつ

A 記憶では9/1だったと思う

Q 東京新聞
最低どれくらい吹けば金星の重力につかまるのか

A 広瀬
720秒を目標としているが
560秒以上吹ければ大丈夫だと推定している

Q その場合の周期は

A 50日の周期
遠金点は110万km程度になる

Q 日経サイエンス
近金点550kmが正しいとすると
当初は300kmだったのが550kmに変更されたのか
それとも正確に検討したら550kmになったのか

A 中村
300kmに入れれば大気のドラッグがないだろう

大気に触れるとどんどん高度が下がる
300kmを目標にしておけば大丈夫だろうというのが
最初の計画

現在は550kmに入れようと
幅があるので悪くても300kmで留まるだろうと考えている

Q 金星到着前に観測が始まっていると

A 黄道光の撮影をやっている
そこの上野先生が責任者

A 上野
金星到着前に
1~0.7AUの間で
惑星間のチリがどんなふうにあるか光学的に観測

IR2を1.6μのフィルターで観測した
かなり幅広い領域で撮影
データを解析中

Q 解析結果はまだ先か

A 結果はまだ先だが
絵自体はそろそろ出来上がる

Q 探査機の回転
どこがカメラ面か

A 中村
1番の画で左側
5番目になると右側面

太陽電池パドルはクルクル回るので
向きは気にしないで

Q 赤旗
550kmと300km
近い方が詳細にみれると思うが
あとで300kmに変更する可能性はあるか

A 中村
ない
この探査機は主に遠いところでの観測がメイン
近いときは雷の観測

近い方がクローズアップが撮れるのもあるが
近いと早く移動するのでぶれてしまう
ほどほどがいい

Q 読売
観測は何年

A 中村
2年もつようにバッテリを設計している
実際にはもっと持つと思う

Q 大気の厚さは

A どこまで行ってもどんどん薄くなるので言うのは難しい
地球の大気プラス50kmくらい

上はどこというのはなかなか難しい
ISSの高度にも空気はある

Q 現時点ではどのくらいの距離
イカロスの場所は

A 広瀬
地球からあかつきは4,300万km
金星からあかつきは540万km

イカロスはもうちょっと手前だと思う

Q 媒体不明
のぞみのことも踏まえて
意気込みを

A 中村
今度こそは投入するぞとみんな意気込んでいる
リベンジです

はやぶさ、そうまでして君は~生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口 淳一郎
宝島社
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はやぶさ記者会見 微粒子1,500個はイトカワ由来と判明!

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月16日、小惑星探査機「はやぶさ」に関し、急遽記者会見を開催した(連絡があったのは当日10時で開始が13時から)。同日朝、文科省でも会見があったようで、内容については10時より前の時点で新聞各紙が報じていたが、サンプルキャッチャーの中で見つかっていた微粒子1,500個がイトカワ由来であると判明したとのこと。私も急ぎ取材に向かった。

記事はすでにマイコミジャーナルに掲載したが、いつものように取材メモをそのまま掲載する。

【レポート】「はやぶさ」カプセルから発見された微粒子1,500個がイトカワ由来と判明!

出席者は、
JAXA 月・惑星探査プログラムグループ はやぶさプロマネ 川口淳一郎
JAXA 月・惑星探査プログラムグループ 研究開発室 教授 藤村彰夫
JAXA 技術参与 向井利典
JAXA 宇宙科学研究所 ミッション機器系グループ 副グループ長 上野宗孝
茨城大学 理学部 地球環境科学コース 教授 野口高明
東北大学大学院 理学研究科 地学専攻 准教授 中村智樹
の各氏。

なお、川口プロマネは米国出張のために、冒頭の15分のみ出席。その足で成田空港へ向かった。

ーーーーーーーーーここから
川口プロマネ

(プレスリリース読み上げ)

大臣の会見では
地球圏外の天体からの初のサンプルリターンと述べていたが
多少補足する

地球圏外というだけだと
スターダストがビルド2という彗星からダストの回収に成功している
2番目

文字通り小惑星からだと初めて
コンタミのない

スターダストだと
エアロジェルで高速に
高熱を伴って回収している

はやぶさの場合は
熱的・機械的なコンタミがない回収

こういうサンプルリターンははやぶさが初めてではないか

振り返って
プロジェクトが始まって15年
飛行を初めて7年
を考えると
当初は
夢のようなゴールを目指して飛行させてきたわけだが
今回1,500個
イトカワ由来と判断するに至った

夢のさらに1つ上を行くような信じられない気持ち

後半の4年半の飛行は大変 艱難辛苦だったが
プロジェクトのメンバーに献身的な努力
その結果こういう今日の発表に

プロジェクトみんなで喜びたい

プロジェクトを育んできた宇宙研時代から40年以上
の宇宙開発の下積みがあってこそこういう結果にたどり着けた

先輩諸氏とも一緒に喜び合いたい
感謝の言葉を述べたい

私にとっては大変感激的な日だった
ちょうど1年前にはイオンエンジンが止まって再開したと
ここで会見したが
それから考えるとこの1年間は
大きな変化があり
大きな成果に恵まれた

本当に良かったと思う

ーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 宇宙作家クラブ 今村
はやぶさにどんな声をかけたいか

A 打ち上がってから
いろんな意味で育て上げた

帰還できたのは
協働して持って帰ったと思っている

はやぶさはロケット燃料がなくて
必ず大気で燃え尽きないと行けないと
予測されながら
我々としては
カプセル・試料の回収を最優先に運用してきた

はやぶさにとってベストなのは試料を回収することだと
プロジェクト一同取り組んできた
はやぶさ自身もこの成果をきっとよろこんでいるだろうと

Q ロイター
科学的にはどういう
人類にはどういう意味が

A それはそれから説明

Q ライター 喜多
祝電が来ているので披露したい
「サンプルの確認おめでとう。これを次の成果に活かして欲しいと思います。
糸川秀夫」
お返事をお願いします

A イトカワ先生の努力に感謝して
これからもイノベーションにつとめたい

Q ライター 林
この内容
いつ聞いたのか
どう思ったか

この結末を予測していたか

A 10月上旬から
SEMに直接かけられるヘラで回収を初めた
そのあと研究者と

私は専門部会には出ていないが

向井先生が出ている
サンプル分配委員会
2回ほど
情報を共有してきた

先週
詳しく専門家で吟味する会があった
それに先だって状況は聞いていた

私は「本当か」と
実は私が一番プレスリリースを出すのに慎重だった
誰も追いかけるわけではないし
サンプルは逃げないし
初期分析が終わってからでもいいと散々言っていた

でもそれとは違う方法で確認できると見通しを聞いたときに
本当に信じられない

私は1粒でいいと思っていたが
中村先生から1,500粒と聞いて
そんなにたくさんいらないのにと思った
正直そう思った

本当に信じられない

いつから確信と

私は弾丸が発射してないと訂正して発表
大変苦しかった

そういうこともあったので
最後の最後まで確認したいと思っていたが
心の底ではあっていて欲しいと
帰りの飛行が始まってから
1粒でいいからあって欲しい
「あるはずだ」に近いかもしれないが
あると信じていたから
帰りの運用がプロジェクトのみんなから支えられた

信じていたのは昔から

ーーーーーーーーーーここで川口プロマネは退席
JAXA 藤村

イトカワ起源と判断する根拠3つ

(添付資料1)

(資料読み上げ)

鉱物種の表
見つかった鉱物はカンラン石、輝石、、、、
普通コンドライトに存在する鉱物

一番たくさんあるカンラン石も一致
順序も一致
存在割合があっている

右のグラフ
カンラン石と輝石の鉄・マグネシウムの比率
分析した粒子の平均値が赤丸
はやぶさがリモートセンシングで推定した
イトカワ表層の組成の範囲が楕円

この楕円の中に赤丸が入っている

カンラン石や輝石とかがたくさん入った石
マントルの深いところにある
それが左下の楕円だが、それとは随分違うところにいる

こういった理由から地球外物質で、イトカワ由来であると判断した

(添付資料2)

ヘラの写真と電子顕微鏡で拡大した写真

電子顕微鏡で確認

人工物と岩石質のものがあって
この岩石質が地球外物質と判断している

(添付資料3)

ヘラのかきだし
東北大の中村先生がやった

電子顕微鏡での分析は
中村先生、野口先生、九州大学の○先生の3名がやっている

(添付資料4)

電子顕微鏡の写真

ーーーーー
質疑応答

Q ライター大塚

添付資料1のグラフ
鉄とマグネシウムの比率
具体的な数字(%)を知りたい

A 中村
学会発表前なので数字については
控えさせていただきたい

Q 日経
電子顕微鏡で当てたのは
蛍光X線で良かったか

A 中村
当てたのは電子線
出てくるのは特性X線

X線を当てたときに出てくるX線が蛍光X線

元素特有のエネルギーを持つX線を
検出器で調べればどんな元素が入っているのか
分かる

A 向井
電子顕微鏡でのデータ
定量性は非常に難しい
比率は大体わかるが

A 藤村
定量性はEPAという装置がある
これは初期分析で使う
1粒にどのくらい元素が

Q 赤旗
イトカワ由来と分かったほかに
なにか新たな発見などはあったか

A 藤村
小惑星と隕石の関係が明らかになる

今まで因果関係はこうだろうと
推定していたものが
決定的な証拠を得ることができた
それが大きな科学的な成果の1つ

もう1つは
隕石は地球に突っ込んで
酸素と水で反応
高熱で表面が溶ける
ショックを受ける

そういうものがないものを
人類が初めて手に入れた

隕石学で分かっていたことをこれから凌駕して
科学的には新しい学問
隕石には変成を受けてなくなってしまっているものが
見つかる可能性が非常に高い

詳細はこれから調べること

これによって
隕石学のいままでの基盤の上にワンステップ立ち上がった
新しい学問がこれから進歩していく

そのための資料を幸いにも手に入れられたことが
それがうれしいことだと思っている

A 野口
大気と反応しているものではないということのほかに

今回とったもの
小惑星の表面に本当にあるもの

いままでの隕石は
大気の風圧に耐えてきた固い部分
小惑星のやや内部にあったものになってしまう

今回は小惑星の本当に表面にある物質

太陽からくる放射線との反応とか
いろいろなことが表面の粒子に記録されている

我々のような隕石の研究者が持っているデータと
天文の研究者が持っている分光の観測データなどを
直接比べられるようなデータが取れるようになる

A 中村
最初はイトカワ本体の特性を把握するのに集中したいが
そのあと個人的に期待しているのは

回収したサンプルは小惑星の表層の物質なので
ほかの天体の物質がチリとしてつもっている可能性が非常に高い
S型小惑星以外の彗星とか他のタイプの小惑星とか
粒子が多いとそういう物質も見つかってくるのではと期待している

Q ITmedia
初期分析でないと断定できないと言っていたが
その前になぜ判明したのか

今後のスケジュールはどうなるか
B室などは

A 藤村
もともと同位体のような
完璧に1粒が分かるまで発表できないと思っていたが

今回は非常にたくさんの粒子で
鉱物の成分と種類と量比 元素の成分比
かなり証拠
なおかつ地球のものと思われる岩石が見つかっていない

地球外物質だと言って間違いない
そうするとイトカワ

分かっていて話さないのは良くないので
分かり次第お知らせするのが正しい対応

確実性であれば初期分析を待ったが
分かった段階でできるだけ早くみなさんにお知らせした方がいいと

A 向井
1粒や2粒なら結論を出すのが難しいが
1500個もあって調べて存在比も
統計的な処理の結果で確信が得られた

統計処理なので違うものも見つかるかもしれないが

1,500個とたくさん見つかったのが重要なポイント

ところがほとんどが10ミクロン以下
写真のは大きめだが

光学顕微鏡で1つ1つ判断は難しい
特殊な技術(電子顕微鏡を見ながら操作できるマニピュレータ)が必要で
それができるのは来年1月

初めてのことは大体うまくいかない
初期分析はもう少し先になるかなと

いまB室を開ける準備をしている

B室を開けた結果で
全体の量が見積もれる

それから
大きい方で初期分析にかけられるものを検討する

Q ロイター
日本の宇宙科学にとって
他国との競争にどういう影響
評価は

A 向井
宇宙科学の目的は

人間、我々の地球
あるいは生命の起源

天文学では
地球型惑星がどのようにできたのか
生命がどのようにして発生したのか

その根源的な疑問に向かって進む
アプローチとして

物質がどのようにできたのか
まず始原的な物質を調べるのは重要

これまでそういうアプローチでやってきたのは
アポロやスターダストやジェネシス
いずれもアメリカ

小惑星からのサンプルリターンはどこもやってない
世界初

サンプルの回収技術

日本の隕石学は活発
非常に重要な位置を占めている

宇宙科学にはいろんな分野があるので
それぞれで重要なポイントはあるが

物質科学の面では
ほかの国は真似ができない

日本が、というか
はやぶさのサンプル自身は
JAXAのものでも日本のものでもなく
人類共通のもの

今後世界中の科学者に分配して分析してもらう
国際AO(公募)で

非常に貴重な試料を得たと思っている

A 藤村
世界中の科学者に配布することを想定
最初はどういうものかのカタログを作って
公募をかけて世界中で研究してもらう

それによって
始原天体・太陽系の物質科学が格段に進歩するだろうと思っている

その材料を提供できることは非常に嬉しい

Q 日本テレビ
海外からの反応はどうか

A 向井
まだ発表したばかりで聞いていない

NASAはベリーエキサイティングと

Q ロイター
テーブルの上に出ている袋は何か

A 藤村
コンテナとキャッチャ
(説明…)

Q 朝日
1,500個見つかった
もし弾丸が発射されていればもっと多かった?
当初考えていた研究はこの量でもできるか?

A 向井
これからB室もあるし
もっと大きなものもすでに見つかっている

全部で何百mgもあればというのが最初の目標

1500個でも数μgのオーダー
でもいまの微量分析の技術はすごい

A 中村
サンプル量を必要とするごく一部の解析はいまの量では難しいが
野口さんと私で初期分析の岩石鉱物チームを担当しているが
我々の分析は全部できる

イトカワの物質科学的な特性は現在のサンプル量でも十分把握できる

Q ライター林
量があれば何ができるのか
違いは

A 中村
微粒子にどういう元素が含まれているのか

イトカワの微粒子には
太陽系にあるほとんど全ての元素が入っているはず

ある元素は非常に多い
ある元素は非常に少ない

多く入っている元素はサンプル量が少なくても原子は多い
しかし少なくしか入っていない元素は
サンプル量が少ないと本当に原子が少なくなる

測定器には計測限界がある
それを下回ってしまう

量が少ない元素を検出するためには
ある程度の重さが必要になる

必要な量は分析による
どんな元素を知りたいのか

我々の初期分析チームでは
もうちょっと大きければ測定できる元素の数が増える

Q 赤旗
ガスの分析はどうなった

A 向井
ガスはあったが今日の時点で公表は控えたい

Q ライター喜多
実際に作業して
このカプセルがこうだったらやりやすいとか
次の計画にフィードバックは

A 藤村
もっと大きかったらとか
もっと綺麗だったらとか
もっと小さかったらとか
いろいろ思った

もっと扱いやすかったらとか

こういうのは
次のミッションに的確に繋ぐ必要がある

こういうものを技術的に検討する場で発言して
フィードバックをかけていこうと

Q 媒体不明(赤旗?)
回収でもハラハラドキドキ
現場の気持ちの移り変わりは

A 藤村
一番最初に開けたとき
非常に綺麗だったので「おおきれい!」と
その次にみんなさーっと汗が引いて真っ青に
「で、どうしようと」
こんなにお金をかけたのに
こんなに準備したのに
みんなでリハーサルしたのに

その次は目に見えなくてもと
ちゃんと準備していたので
マニピュレータで

あるときはやはり見つからないとか
あるときはここにありそうだとか

やはり波瀾万丈
はやぶささんはハラハラドキドキで
最後にはうまくいくもの

開けたときはみんな「ん?」だったが
最後に非常に嬉しい結論に

でもまだこれはヘラで1かきしたもの

そっとやってこれだけ見つかった
まだたくさんあると思っている

まだB室も
まだこれからだと思っている

A 中村
ヘラを手で操作したが
回転棟の右側半分をやさしくなでるように
ヘラを持つ手は震えていなかった
結構冷静だった

決められた範囲をやさしくスイープ
微粒子がくっついていることを願ってやっていた

そのあと野口さんと電子顕微鏡で粒子を確認しだして
添付資料2の写真
拡大写真に写っているかんらん石が
一番最初に見つけた岩石質の粒子

これを見たときはまぁ
かんらん石だけだと地球のものか宇宙のものか断言できないので
宇宙のものである可能性もあるなという程度だったが
とりあえず嬉しかった

あとは分析が進むに従って
地球にあまりない傾向が見つかり始めた
そのときから段々確信を深めた

A 野口
数が増えたのが良かった
1個だけだとどうだと すごく小さいので

どこまでいったら統計的に言っていいかと

ハラハラドキドキのあとには
いい結果が出そうだと
気分が良くなってきた

ーーーーーーーーーー
囲み

Q 先週のブリーフィング(11/9)でもう分かっていた?

A 向井
こういう情報は来ていたw
でもあまりにも重大なことなので
本当に専門家の意見を聞いて本当に大丈夫かと

宇宙研の中の有識者、所長も含めて
これは発表できるかどうか評価

先週のブリーフィングの翌日にそれをやった
なのでブリーフィングのときにはまだ確定できない状態だった

Q 鉄とマグネシウムの比率も分かっていた?

A 最後の結果はまだだが
おおよその結果は出ていた

でもこれだけで決めたのではない
どういう鉱物種の組み合わせ
それぞれの割合

特に硫化鉄なんかはいくつか種類があるが
~の中にしかない硫化鉄

第三者的に私も含めて

可能性が高いなぁとは思っていたが

その前の10/25のブリーフィングで
記者から鋭い質問があった
岩石質はどうして分かったと
マグネシウムはあったのかと
鉄はどうかと
大体の元素組成はわかっているのかと

その時点で可能性は高くなっていたが
まだそれだけで大丈夫かなと

Q B室への期待はさらに高まった?

A 上野
その通り
A室ですら入っていた

Q A室になぜイトカワの微粒子が?
B室から漏れた?

A 上野
その可能性もあるし
表面に浮いているようなものがあるかどうか

調べるのはこれから

Q B室の予定は

A 向井
今月中に開くかどうか

これまでの作業もそうだが
リハーサルやっているにも関わらず
新しい作業をすると必ず予想外のことが

連休もあるし

藤村さんがここにいるから今日は作業ストップだし

NHK-DVD 小惑星探査機“はやぶさ”の軌跡
クリエーター情報なし
日本コロムビア
おかえりなさい、はやぶさ [DVD]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン

はやぶさウィークリーブリーフィング第11回

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月9日、はやぶさカプセルのキュレーション作業について、定例のブリーフィングを開催した。説明者は、向井利典・JAXA技術参与と、上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。

以下はいつものように取材メモ。

ーーーーーーーーーここから
向井

前回も説明したが
新しいヘラを使って採取した微粒子について
電子顕微鏡で観察して
粒子の同定とマッピングを継続している

前回は800個だったが
この2週間で増えて1500個になった

こういった微粒子の初期分析には
大半がミクロンオーダーなので
光学顕微鏡では見えないので
取り扱いに特殊な技術が必要

ナノテクのメーカーや専門家など英知を結集して
準備しているところ

今後どう作業していくか
分析に時間がかかっているが
いくつかオプションがある

現在は
B室の開封とサンプル採集を優先することにして
現在その準備をしている

まだそういう状況が現時点での状況

ーーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 読売
1500個というのは地球のものは除いた数字か

A 向井
明らかに人工的なアルミとかではないもの
地球外かどうかはまだなんともいえない

Q これは最初のヘラについていたものか

A 最初のヘラのまだ片面だけ

Q 毎日
B室 今後の段取りは
1500個の扱いはどうなるのか

A 向井
1500個の扱いは
ヘラに付いた状態なので
次の分析にはまず動かさないといけない

ピックアップの準備をやっている
光学顕微鏡では見えないので
電子顕微鏡を見ながら操作できるマニピュレータを準備している

いずれは初期分析に回るがいつかは現時点ではなんとも

A室をしらみつぶしに調べてからB室に行くのも考えられるが
いまの状況だと何年かかるかわからないので
現在はB室の準備をしている

段取りを決めて

開けるといっても
B室が下にあって蓋がある

ひっくり返さないといけない

A室の中にまだ残っていたらどうなるんだとか
いろいろあるのでその準備をしている

B室の開封
ネジを取ればいいというものではなくて

いままでリハーサルはしてきたが
そこは慎重にやりたい

手順は一応検討したものがある

Q 時期の目処は?

A 今月いっぱいには開くと思う

いままでの作業と並行作業になる
人も限られるので完全にパラレルにはならないが

今月20日か21日に点検のために停電がある
いま中にサンプルがあるので止まるのは困る
環境の整備
シャットダウンの仕方とか
再立ち上げの方法とかも
鋭意検討している

その前後の時間
あと連休もある
時間的に

できるだけ早く
間違いなくやりたい

Q 読売
確認だが片面が終わって1500個なのか
もう片面がまるまる残っていると

A まだひっくり返さないといけない

Q B室が今月中ということだが

A そういう予定だ

Q B室を開けてから
もう1回A室をヘラでやることは

A 向井
(かかってきた電話に出る)

A 上野
ヘラはA室は中断してB室に行く

Q 今の段階でA室を中断するのは
B室の方が有望だという理由か

A 向井
それよりもいまはヘラで分析
どう取り扱うか確定しないと
目処がないと
たくさんヘラで捕まえても
処置の仕方に困ることになる

その目処がついてから
次のステップに行きたい

たくさん粒子があることは分かったが
初期分析にどう回すか
目処がないと
次の作業に移るのは危険だという判断

B室はまだ開けてないし
たくさんあるかもしれないしないかもしれない

それよりも全体を見渡した方が

最後またA室に戻ることもあり得る

Q B室を開けて
ヘラを使うかどうかはわからない

A ヘラの作業はは慎重にしないといけない

A 上野
ヘラの作業自身は
回収作業がそれなりに大変なのが分かってきている
数も多いので

今後どういう方法がいいか並行して考えながら

初期分析に入る時点で
全体の様子が分からないと目処が立てられない

あまり極端にスケジュールが遅れるのも望ましくない
B室への準備に向かっているところ

Q 媒体不明
A室のヘラの観察も今後も平行して続ける
作業が倍になるが人員の関係からどうか

A 向井
人員は限られる

どんどこどんどこやって間違いがないように
次どうするかは一回開けて見てから考えたい
また裏面も続けるかどうかも

いまはB室を優先
A室にばかり集中するのは

Q NHK
ヘラから回収したあとの作業
小さい粒子の取り扱いが大変で
取り扱えない可能性も出てきた?

A 向井
現状では取り扱えない
マニピュレータもない

Q 新たな設備を追加すれば
できるようになるのか

A その準備をしているところ

電子顕微鏡を見ながら操作できるマニピュレータの技術を
持っているメーカーがいるのでそこと相談しながら
いま作っている

できるとは思うが初めてのことなので

Q B室を開けるまでの手順は

A 最初にやるのは

ひっくりかえしたときに
A室からこぼれないように蓋をして

残りがないように

ネジをロックしているワイヤーがあって…

A 上野
当初から何度かA室を扱って

最初は自由落下でまず調べていて
その後作業していてひっくり返してどうなるか

もともとの蓋を閉めるのでは扱いにくいので
確認できる方法で作業しないといけない

ネジがゆるまないようにワイヤー止めがあるが
それを順番通りにほどかないといけない

A 向井
B室の構造はA室に比べると複雑
それを順番に取っていく

ネジを外すのはこすれる部分が出る
そういうものが影響を出さないように

どんどん人工のものを落としかねない

自由落下はしていなかったような…
最初A室をあけても何もなかったので

A 上野
細かいパウダーのようなものなら落ちてこない
かなり大きなものでないと転がり落ちないだろう

A 向井
一見して大きなものがなかったので
最初は自由落下しなかったような

従来の方法で採取したシャーレもあるので
ちゃんと順番に保管していかないと

サンプルをなくさないように
慎重にやっている

Q 東京新聞
ヘラについた粒子のピックアップについて
ピックアップのあとどうやって保管するのか

A 上野
現在検討中

大きなものは中空の石英の中に封入する予定だったが
小さいものでそれをやると見つからなくなる

配布を前提にするなら何らかの固定が必要
そのあとの分析にあわせて方法を考えないと

一種類の方法で全部をやるのは無理かも
いま検討中

Q ピックアップするには
容器もできないとということか

A 専用の受け皿が必要になる

分析の担当とも相談をしていて
将来の分析に困らないように
材質も含め検討中

Q 赤旗
A室 のこったものに蓋
そこにかなりの部分が残るのか

A 向井
いつかは分析する

A 上野
B室のあとにA室に戻ることはあり得るが
そのまま現状保管することになる

Q そのことで分析上のデメリットは?

A ベストな方法に達しているかどうか分からない
窒素雰囲気の環境に置いておいた方がいいだろうということで

Q 共同通信
B室 開けて見ないとわからないが
最大でどのくらいのものが見つかりそうか
もっとも楽観的なもので見通しは

A 向井
誰も知らないから難しい

期待としては
長時間いたし

でも時間が長いからたくさんあるとは限らない
上がり方とか

弾は出なかったし
表面のレゴリスのサイズ分布にもよる

0.1mmくらいあればいいなとは思うが

Q 最初にCTで1mm以上がなかった
それ以下ということか

A そういう意味ではない
コンタミは2~3mmのものはあった
あの素性はまだ分かっていない

あれがどこから来たかにもよる
いかにもねぇという気はするが即断は避けたい

Q 読売
B室は開けて光学で見るところまでは行く

A 上野
光学顕微鏡で見ることができるサイズは
最初のマニピュレータで取り出す作業を行う

Q ヘラを使うかどうかが検討次第と

A 向井
もともとの予定では
目で見てたくさんありそうなら
自由落下でコンコンと回収
逆さにして落ちてくるものを拾う

あとマニピュレータとか

大きさに応じて
どこかにフローチャートが出ていなかったかな

こういう状況だったこういうフローチャートがある

Q 初期分析
開始の時期の目安は

A 今日の時点ではなんともいえないが
できれば1月になんとかできないものかと

マニピュレータで1つ1つピックアップしたものが60個くらいある
そのうちの何個かは明らかに人工的だが
そういうものもあるので

あまり先延ばしにするのはどうかと思うが
B室を開けてみての判断になる

ーーーー相模原

Q 青木
1500個で大体取り終わった感じか

A 向井
1回目のヘラで1500個
あちこちこすったわけではない

最初のヘラに付いていた粒子
岩石質と思われるものが1,500個

Q 最大の大きさは

A 大半がミクロンオーダー
10ミクロンはいってない

Q B室の状況が公開されるのは来年になってからか

A A室では試行錯誤しながらだったので
A室よりは早くできると思う

Q やり方は同じような手順か

A 開ける手順が全然違う
上下関係が違うし

Q 採取の仕方も変わるか

A ヘラで取るのは最後の手段
中を見ての判断

はやぶさ、そうまでして君は~生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口 淳一郎
宝島社
小惑星「はやぶさ」の秘密
的川 泰宣
大和書房
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