はやぶさブリーフィング6月
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月27日、小惑星探査機「はやぶさ」のキュレーション作業について、定例の記者ブリーフィングを開催した。説明者は、向井利典・JAXA技術参与と上野宗孝・JAXA/ISAS宇宙科学プログラム・オフィス室長。ちなみに上野室長は4月から現職になったそうだが、前回のブリーフィングでは肩書きを変更するのを忘れていたとのこと。
以下、いつものように取材メモを添付する。
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向井
前回は5月中旬だった
その後5/26
千葉県幕張メッセで
地球惑星科学連合大会があった
そこではやぶさのサンプルの分析関係の特別セッション
多くの聴衆が入って
初期分析の結果が報告された
セッションのあと
記者説明会をやった
初期分析は現在も継続中
成果の一部はすでに論文に
現在査読中
サンプルキャッチャーからの回収状況
これまでA室からの回収をやっていたが
ひとまずB室に以降した
これが6/10
B室の回収は
年末にも話したが
反転して落下法で
石英皿の上に採取
その微粒子をピックアップして
走査型電子顕微鏡で観察を実施している状況
これまでのところ10数個のものが岩石質と同定
これが今の状況
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質疑応答
Q 読売
整理させて欲しい
A室から何個ピックアップしてどのくらい分析に
A 向井
A室については
数で多いのは1,500程度
それと同程度の人工物もあったが
電子顕微鏡で分析した結果それがイトカワ起源
我々のいう回収という段階に入っていない
回収は1つ1つピックアップしてカタログ化すること
同定はしたがまだそこには至っていない
10ミクロン以下で扱いが大変
これまでずっと回収してきたのは
石英皿の上に自由落下法で採集したもの
それが140個前後
それ以外には
一番最初にマニピュレータで1個2個ピックアップした
テフロンのヘラで掬ったもの
それが大体5~60個
合計すると
大体200個程度がA室から回収したもの
初期分析に供したのがこれまで50数個
1月中旬に発表
その後順次配布している
それを分析中なのが現在の状況
Q B室は何個くらい?
A 10数個が岩石質と同定
Q 石英皿の上には何個?
A 難しいが
光学顕微鏡で見た感じでは
岩石質のものは100個以上ある感じ
Q 特別にでかいものは
A 目で見えるもの
0.1mm以上のものもある
補足すると
数については
初期分析の中で数は変化していく
1個の岩石をスライスしたり分割したり
あるいは希ガスの分析に供したものは消耗してなくなる
さきほど説明した50数個というのは
相模原から出て行ったときの数
Q 赤旗
B室のものもイトカワ起源ということでいいのか
A いまのところ断定はできない
初期分析して素性を調べないと
Q 今後調査するのか
A そう
どう扱うかはまだ決めてないが
まずはA室から採集したものと
B室のもので違いがどうなのか
A室がまだ完全に終わっていないが
ひとまずB室の方も調べようとしている
今までの経過からすると大きな違いは無さそう
断定はできないが可能性としてはイトカワ起源の
可能性は高い
Q 朝日
今日初めて明らかになったのは
B室から回収を始めたということで
そこで岩石質のものが10数個あって
その中で肉眼で見えるものも
そこも新しいことか
A ちょっと確認していない
肉眼で見えたが回収できていない
大きいものはマニピュレータでつかみにくい
10~20ミクロン用に設計されたもの
静電気を利用している
大きいと重力が聞いてきて持ち上がらない
0.1mm以上のものもピックアップできている
Q A室はそれだけ大きいものはこれまでにもあったのか
A あった
数はそれほど多くはないが
Q マイコミ
6/10からB室というのはどういう判断で
1年たつからそろそろ、ということか
A そうではない
いまの状況でA室を続けると
完全に回収するまであと数年かかる
A室は2回目のタッチダウン
B室は短時間
その違いを見た上で
またA室にするのかB室を続けるのか
その判断をするためにB室の回収を始めた
そういう意味で「ひとまず」という言い方をした
Q NHK
A室の1,500個の微粒子を扱うため
マニピュレータの作業の習熟度は
スムーズに進められる状況なのか
A 1月に導入して
微少なサンプルを扱う練習をして
扱えることは分かった
テフロン上にあるミクロン粒子
電子顕微鏡で見ながら操作
扱えるがそれをどう初期分析に固定するのか
初期分析もそう簡単ではない
電子顕微鏡で見ながら操作しないといけない
そのあたりをどうするか議論している
それが決まればまたそちらの作業もしないといけない