VIAのTrinityマザーボード

ビッグサイトで開幕した「組込みシステム開発技術展(ESEC)」の取材に行ってきた。右肩上がりのときは、主催者側が「過去最大規模で開催!」などとアピールしているものだが、今回、そういった謳い文句は一切ナシ。実際、NECエレが単独でブースを持っていなかったり、ルネサスやフリースケールに至っては出展すらしていなかったりで、顔ぶれは少し寂しい。

詳しくは記事に書くとして、VIAのブースに「Trinity」プラットフォームの新型Mini-ITXマザーボードが出ていたのが面白かった。Trinityとは、CPU、チップセット、GPUの3つを自社製品で揃えたプラットフォームのことだ。このMini-ITXマザーボードには、S3のGPU(おそらくChrome 400の組込み向けである4300E)がオンボードで搭載されている。

正直なところ、AtomによるMini-ITXマザーボードの価格破壊により、少なくともコンシューマ市場においては、VIAが盛り返すのは厳しいと思う(そもそもVIAがこの市場を重視していないような気もするが)。さらにIONプラットフォームのMini-ITXマザーボード「IONITX」も、ZOTACからまもなく発売される。

まだ正式発表前なので、この新型マザーボードがリテール向けに出るかどうか不明だが(多分秋葉原には流れるだろう)、決して悪い製品ではないので、ZOTACと同程度の値段(シングルコアAtomで約2万円)で出てくれれば、と期待したい。いずれIONITXとの比較もしてみたいところだ。

※5/14追記 記事が掲載された
【レポート】ESEC 2009 – VIAがGPUオンボードのMini-ITXマザーボードを公開
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/05/14/esec01/index.html

宇宙基本計画(案)に対するパブリックコメント

松浦さんのブログに、標記の件についての呼びかけが掲載されている。

呼びかけ:宇宙基本計画にパブリックコメントを送ろう(松浦晋也のL/D)
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2009/05/post-76db.html

恥ずかしながら、私はまだ「宇宙基本計画(案)」を読んでいない。日々の仕事に追われ、まとまった時間がなかなか取れないためだが、官僚の書いた文章というのは、ざっと読んでしまっては真意が分からない場合が多い。重箱の隅をつつくように、細かく見ていく必要があるのだ。

以前、ある省庁とメールをやりとりしたとき、「検討していきたいと考えております」などという文言が入っていたことがあった。常識的に考えれば、「じゃあ検討するんだろう」と受け止めがちだが、この文章で重要なのは、「考えております」の部分だ。文面通り受け止めれば、「考えます」と言っているに過ぎない。

このケースでは、「検討する」とは一言も言っていない。これでは、検討した結果として「実行する」ことなど、まず期待できない。官僚による文章は、一般社会のように、常識を元に、行間を読んではいけない。文面が全てなのだ。一般論として、そういった特徴があるという点には注意して欲しい。

連休に入れば少しは時間が取れるようになると思うので、私もパブリックコメントを送ろうと思う。「国民の意見は聞きましたよ」というアリバイ作りに過ぎないのでは、という疑念もあると思うが、今後の国の宇宙開発に関する方針を決める重要な計画である。少しでも多くの人に意見を出してもらえればと思う。

それにしても、いつも思うのだが、なんでこうパブリックコメントというのは、募集期間が短いんだろう。こんな重要なことなのに、たった3週間かよ。しかもトップページにも出てないし。

ロボットショップ「テクノロジア」

ようやく情報を出せるようになったのだが、秋葉原に、ロボットショップ「テクノロジア」がオープンする。開店は5/8の予定だ。

テクノロジア
http://www.technologia.co.jp/

社長の荒井さんは、この間までは、ツクモロボット王国で店長をしていた人だ。店名から”王様”とも呼ばれた名物店長で、古くからのパソコンユーザーには、「日本で一番X68000を売った男」としても有名。ちなみに私も客の一人で、そのころから荒井さんのことは知っている。

ツクモがヤマダ電機に吸収され、荒井さんもロボット王国の再オープンに向けて努力していたが、問題がいろいろとあり、断念。独立を決心したわけだ(その間の経緯は知っているが、ここでは触れない)。ヤマダ電機もまだ諦めたわけではないようだが、いまだにロボット王国は休業中。店舗があったパソコン本店4Fは、今はもう法人フロアになっている。

この不況は、ホビーロボット業界も直撃している。京商は、すでに事実上撤退。近藤科学はまだ元気だが、正直、どこも苦しい(我々メディアもかなり厳しい、取材費が出ない)。それに加え、業界全体の旗艦店とも言えるロボット王国の”閉店”だ。やっとビジネスとして成り立つか、というところだったのに、大きな販路を失うダメージは大きすぎる。

そのような状況だったので、テクノロジアのオープンは素直に嬉しい。4/29には、ヴイストンも直営店をオープンしている。市場規模の割に店舗が多すぎないか、という懸念はあるが、明るい話題として前向きに捉えたいと思う。不況不況などと深刻ぶってもどうにもならん。気持ちだけでも明るく行こう。

場所はこちら

店舗が入るフロア

H-IIBロケット・CFTの2回目はまもなく

今のところ、H-IIBロケット・CFT(第1段実機型タンクステージ燃焼試験)の2回目は予定通りのようだ。種子島宇宙センターの第2射点にて、本日実施する。機体はすでに出ている。

肝心の実施予定時刻はどこにも公開されていないが、前回は午後2時だったので、適当に推測して欲しい。打上げのときのようなライブ中継はなく、10分おきに更新される定点カメラの映像を見るしかないが、運が良ければ、終わった後の煙くらい見えるかもしれない。

基本的に、ターゲットタイムは正午、1時、2時のように、ちょうどの時間になっているはずだが、この定点カメラは5分、15分、25分のように、更新のタイミングがちょっとずれている。今回の燃焼は150秒と長いので、燃焼が終わって2分半後の映像が見られるかもしれない。

しかし、今の状態を見ると、全体的にかなり白っぽい。こりゃ見えそうにない。

H-IIBロケット・CFTの2回目は延期

なぜかJAXAのサイトにプレスリリースが出ていないが(日曜だから?)、19日12:30に標記の延期が発表されている。理由は天候の悪化。20日から21日にかけて天候の悪化が予想されるので、実施日を22日に延期するとのこと。遠征組は注意されたし。

H-IIBロケット・CFTの2回目

JAXAから、実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)の2回目の日程が発表された。4/20(月)ということで、当初の見込みよりは、やや遅れている。
http://www.jaxa.jp/press/2009/04/20090417_cft_j.html

ちなみに今回のCFTに関しては、プレス対応はない(つまり種子島宇宙センターで取材ができない)ので、これ以上の情報はこちらにも入ってこない。まぁ聞けば教えてくれると思うので、実施予定時刻くらいは後で問い合わせてみたい。

私も見に行きたいところだが、翌日に取材の予定が入っているので、今回もダメだな…。

ツクモ、これはダメかも…

九十九電機がヤマダ電機に吸収されてから1カ月。これまでのところ、あまりいい話は聞こえてこない。

(その1)ポイントという仕組み
量販店らしく、ポイント還元率が大きい商品も増えたが(従来は1%程度だった)、秋葉原のPCパーツショップで、利用者に受け入れられるか疑問。ポイントが付くといっても、その分、価格だけ見れば他店よりも高くなるわけで、いろんな店をまわって比較検討するのが普通の秋葉原では、デメリットの方が大きい。ポイントというのは、囲い込みがしやすい郊外型の店舗でこそ有効なシステムだろう。

(その2)品揃えに問題
以前は現場の裁量で商品を発注していたが、その権限がなくなり(希望は出せるそうだが)、商品が「送られてくるだけ」になったそうだ。そのため、「なんでこの商品がこんなに来るんだ」とか「なんでこの商品がないんだ」という事態が頻発しているとか。品揃えが悪いと、目の肥えたユーザーは来なくなる。それにこんなやり方では、現場のモチベーションが下がる。店員の流出もあるだろう。

(その3)踏み絵か?
これはひどい。会長が書いた『ヤマダ電機の礎』(非売品)なる本が配られ、読書感想文を書かされたとか。こう言っては何だが、やり方に品がなさ過ぎる。ヤマダ電機の経営哲学を教えたいのであれば、社員を集めて訓示すれば済むはず。右も左も分からない新入社員にならまだしも、九十九電機のベテラン社員には屈辱以外の何ものでもない。もっと感情に対する配慮が欲しい。

以前も書いたように、私は個人的に、九十九電機には思い入れがある。それだけに、盛り返せそうにない今のやり方は残念でならない。なんとか再生して欲しいと思っているのだが。

第15回 KONDO CUPの結果

週末に、「第15回 KONDO CUP」に参加してきた。記事はRobot Watchに書いた。

ROBOSPOTで「第15回 KONDO CUP」が開催
~常勝・トリニティに最強のチャレンジャー現る
http://robot.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/16/1720.html

いやー、とにかくスピード☆スターズは強かった。サアガの相手をする場合、2体がかりでボールに当たっていく方法が比較的有効なのだが(止まって蹴ろうとすると、すぐサアガに追いつかれるので、とにかくボールに当たって動かし続けるしかない)、このチームはもう1体も速い。壁のようなキーパーも厄介だ。引き分け狙いならまだしも、こりゃ勝つのは相当難しい。

記事にも書いたが、今回、我々バンブーブリッジは初めてメンバーが揃わず、GIYさんに助っ人をお願いした。バンブーは普段、攻撃を石井さんと私、守備を梓さんと私でやることが多い。なので、必然的に私がキーパーになったのだが、開始1分でゴール前に飽きてしまい、あとはひたすらオーバーラップ。トリニティに負けはしたが、感触としては悪くなかった。

予選1試合目(前半)

予選1試合目(後半)

予選2試合目(前半)

予選2試合目(後半)

AMDイベントのお知らせ

AMDの広報からイベントのお知らせが届いたので、こちらでも掲載。詳細については、4/21に公開する予定とのことだ。ちなみに、”紳士”こと森本竜英氏は同社を退社したとのことなので、イベントはしばらく”兄貴”だけになりそうだ。

■日時: 2009年4月29日(水・祝) 12:00~17:00 (予定)
■場所: CAFFE SOLARE リナックスカフェ秋葉原店
東京都千代田区外神田3-13-2 リナックスビル 1F  
Tel 03-5209-6760 http://www.pronto.co.jp/solare/index.shtml
■概要:
PC自作ユーザー、そしてPCビギナー、プロ志向の皆様まで、あらゆるお客様のお役に立つソリューションを提供するAMDが、新緑の季節を迎え、新製品ラインナップとそのパフォーマンスをご紹介するイベントを、ゴールデンウィーク真っ只中に、東京・秋葉原にて開催します。
パートナー様各社のご協力による実機の展示や、ハードウェアとソフトウェアとの連携によるお奨めソリューションのご案内に加え、超最新CPU・GPU製品の最新デモや、恒例となった“兄貴のロードマップ”、そしてお馴染みのじゃんけん大会、さらに購入者全員プレゼント・キャンペーンも実施します。
また今回特別に、注目のAMD超軽量ノートPC関連情報もご紹介する予定で、密度の濃い内容となっております。

テポドン2号についての論点

ようやく北朝鮮から、打上げの映像が公開された。昨夜の報道番組でも特集が組まれていたのだが、見ていて、どうもキャスターの「これは衛星か、ミサイルか」という言い方が気になった。正しくは、「ロケットか、ミサイルか」だろう。

しかし、ロケットかミサイルかについて、こだわることにほとんど意味はない。技術的にはほぼ同じもので、搭載するのが衛星か弾頭かの違いだけだ。現に、ドニエプルなどはICBMを転用したロケットだが、これをミサイルとは言わないだろう。

番組では、ロケットかミサイルかの判断について、先端の形状に注目する専門家のコメントもあったが、これもほとんど意味はない。先端が丸くないと衛星を搭載できないわけではない。日本で初めて衛星を打上げたロケットもこんな形だ。それに今なら、わずか10cm角のキューブサットと呼ばれる小型衛星もある。何かを載せて、周回軌道に向けて打上げれば、成功させるつもりがなくても、「ロケット」と言い張ることができるのだ。

北朝鮮が「衛星打上げのロケットだ」という建前で押し通す以上、推測のみでそれを否定することはできない。感情的に「それはロケットじゃなくて本当はミサイルなんだろう。だからダメだ」ではなくて、「宇宙開発の権利は全ての国にあるが、あんたのところは国連安保理の決議で弾道ミサイル活動の停止が求められているので、たとえロケットであってもダメだ」と建前で返すのが筋だろう。

それに、このように信頼性に欠けるロケットを他国の上空に飛ばすという非常識も容認できることではない。イスラエルなどは、アラブ諸国を避けるために、衛星の打上げには不利な西向きにロケットを飛ばしている。北朝鮮も、やるのならせめて自国の黄海側(西側)から南の洋上に打上げろ、と言いたい。

前述のロケットとミサイルの違いなどについては、現場の記者ならほとんど知っているハズだが、どの局も、TVに出ている人になるとかなり心許ない。「ロケットかミサイルか」「成功か失敗か」を論じるばかりではなく、もっと問題の本質を正しく伝えて欲しいところだ。

今回のような事件があると、これ幸いとばかりに、軍備の強化を訴える人間も出てくる。報道によると、一部政治家からは、敵地攻撃の検討を求める声も出ているという。国民の不安を煽動する動きにも良く注意したいと思う。

最後に、今日のTPS/Jメールで配信されていた的川泰宣氏のコメントを紹介したい。

「北朝鮮の中にも、あのフォン・ブラウンたちのように、将来北朝鮮の力で宇宙探査をしたいと夢見ながら、ロケット開発に従事している人が必ずいると、私は信じています。いつの日にか、そんな人たちとひざを突き合わせて話し合いたいものです」

いつの日か、そうなることを祈りつつ。

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