今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第6回会合

4月13日、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第6回会合が開催された。以下に、泉政務官による記者ブリーフィングの内容を掲載する。

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泉政務官

今日は3:15から有識者会議の第6回会合を行った
その次は4:30から月探査懇談会のメンバーに入ってもらって
前原大臣とともに月探査に関する円卓会議(合同会議)を開催した
大島副大臣以外は全員参加した

資料
徐々に有識者会議としてまとめつつあるということでご理解いただきたい

資料6-1-1で全体
資料6-1-2以降でそれぞれの詳細

有識者会議としてはグリーンイノベーション戦略
そしてそれをパッケージ化していくという戦略
この2つをしっかりと実施しながら
さらに先端的、挑戦的なイノベーションエンジンということで、
いくつかの政策をあげている

これまで何度か話をしてきたことだが
基本的には、これまでは研究開発ということで
衛星を打ち上げても
例えば複数を系統的に結びつけたり統合したり
データを総合的に活用したり集約したり
そういうことは行われてこなかった
それを販売するとかそういったことにも
あまり考えられてこなかった

衛星はいろいろと上がってはいるが
それを体系的に位置付けて
データの利用やそういったことについて
より取り組んでいこうというのが
グリーンイノベーション戦略の主旨

資料6-1-3
日本全体を5mの分解能で一日に一度撮像できる
これはあくまで事例

現在の基本計画でも3時間に一度 8機体制ということがあるが
要はそういった様々な観測衛星・監視衛星
複数運用しながら
データアーカイブ解析センターを設置することで
その利用を高める

1時間以内にユーザーに即時配信
例えばグーグルの写真はいつ撮られたモノかわからないが
リアルタイムに更新されることによる価値があるのではないかと

資料6-1-3の下
アメリカもデブリ対策にかなり乗り出しつつある
日本としてはデブリ除去について目を向けていくべき

資料6-1-2
要はパッケージ戦略
衛星もそうだが
それを打ち上げて中の部品等々、あるいはシステム
ここに救急車の絵が描いてあるが
交通事故が起きたらクルマから事故信号が出て
自動的に救急車が出動できるようなものがある
それをセットに売り込むことで
他国の防災とか様々な政策全体の底上げを図れる
喜んでもらえることになる
必ずしも救急車そのものは新しいインフラではないが
それに付加価値を付けることでセットで売り出せる
そういうことでパッケージ化を考えていこうと

そのほかいろいろ書いてあるが
質問があれば答えたい

イノベーションエンジンのところは
それほど詳細には触れられなかった
小型衛星打ち上げシステムの開発とか
探査も
宇宙基本計画では月探査に重きがおかれていたが
月にロボットをどう走らせるかよりも
有識者会議としては
探査というものを大きく捉えて
優先順位を高いところから真に必要な探査を行うというスタンス

新輸送システムの開発
無重力環境の利用
基本計画にも触れられているが
頭出しをしていきたい

資料6-2 新成長戦略時代の宇宙開発新体制
現状
いままでも言われてきたのはトータルバランス戦略
宇宙機器産業市場は
国費が2,000億円以上投入され続けているにもかかわらず
産業規模が減ってきている状況
これをなんとか改善しないといけないという
問題意識が有識者会議の中では強い

以前から話している民需をどう広げていくか

そのための新しい宇宙開発体制が右の図
これはもう見ての通り

一方で今日の政務三役を含めた議論では
これは将来的な1つの姿と考えている
現在でもできることはそれなりにある
戦略本部がある
そのなかでしっかり議論すれば
当面の問題は様々解決できる

有識者会議としては理想的な姿として
宇宙庁、経営会議、専門調査会
その元に様々な利用コミュニティが
意見交換できるような体制を描いている

有識者会議の今後について
スケジュールに狂いはない
次回は4/20
この資料からさらに修正が加えられたモノがでてくる

4/20の段階でどんなやりとりがあるか
今日はまだ議論していない
まだ確定していない

これから有識者の先生方と調整して
どういう報告になるのか詰めていきたい

16:30からは円卓会議を行った
初めての顔合わせだっと思う

両方とも大臣の下の会議だが
政権交代以前からの月探査の懇談会
我々も興味深く聞いた

非公表扱いになっているので
誰が何を言ったかお伝えしにくいが
とはいえ思い切って少し話をしてみると
……怒られますかね?(事務方の顔色を窺う)

私も感じていたことで皆さんもうんうんと頷いていたが
懇談会のみなさんも、自分たちが積極的に
自ら基本計画の中に月をやってくれと入れて
自分たちが主人公になって月政策を推し進めていくという
位置付けではそもそもなくて、
基本計画に位置付けられていることで懇談会ができて
その懇談会に集まった皆さんなので、
ともすれば彼らが月政策を推進している主体ではないかという
見られ方をするかもしれないが
それではなくて我々は懇談会のみなさんに意見を伺うという立場
月の意義についていま議論をしてもらっている最中

そういった意味では
なぜ月が基本計画に入ったのかについては
我々がまさに政治の側として
過去の政策の決定過程の検証を行っていくことが本来大事なこと
現在の懇談会の方々に何か問題点があるというような性質のものではない

もう1つは彼らも基本的にはそういったもとに議論をしてきて
いま報告書を上げてくるという段階になりつつある
その中でその報告書をどのように扱うかは
政治の側に委ねられてくる

いずれにせよ、どちらも専門家同士でもあるので
いろんな側面から改めて月探査の必要性についての議論があった

もう1つあった話は
月探査を何か他のミッションと比較をしたという議論ではない
懇談会そのものは

懇談会はあくまで月探査の懇談会をするようにと課題を設定されて議論してきた
月がいいのか金星がいいのか木星がいいのかというのは
懇談会の中での議論としてはありえない

改めて様々な他のミッションと比較してどうなのかということについては
まさに政治の側が戦略として決めて行かなくてはいけないという認識を持った

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質疑応答

Q 朝日新聞
資料6-2 新しい宇宙開発体制について
理想的な形と言ったが
宇宙庁というのは現在の戦略本部に取って代わるものか

民主党の政策集のなかに
JAXAの企画部門と各省の宇宙部門を内閣府のもとに一元化
日本版NASAというのが入っていた
今回の宇宙庁はそれを具体化したものか
民主党のインデックスとの整合性は

A 泉政務官
有識者会議の皆さんは
民主党のインデックスにどう書かれていたかを見て
こういった案を出してくれたとは思っていない
民主党のインデックスはインデックスとして

様々な専門家から話を聞いた中でのインデックスでもあるので
方向性が一致している

民主党とすりあわせをしたわけではない

ただ、それはあくまで有識者会議のみなさんの話
いま政府として宇宙庁を具体的に採用して
取り組んでいるわけではない
今の段階では

宇宙庁が発足すれば
戦略本部とは別ということは多分ない

Q 東京新聞
イノベーションエンジンのところ
無重力実験でタンパク質
きぼうを使った生命科学の実験に繋がる印象
となると経済成長戦略は10年を見越した計画
ISSの延長問題とも関連してくると思うが
このタンパク質実験を盛り込むということは
2015年以降も日本はきぼうを使って生命科学を
やっていくという理解でいいのか

A 泉政務官
無重力環境の利用についての資料
今回初めて提示してもらったが
今日は詳細はあまり触れてない

いままでの有識者での流れでは
ISSにあまり前のめりになってはいけない
その中でこの無重力環境の利用というものが出てきた
それは僕もじつは聞きたいところだったが時間がなくて聞けなかった

資料の位置付けはもう1回聞いてみないと分からない

Q 読売新聞
確認だが月探査に関して
これまで基本計画を前提としていたが
そこも見直すのか
月ではないとする可能性もあるか

A 泉政務官
基本計画では3つの目標を設定している
文面だけいうと
国の総力を挙げて様々な月の可能性を検証していくことになっているが
じつはその後の文章を見ると
検討しても必ず実施するような書き方にもなっていない

一方で純粋な意味で検討してもらったら
その上で実施するしないは判断していい

私が座長に言ったのは
国の総力を挙げて検討するということなら
本当に検討環境がみなさんに与えられてましたかと
私から問いかけた

いまの有識者会議がやっているような機動的な会合の開き方や
必要があればコミュニティに意見を聞くとか
それよりもかつての審議会に近い形で議論されている
残り期間はそうないが
本当に必要であれば追加でどんどん入れても構わないと
私から伝えた

今日の議論のあとに
月探査の懇談会の先生方からは
いまの中間報告からはもう少し書きぶり
より伝わりやすい形の改善はできるのではないか

そういうことは積極的にやっていきたい

現段階では懇談会をしてもらったから月ありき、ではない

月の意義というものついては
全ての委員のみなさんが認めている

月の意義はある
しかし金星、水星、火星にも意義はある
意義がある中での比較
優先順位はまた考える段階に来ていると

先行してこれだけ議論してもらったという重みはある
そこは十分に受け止めながら
だからというわけではない

スカイツリー空撮

4月10日、「東京スカイツリー」の空撮ツアーに参加してきた。スカイツリーのマニアとして最近よくメディアにも出てくる日高彰氏が主催しているもので、今回が4回目とのこと。大体2カ月ごとくらいに実施されているようなので、「乗ってみたい」という人がいれば、彼に問い合わせてみるといいだろう。

スカイツリーToday
http://skytree.reporting.jp/

このツアーでは、ヘリを団体でチャーターする。フライト時間は大体15分程度。新木場の東京ヘリポートからスカイツリーまで飛んで行って、何周か上空を旋回してから戻ってくる。チャーターといっても金額は思ったほどではなく、今回は5名で総額63,000円。1人あたり1万円ちょっとで乗れるのだ(金額は決まっているわけではなく、飛行コースによっても変わるし、そのときの燃料代によっても違ってくる。あくまで一例として考えて欲しい)。

このイベントは基本的にスカイツリーのファン向けなのだが、私の興味はむしろ、ヘリコプターの方にあった(というか、スカイツリーはまだ見たことがない。地上よりも空撮が先になってしまった)。まだ乗ったことがないからだ。欠員が出たということで、急遽前日に彼から連絡が来たのだが、即答で搭乗を決めてしまった。

東京ヘリポート。新木場からは路線バスが出ている

今回、フライトをお願いしたのは東邦航空

今回搭乗したヘリ。フランス製とのことだ。定員は6人乗り

搭乗時は全員がヘッドセットを着用。これで会話ができる

飛んですぐにスカイツリーが遠方に見えた

と、その前に、日本一を奪われた東京タワーも

最初は右側に座っている人向けに右旋回。私は逆サイドで見えないので、しばらく別方向を撮影

次は左側の番。スカイツリーを中心に左旋回に入る

実際のフライトについては、動画を見た方が感覚的に分かりやすいかもしれない

あっという間のフライトだった。せっかくの機会だったので、私は今回、撮影ばかりに熱中するのではなく、半分くらいは肉眼で見て飛行感覚を楽しむことにしていた。存分に堪能できた。

ヘリは最初浮いたとき、ちょっと揺れ方が気持ち悪かったが、すぐに慣れた。フライト時間も15分くらいと短いので、酔う間もないだろう。時間としてはちょうどいいかもしれない。

今回はスカイツリー目的のフライトだったが、他に見たいものがあるようなら、自分でプランを考えるのもアリだ。チャーターでも割り勘にすれば料金はそれほど大きくならないので、同乗者を募って、運行会社と直接交渉してみるといい。

ヘリのチャーターって、意外と現実的なものなのね。

【宣伝】書籍「日本の宇宙産業 Vol.1」が発売

私も執筆に加わった書籍が発売となった(名前は出てないけど)。

宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日経BP出版センター

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(目次)

・特集 ドキュメント宇宙産業 メーカー技術者たちの挑戦
宇宙ステーション補給機「HTV」
「H-IIB」ロケット
月周回衛星「かぐや」

・探訪 ものづくりの現場
ロケットをつくる
人工衛星をつくる
打ち上げを支える

・直言・提言
三菱重工業相談役 西岡喬氏
東京大学教授、理事(副学長) 松本洋一郎氏
スカパーJSAT宇宙ビジネス推進部長 前田吉徳氏

・独自技術で貢献する中堅・中小企業
川邑研究所
ユー・コーポレーション
北陸電気工業
ニチダイフィルタ

・宇宙産業が歩んだ半世紀
・世界の宇宙産業 新興国も台頭、激化する国際競争
・人工衛星を売れ! 欧米メーカーの牙城に挑む三菱電機とNEC
・世界が認めた宇宙コンポーネント

まず見どころは、滅多にカメラが入ることがないロケットや衛星の製造現場を、グラビアでふんだんに紹介していること。撮影はカメラマンの清水健氏。ロケットやフェアリングの内部、また熟練の技術者による作業風景(ハンダ付け、ミシンも!)の写真もあり、これだけでも買ってみる価値はあるだろう。

本文では、ロケットや衛星を開発した技術者に焦点を当てた。JAXAやメーカーに何度も取材し、インタビューを特集にまとめてある。外部からは順調に見えたHTV/H-IIBのプロジェクトにも大変な苦労があったことを知れば、読者は驚くかもしれない。中小企業にスポットを当てたのもユニークなところだ。

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今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第5回会合

4月6日、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第5回会合が開催された。いつものように、会合自体は非公開だが、終了後に泉政務官による記者ブリーフィングが行われた。論評抜きで、取材メモをそのまま添付する(手抜きとも言う)。

4/7追記
提出資料がWEBに公開された。こちらを参照のこと。

ーーーー
泉政務官

今日は16:40から17:40まで第5回の会合を開催した
副大臣だけいなかったがそれ以外は全員出席

資料として5-1と5-2
体制について今日は主に話をした

大臣からは
山崎さんがシャトルで飛び立った
みなさんと喜びを分かち合った

私からは
有識者のみなさんが専門家100名以上を東大に集めて4/2~3に議論
そのときのお礼を申し上げた

それから先生方から資料を使った説明があり
欧州は民需が非常に活発
欧州型の産業構造、市場構造を生み出すべきではないかという
意見があった

テーマ別に宇宙をどう活用できるのか示して
政策課題を解決する視点から
プログラムを策定していくのが大事

これまでは開発研究に重きを置かれていたので
利用について基本法、計画、戦略本部ができたわけだが
いまだエンジンとしては機能するに至っていない状況
早急にそういう体制を作るべきではないかという話

例えば農水省は
様々な農地の調査などに
いろいろと宇宙が使えるという話がある
実地で調べるよりも
衛星を使った方がコストを安くできる
そういったものが徐々に進み始めているが
それぞれの施策を衛星を使ってやればどう変わるのかということを
各省とも構想したことがないのではないか

国交省でも徐々に進んでいるが
取り組みはまだまだ

例としては
ドイツのアウトバーン
トラックの上に通信機が付いていて
それによって自動課金している
そういった取り組みなどは日本はもっと参考にすべき
それがあればETCでゲートがなくてもいい

いろんな施策を検討して実施するにしても
頭脳というかエンジンというか、企画立案部門がしっかりとないといけない

例えば
ガリレオは5名が中核の人材でリーダーシップ
GMESはは2名くらいが意志決定をしている
そういうものを参考にして
あまり大人数で議論ばかりしていても仕方がない

その他諸々いろんな話がでたが
全体を見渡しながら
ポートフォリオ、バランス
そういったものを考えながら、

ここでは研究のために投資、あるいは新規技術のために投資し
ここでは多少損をしてもこちらではしっかりと利用を促進して稼ぐんだと
全体戦略を考えて、そのときに日本政府全体の宇宙政策を実証していく
そういうことが今求められている
そういう人材を育てないといけない

議論は一致している

現在、宇宙基本計画は
年間5,000億円くらいの規模をベースに策定されている
現在政府が出しているのはいま3,000億
まだまだ民間の需要が足りない

政府が5,000億円を出して最初の呼び水にしていくのもさることながら
一方ではできる限り民間の裾野が広がるような投資をして
政府が全部出すのが前提ではなく
民間が利用しやすいような
土壌を作り出すことが大事だと

そういった体制論について今日は話をして
資料5-1にあるように
宇宙庁への権限の一元化が銘打たれているわけで
そういう方向で進めたいというのが有識者の意見だった


質疑応答

Q 日経新聞
その案は有識者会議で
コンセンサスは得ているのか

A 泉政務官
有識者会議のみなさんはよく連携しているので
一致して議論を進めてきていると理解していい

Q 東京新聞
今日の会議では
JAXAの所管問題や組織のありかたについては
出たのか

A 泉政務官
JAXAの中の組織をどうするかについては
今日は出なかった

基本的にはJAXAのこれまでの研究開発を
否定したり削減したりして何かをしようという発想ではなくて、
その成果をいまの時代で
例えば静止衛星では
世界中には260機あって
そのうち日本で打ち上げられたのは2機というか1.5機というか
そのくらいの割合しかない

やはり利用
この部分にもう少し重点をおかないといけないが
現在のJAXAの組織に営業部門を付けても
そこはこれまで研究開発一本できた経緯があるので
何かしら別の部門を作って
これまでの研究成果を活用していく体制が必要じゃないか
そういう意味で宇宙庁というものが出ている

Q 宇宙庁までの移行のイメージは出てきたのか

A 何年に法案を出して、何年までにどうのこうのと
そういう話まで今日はしていない

現在の戦略本部でできることもあるとは思うが
要は今の戦略本部をもっと強化しないといけないし
権限も持って
政府全体の宇宙予算3,000億円
その2/3がJAXAの研究開発に使われているが
その全体戦略を含めて
しっかりと方針を出して
その中に研究開発を位置付けられるという
順序をしっかり整理すべきじゃないか
という方向で進んでいる

Q 読売新聞
来週原案がまとめられるが
その中に宇宙庁や組織論など
すべて盛り込まれるのか

A 泉政務官
今ひとつは公務員の世界のいろんな制約がある
新しい組織を作る場合
定員や局の数の問題がある

これは有識者の構想として
こういった推進体制があればいいなという話だが
実務的にはそれ以外、役所が考えなければいけない部分もある

そのままの提言で出てくるか
それともそういったことを調整した上で現実的なものが出てくるか
まだ煮詰まってない

Q 来週出てくるのは新成長戦略に向けての提言だが
そこにも組織論が入ってくる?

A いろんな新成長戦略に向けての具体的な施策があって
それを今後円滑に推進していくためには
体制の一元化が大事ですよという書き方になっている
順番としては、体制が先に来るわけではないが
いろんな新成長戦略を考えるとこういう体制が必要だろうと提言の中に入る

Q 不明
新成長戦略 2020年まで
という文言があったが
体制に関しては2020年までに、という観点からは
何か記述は入らないのか

A 泉政務官
2020年の時点でのあるべき姿をいま書いているかなぁと
そのプロセスを全く書いていないわけではないが
現時点で宇宙庁を何年までに作るとか
そういうところまでは書いていない

Q 毎日新聞
民間との共同体制をどう作るのか
宇宙庁は役所のイメージなのか

A 泉政務官
議論の中のブレインストーミング的なものでは
新しい株式会社を作るようなイメージかなと
半官半民というと評判は良くないかもしれないが

要はそれくらいの営業感覚を持って
日本の宇宙資源を売り出していくという体制が
必要じゃないかという話はあった

Q 読売新聞
年間5,000億円という数字が出たが
いま国の予算が3,000億円
残り2,000億円は民間に負担をということか

A 泉政務官
いや、負担をしてもらいたいということではない
3,000億円も使い方によってはもっと民需を高めて
同じ100億円でもそこから500億円の成果を出すものもあれば
100億円が100億円として消化される研究もある
そこは予算の使いようと思っている

有識者の意識としては
同じ予算でももっと民需に結びつくものであるべきだし
民間側が積極的に自ら宇宙市場を作っていけるような、
それを後押しするような施策をやれば、
全て政府が出すことありきではない環境ができるのではないか

Q 朝日新聞
今日は大臣からは体制について何か意見や感想は出たか

A 泉政務官
宇宙庁かどうかは別にして
いまから日本が世界に向かって宇宙産業を前面に押し出していく
何らかの体制は必要だと言っていた

Q NHK
JAXAは文科省の所管
文科大臣との調整はないまま出すのか

A 泉政務官
文科大臣の会見ではそういった質問があって
有識者会議で議論されていることについては
有識者会議で議論していることだろうという話があった

今のところ有識者会議は
提言を宇宙担当大臣にするもの

有識者のみなさんが事前に文科省とどこまで調整をするか
必ずしも必須ではないと思う

Q あくまでも提言の段階ということか

A 現段階ではそうだ
しかし有識者の会合には常に大臣が参加しているので
提言だからということではなくて
それなりに提言に重みはある

月探査ナショナルミーティング

4月3日に開催された「月探査ナショナルミーティング」を取材してきた。

公式WEBサイト
https://www.boshu-jaxa.jp/tsukitansaNM/

このイベントが”ナショナルミーティング”という名にふさわしかったかどうか。答えはノーだ。一応、媒体の取材で行っていたのだが、「記事にしない」ということで、抗議の意志を示したいと思う。結局、何のために開催したイベントだったのか。

民主党政権になってから発足した「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」では、いま、本当に月でいいのか、という議論まで出ている。自公時代から続く「月探査に関する懇談会」側としては、月探査にはこういう意義がありますよ、ということを全力でアピールすべきだし、そういう説得力のある話が聞きたかったのだが、驚くほど危機感は希薄。熱意も最後まで感じられなかった。

当日のプログラムは以下の通り。

13:00 第1部講演

13:05~13:20 日本の月探査の現状(JAXA・加藤學教授)
13:20~13:50 米国の宇宙探査と日本への期待(NASA ジャスティン・ティルマン駐日代表)
13:50~14:00 「月探査に関する懇談会」における月探査シナリオ(月探査に関する懇談会・白井克彦座長)

14:00~14:20 休憩

14:20~16:45 第2部討論「日本らしい月探査への夢と希望を皆で語ろう」
パネリスト:
前原宇宙開発担当大臣、JAXA・若田宇宙飛行士
白井克彦、井上博允、古城佳子、長谷川義幸、山根一眞
学生パネリスト5名

16:45~16:55 休憩

16:55~17:30 第3部対談「月探査への期待」
若田宇宙飛行士、山根一眞、前国立天文台長・海部宣男

第1部は、まぁいい。基礎知識があまりない人も会場にはいるだろうから、現状の説明は必要だ。「月探査に関する懇談会」についての白井座長の説明については、いろいろと思うところがあるのだが、それは後述したい。

問題は第2部。「ナショナルミーティング」というからには、この「討論」がメインになるべきだ。時間も2時間25分と長く確保しており、(この手のイベントでありがちな、まず各パネリストがそれぞれ10分くらいでプレゼンして、最後の議論の時間がほとんどありませんでした…ということにならなければ)十分議論になるだろう。前原大臣の出席も意味として大きい。担当大臣がどう考えているのか、議論を通して知りたい。

が、しかし。

「なんじゃこりゃ?」とまず思ったのは、ひな壇の配置。前列に座ったパネリストの後ろに、50人くらいいそうな学生達。この人数で討論するのか? それに、「月探査に関する懇談会」の構成員5名はいいとして、一般からのパネリストが学生のみというのはどういうことだ?

最初に、学生パネリストからのショートプレゼンがあった。面白い意見も少しあったのだが、全体として見れば、若者らしい青臭さがあり、優等生的な答弁といった印象。そりゃそうだ。学生がこんな場に出てきて、批判的なことはなかなか言えるものではない。学生を集めたのは、「将来の月探査を担うのは次世代の若者だから」という理由らしいが、単に、扱いやすいような人選をしたのでは、と思えてしまう。

念のため補足しておくと、5名の学生パネリストは、みな真面目に考えて、参加していた。問題なのは、むしろ大人の側だ。「討論」といいながら、「すごいねー」「しっかりしてるねー」的な反応でべた褒めするばかりで、はなから対等に話し合おうという雰囲気は感じられなかった。一体、何のために集めたのか。

そして最大のガッカリ事項は前原大臣。1時間も滞在しておらず、ひな壇の学生とのやりとりが少しあっただけで、会場との意見交換は全くないままだった。これで国民との対話を果たしたと言えるのか。

発言内容も、あまりにもお粗末。せっかくの国民との対話の場だ。ケネディばり、とまでは行かなくても、「~年までに~をやる!」と宣言くらいして欲しかったのだが、「国民の意見を聞いて決めたい」などの姿勢に終始。挙げ句の果てに、「情報収集衛星はもっと必要」などと言い出す始末だ。彼は、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」で先生方からちゃんとした意見を聞いているはずだが、一体何を勉強してきたのか。もともと、タカ派の政治家なわけで、情報収集衛星が大好きなことは分かっているが、このイベントでわざわざ言うべきことだろうか。

もう1つ。他国が月に人間を送ったときに、日本人がそこに行けなかったら、「誇りや自尊心が失われると思う」というようなことを言っていたが、本気で言っているのだろうか。これは個人的な感覚なので、人に押しつけるつもりはないのだが、私はもう40年も前に人間が行った月に再び誰かが行ったところで、あまりワクワクしない。それよりも未踏の地だ。火星に行くためには大きなギャップがあるが、地球近傍小惑星なら、現実的な予算・スケジュールで実現できるという検討もある。イトカワみたいな小さな星に、人間が立っていたら、もっとワクワクしないか?

加えて言うならば、月探査は、誇りや自尊心などでやるべきことではない。第2部のタイトルにあるような、夢や希望でやるものでもない。これは現実の話として議論していることだ。科学的な意義や、あるいは将来の利用を考えた上で、戦略的にやるべきこと。第2部は、タイトルからしてボケている。いまだに夢だ希望だと言い出しているようでは、建設的な議論ができるわけがない。

前原大臣が退席後は、もうグダグダ。ひな壇の後ろの学生に話を振ったり、たまに会場から意見を聞いたり、1時間以上も、生ぬるい時間が過ぎた。第3部が押し気味だったので、むしろそっちに時間を配分した方が良かったのでは。

話が前後したが、第1部の白井座長の話について、思ったことを少し。私はこの講演中、日本がなぜ有人の月探査を目指すのかについて、白井座長がどう説明するのか、注意深く聞いていたのだが、結論から言うと、満足のいく内容ではなかった。月探査をやるということ。これはいい。科学的な意義は分かる。では、なぜ有人なのか。無人機による探査だけでは駄目なのか。一番大事なのはそこなのだが、明確な説明がない。

私としては、もし本当に「月を経由しなければどこにも行けない」というのであれば、どんどんやって欲しい。私は人類が外へ進出すること自体には大賛成なのだ。しかし実際には、様々な選択肢が存在する。最初が月の有人探査でいいのか。順番の差はあっても、いずれ将来には、月面を利用するようになるだろうが、いま議論しているのは、この10年、20年の話だ。宇宙予算が限られる中で、まずは最大の効果が得られる場所に投資する必要がある。

日本は独自の有人輸送手段を持っておらず、このまま月を目指すのであれば、他国との協力が必須となる。私が懸念しているのは、膨大な経費をかけながら、キーとなる技術は結局他国に握られたまま、という事態だ。とりあえず日本人を月面に送ることはできても、それで日本のプレゼンスが向上するのか。同じだけの予算を使うのであれば、もしかしたら独自の有人ロケット・宇宙船が開発できたのではないか。もしかしたら、小惑星にも行けたのではないか。

もともと、日本が月の有人探査を言い出したのは、ブッシュ前大統領のコンステレーション計画が前提としてあったはずだ。しかしオバマ政権になり、それはキャンセルされた。影響は決して小さくないはずだが、「月探査に関する懇談会」はいまのところ、当初の慣性だけで動いているように見える。米国なしでどうやって行くのか、明確なビジョンが見えてこない。

白井座長からは、月探査のロードマップについて、2015年頃、2020年頃、2025年頃と、段階的に探査機を送るというプランの説明があった。この計画自体は良いと思うのだが、「2015年頃」となると、こんなのんびり議論ばかりしていて、果たして間に合うのだろうか、という気がしないでもない。本当ならば、「かぐや」後継機くらい、もう予算を付けてさっさと開発を始めていないとおかしいのだが。

まぁ、「月探査に関する懇談会」も、当初は2足歩行ロボットの是非について紛糾するという馬鹿げた事態になっていたわけで、今回の説明において、イラストやCGにヒューマノイドが全く出てこなかったのはまだ良かった(上半身だけヒューマノイドの”ガンタンク型”はあったが)。ここにきて、ようやく本来の議論に戻れたということかもしれない。井上委員は相変わらず、ヒューマノイドを支持しているようだけれど。

イベントの最後、前方のスクリーンに大画面で「かぐや」からのハイビジョン映像が映し出され、「ふるさと」の唄が流れる。「いいイベントだった」と感動して帰ってもらおう、という意図が見え見えの演出を、私は冷め切った思いで見ていた。とんだ茶番。これで、「国民からの意見を聞いた」とでも言うつもりだろうか。

この意味のないイベントで、1つ光るものがあったとすれば、それはやはり若田宇宙飛行士の存在だろう。彼は、このイベントのために、前日に来日し、米国にとんぼ返りするという。疲れもあるだろうに、終始笑顔で対応し、自分の役割を果たしていた。それだけに、この内容はあんまりだろう、という思いがある。

イベント終了後、控え室にて、若田宇宙飛行士の囲み取材があった。以下、私の質問への返答のみ抜粋して掲載する。

Q 月に行くにしてもどこに行くにしても、まず地球低軌道に出る能力がなければ話にならない。そういうこともあって、若田さんは「日本も独自の有人輸送手段を持つべきだ」と言っているのだと思うが、気になったのは前原大臣の反応。以前、若田さんと会談したときは、もっと前向きな発言をしていたように思うが、今日は情報収集衛星を力説していたばかりで、ずいぶんと後退したような印象を受けた。若田さんはどう感じたか。

A 大臣からは、日本がやらなければならないミッションは何か、しっかりと見つめ直す必要があるという話があった。情報収集衛星の重要性についても仰っていた。そのために、日本はロケットを持っているんだと。そういう意味では、ロケットの信頼性を高めていくことは、人工衛星を打ち上げることのみならず、長期的に見れば、それが有人宇宙機に使えるような信頼性の高さに繋がっていくと思う。大臣がミッションを明確に捉えているということで、それは有人にも繋がっていくんじゃないかと、そういう風な印象は持った。

Q 今回、後ろ向きになったというようには捉えなかった?

A ええ。前回の会談は、大臣になられた直後だった。それからの間、本当に宇宙のことをしっかりと勉強されて、世界における宇宙開発の現状を捉えた上でのご発言だったという感じを持っている。

Q 個人的には、「日本も独自の有人ロケットを持つ」と宣言くらいして欲しかったのだが。

A そうですね。ただ、やはり宇宙開発担当大臣が自ら、こういうナショナルミーティングという機会に参加して、しかも学生の皆さんとこんな長い時間お話をしてくださったケースというのは、なかなかまれなケースだと思う。前原大臣のほか、泉政務官もいらっしゃってくれたが、政治の分野でも、月探査に関して強く関心を持って、取り組んでくれているという印象を持った。

今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第4回会合

3月30日、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第4回会合が開催され、同日、泉政務官による記者ブリーフィングが行われた。以下にその内容をまとめる。

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泉政務官

今日は第4回の会合を開催した。
大変失礼ながら、私自身は別件で到着が遅れてしまった。
前段の部分の議論は聞けていないが、大体その後の説明を聞いて、
今日は特に新経済成長戦略の進め方というところにほとんど議論を使い、
そして今後のタイムテーブルの確認したということだ。
主にその2点について議論した。

新経済成長戦略の進め方については、
宇宙政策を成長戦略にのせていくときに、
各省それぞれから案が国家戦略の側に届いているという現状がある。
一方で、宇宙戦略本部があるということを踏まえれば、
やはり本部の中で調整しながら宇宙政策を一本にまとめて、
国家戦略のほうにお出しするのが全体の整合性から見ても
よろしいのではないかという指摘が有識者会議から出されて、
基本的に我々政務三役も同じ思いである。

各省からそれぞれ宇宙政策に関する新成長戦略のペーパーが出されているわけだが、
我々はいまそれを集約している。
それを我々自身でよく研究させてもらって、ここはひとつ
有識者会議の皆様にある種の旗振り役になってもらって、
広範な宇宙の専門家、
とくに基本計画にもとづくそれぞれの分野の専門家のかたに知恵を借りたい。
100人くらいの宇宙の専門家、利用・開発それぞれの専門家に集まってもらって、
タスクフォース会合を4/2~3に開催したい。

これは政府そのものの会合というよりは、
有識者会議の有識者のみなさんが新成長戦略に向けての宇宙政策をみたときに、
さらに整合性のとれた、より戦略性のあるものに、
大きく仕上げていくための取り組みであり、
自主的に開いて頂く形を考えている。
場所は東大の本郷キャンパスで行いたいということ。
これは政府の会合ではなく、あくまで有識者の皆さんの自主的な会合。
我々としてもぜひ取り組んでもらって、最終的に良いものを
有識者の先生方でまとめてもらう一助にしてもらいたい。
その動きについては了承した。

その会合を経て、おそらく何らかのペーパーが上がってくると思うので、
それを有識者会議の中で議論させてもらい、最終的には国家戦略のほうに
提出させていただく。

今後の有識者会議のスケジュールについては、
4/6 日本の宇宙開発体制について、何かしらの案を示してもらいながら議論
4/13 成長戦略についての提言の案が出てくる時期、それについて議論
今後のあるべき宇宙開発体制については引き続き議論
4/20 最終的な有識者会議の提言書について議論、検討

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質疑応答

Q 朝日新聞
タスクフォースの役割について
各省からの案をここで議論してまとめるのか

100人の専門家は大人数だが誰がどう選んだのか
もしくはもう決まっているのか

A 泉政務官
現在すべての方のお名前を出す状況ではないが
JAXAのかたもたくさんいる
あとは企業、各省庁の担当者にも声をかけている
実務的、専門的な話をしてもらうので、
有識者の先生方に人選は任されている

役割については
各省庁の方にも来てもらうので、
最終的には一本にまとめたい

Q 新しい提案が出されるというわけではないのか
すでに上がってきているということか

A すでに上がってきているものを
どうまとめるかという理解だ

Q 読売新聞
タスクフォースについて
松井座長の提出資料を見ると、
位置づけについて
中長期的が有識者、
短期的がタスクフォース会合とある
そういった役割分担か

A 泉政務官
そうなる

Q NHK
資料4-4 今後の議題について
4/6の宇宙開発体制案
有識者の先生が案を示して
それをたたき台に議論するのか

A 泉政務官
そういうことをイメージしている
もちろん宇宙庁という考え方や
いまの戦略本部でいかに政策立案を実施していくか
いまはいろんな意見が併存している状況
先生方から案を提示してもらう

Q 何か結論を出すのか

A 多分4/20の最終的な提言の中には
そういうものが入る
政策を実現する体制案などについて提言がなされるのでは

Q 東京新聞
今後の戦略本部の開催予定について
各省庁による会合の開催予定について
教えて欲しい

A 事務局
まだ決まっていない

Q 最終的な提言が決まった後に
戦略本部の会合が開かれて
総理も出席する流れか

A 泉政務官
このゴールを持ってして開くというところまで
まだ我々も決定していないが
いずれかの時期に本部会合は持ちたいと考えている
ただそう頻繁には持てないので、次の本部会合に
どこまでの荷物を載せていくのか考えたい

3/31追記
松浦さんのWEBサイトにも記事が掲載された。私の方はいつもながら単なる”取材メモ”なので記事と呼べるものではないのだが、松浦さんの方にはきっちり考察も書かれているのでそちらを参照するといいだろう。また、有識者会議の秋山先生のWEBサイトには、さっそくそれを受けて、返答が書かれている。そう、いま必要なのはこのスピード感なのだよな。

第1回 ROBO-ONE Light 参戦結果

3月20日(土)、川崎市産業振興会館にて開催された「第1回 ROBO-ONE Light」に参加してきた。これは、認定された市販機または1kg以下の自作ロボットが出場できる格闘技大会。ROBO-ONE本戦のレベルが高くなってしまい、初心者が参加しにくくなってしまったために、新たに設けられたカテゴリである。
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金星探査機「あかつき」報道公開フォトレポート(その2)

続いては、同時に公開された小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」について。「相乗り」の衛星ではあるが、「機械」として見れば、じつはこっちの方が面白い。

概要については、JAXAのWEBサイトでも見て欲しいが、要は太陽光を受けて進む”宇宙ヨット”なわけだ。JAXAのは、薄膜太陽電池も貼り付けてあって、ついでに電力も得られるのが特徴。燃料と電力の問題を一気に解決できる素敵な技術である。

「ソーラー電力セイル」は、せっかくの大面積を活かして、発電能力も持たせたものになる 主要諸元。「あかつき」と一緒に金星に向かった後は人工惑星となる
ミニマムサクセスとフルサクセスの定義。展開に成功するだけでも世界初となるが、せっかくなら加速まで狙いたい セイルの構造。展開時は一辺14mの正方形となる。一部は太陽電池と液晶デバイスになっており、機能を持たせてある
展開する様子のCG。最初はこのようにセイルは本体に巻かれた状態になっている まずは1次展開。先端の重り(0.5kg×4個)を使って、遠心力で十文字に引っ張る
セイルを拘束していたバーを倒して、2次展開を開始 展開後しばらくすると、徐々に安定する
本体の4方向にカメラが搭載されており、展開の様子をモニターする しかし上方からも見たいところ。そのために、分離するカメラも搭載されている
分離カメラからの映像。このような映像が届けば、展開は成功だ 展示されていた「IKAROS」の1/20模型。割と新しいもののように見える
これが「IKAROS」のフライトモデル。セイルは畳まれて胴体にグルグル巻きにされている 上から見たところ。太陽電池が取り付けられている。今回は試験機であるため、セイルで発電した電力は利用しないとのこと
左上の四角い箱が先端マス(重り)。そこからヒモが延びていて、これがセイルを引っ張る。90°間隔でこれが4つ取り付けられている この黒いバーでセイルを拘束している。これも90°間隔で4つあり、右側にスライドしていって、セイルを少しずつ伸ばしていく
展開の様子を確認するために、周囲には90°間隔で4カ所にカメラが取り付けられている 上から眺めるために、分離させるカメラ。こちらは2台が搭載される
太陽電池の面を良く見ると、小さな穴が開いている。おそらく、分離カメラはここから出る セイルは遠心力で展開する。IKAROS本体にスピンをかけるために、ここにスラスタが搭載されている。2つ見えるのは冗長のため

また同日、たまたま試験をしていた水星磁気圏探査機「MMO」の熱構造モデルも公開された。こちらは水星探査ミッション「BepiColombo」として、ESAの水星表面探査機「MPO」とともに水星に向かう。

金星探査機「あかつき」報道公開フォトレポート(その1)

2010年3月12日、JAXA相模原キャンパスにおいて、金星探査機「あかつき」の報道公開が行われた。「あかつき」は今年5月18日の打ち上げが予定されており、搬出前に見ることができるのはこれが最後。前回の公開時には、一部のセンサーや太陽電池パドルなどが搭載されていなかったが、今回は、ほぼフライト時と同様の構成である。

前回のプレス公開については、以下の記事を参照。今回のプレス公開も、すでに各誌で報じられているので、そちらを見てもらいたい。ここでは、フォトレポートという形で、写真を中心に紹介してみたい。

JAXA、金星探査機「あかつき」をプレス公開
~“スーパーローテーション”現象の謎の解明に挑む
http://robot.watch.impress.co.jp/docs/news/20091201_332700.html

JAXA相模原キャンパス。見学も可能だ 必見はM-Vロケットの実機展示
あかつきの概要 主要諸元
搭載するセンサー 射場でのスケジュール
打ち上げ後の運用計画 公開された「あかつき」。製造はNECが担当
初めてセラミックスラスタを採用。従来の金属製よりも耐熱性に優れるメリットがあるほか、コストダウンにも繋がっている(前述の記事参照)。推力は500N こちらの面は放熱面になっており、銀色の「OSR」(Optical Solar Reflector)と呼ばれる部分で太陽の光を反射するようになっている。右側に飛び出ている2つはスターセンサー
姿勢制御用のスラスタ。下向きのノズルが推力23N、横向きの小さなものが推力1Nとのこと 右側にも同じものが搭載されている
上側には、横向きのスラスタはない 右側も同じ。反対面も同じ構成だ
主要なセンサーは、手前の辺に並ぶ。左側の突起物はローゲインアンテナになる 反対側からの写真
これはミディアムゲインアンテナ。可動するそうだ 上方にも同じものが搭載されている
太陽電池パドルが畳まれているので、その下にあるハイゲインアンテナは隠されている。前回の公開では見ることができた 右側が「あかつき」。左側は、相乗りする「イカロス」(IKAROS)

今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第2回会合

「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第2回会合が開催された。
以下は会議後に開かれた記者会見の内容。取材メモをそのまま添付する。

(正式版を掲載しました。速報版との大きな差はありません)

出席者:泉政務官

今日は第2回会合
前原大臣は30分ほどで国会のために退席した

今日の話し合いは新成長戦略に対して
宇宙から何らかの提案をしていくことになるので
そのための議論ということと

月探査についても
各先生からご意見をもらった

また米国の計画についての意見も頂いた

あるいはJAXAの位置づけ、体制についても
ご意見をいただいた

今日は主にそういう点について話し合いをした

意見交換ということで
基本的に何かを決めたということはないが
いくつか話をすると

3/11に宇宙機関長会議がある
基本的にISSの運用の延長については
JAXAとしてもそれを求めてきた流れがある
基本的には今回の米国の方針は
批判をしたり中断を求めたりするものではないが
まだ米国側の具体的な考え方がそう示されていない状況

日本としてはあまり踏み込んで支援を表明したり
具体的な在り方を明言したりすることは
現段階ではしないほうがいいのではないかという
意見が多かった

今後のISSについての米国の考えを注視しながら
もう少し今後の協力のあり方について検討していく姿勢が望ましい

月について
前回の懇談会

その中での基本方針
レジュメでも示されていたが
やはり月での2足歩行のロボット
現時点で目標にする状況にはないという意見が複数あった

月をどう利用活用するのか
もっと明確にすべきだし
本当に月なのかも
場合によっては考えるべき
という話もあった

いずれにしても月であるならば
国民に理解してもらえる理由を明確にしないと

そして体制については
今後宇宙行政の一元化に
取り組んでいかないといけないが

JAXAの中のISASの存在については
いろんな案が提唱されているが
とにかく必要なのは科学をしっかり守っていく
日本の科学の優位性を生かしていく

という意味で、
ボトムアップ、自由な発想、独自性というものが
特に大学と連携している位置付けのISASというものについて、
その役割が衰えることがあってはいけない

体制として
まだ頭の体操のレベルだが
JAXAと同一組織で引き続きやるのがいいのか
それとも分離独立もあり得るのではないか

しかしその場合でも
予算と許される研究の枠が確保されなければ
ただ単に組織を切り離しても仕方ない
一体的に保証されるなかでしかできないので
今後そういうことも検討しないといけない

新成長戦略については
基本計画にもとづいてまずは総花的に記述はするだろうが
一方で2020年までに何を具体化するのか、何を実現できるのかを
より明確に書いた方がいいのではないかと

一般的に、例えば民需の割合を増やすとか
衛星打ち上げの受注をするとかだーっと書いていくが
とはいえ、そうであるならば
より具体的に現実性をもった記述にするべきではないか
という指摘もあった

さらっとした説明になるが
そういったことが今日の議論の中ではあった

前原大臣からは冒頭の挨拶で
「今日はまだ収束するわけではない
思いっきりいろんなことを言ってもらって
議論を拡散していく段階であると考えている」
という話があった

そして30分で退席
議論の途中での大臣の発言はなかった

ーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 朝日新聞
ISSの延長について出た意見
延長そのものに対して意見を留保なのか
延長は前提でどのような協力をということについての留保か

A 泉政務官
延長は前提だと思う
日本の乗り方の度合いには様々あろうということ
離脱するということではないが
全面的協力なのかというと
まだそういう状況ではない
先走ってはいけないという状況

Q 資料には撤退すべきという話もあるようだが
秋山先生の資料

A 秋山先生はそういう意見だった
そうでない意見もあった

山川先生の資料の中には
5P
その中のG
参画はするけれども
積極的に財政負担を、という感じではない書き方

度合いの違いはあっても、
前のめりになってはいけないというところは
共通していた

Q 東京新聞
宇宙行政の一元化
どういうスケジュール感なのか

A 泉政務官
今日の資料でいうと
山川、秋山先生は宇宙庁の創設と言っている

全体計画をしっかり構築できる体制は当然できるべき

政権交代以前から基本的にイメージはそう変わっていないが
すいません、まだあまり進んでませんという状況で
まだ一元化は正直言うとめどは立っていない

Q 委員からはスピード感を持ってやるべきという意見か

A スピード感という発言はなかったが
描かれている絵姿は大体一緒だろうし
やろうと思えばそんなに時間がかかるものではない

Q 実現には難しい側面もあると思うが

A 現時点ではそう
ただそこはある種、政治の決定に大きく委ねられているところ
我々がまだその状況に至っていないということなんだと思う

Q 産経新聞
体制について
これまで戦略本部でのWGが中間報告を出している
それをベースに話しているのか
それと結論はいつまでに出すのか

A 泉政務官
ここまで率直に言うと事務局はドキドキするかもしれないが
今それをベースに話し合いをしているという状況ではない
時期についても設定されていない

Q するとWGとの有識者会議の関係は

A いまは併存
有識者会議は前原大臣の直属組織
戦略本部の中で位置づけられているものではない

常設的にはWGがあるが
今のところWGとしてはいくつかの案を出してもらっていて
その時点での役割はすでに果たした

政治に決定がゆだねられている状況だと
自分ではそういう認識しているが
今のところスケジュールは決まっていない

Q その2つの流れの収斂は専門調査会になるのか

A 有識者会議の場合は
専門調査会にも本部にも上がっていくものではない
あくまでも大臣に対して1つの結論を出していくことになる

Q 読売新聞
ISSについて確認したい
撤退ではないが前のめりはどうかという話
日本政府の方針を拘束するような性質のものか
それとも先生方が言っただけで
機関長会議でJAXAがどう主張するかについて
拘束力はないのか

A 泉政務官
少なくとも宇宙担当の政務三役として言えば
機関長としてのJAXAの理事長がどう発言するか
まだ明確に説明を受けていない

米国であれだけの計画の変更があったことを踏まえて発言するのであれば
当然事前に我々がチェックすべきものと考えている

JAXAがどう発言するのか事前に説明をもらって

現時点での認識としては
今日の有識者からの指摘
それなりに同意できるものだと考えている

政務の側としても、あまり前のめりになるべきではないという見解

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