月探査に関する懇談会 第8回会合(速報版)
5月25日、「月探査に関する懇談会 第8回会合」が開催された。今回の議題は報告書案について。配布された資料を元に、各委員から発言があったが、反対意見はほとんどなく、微修正程度となる見込み。早ければ今週末にもパブリックコメントにかけられる模様だ。
戦略本部のWEBサイトにもすぐ掲載されるだろうが、当日配布された資料をスキャンしたものを以下に置いておく。
○資料1 我が国の月探査戦略(案)の概要
ページ1
○資料2 我が国の月探査戦略(案)
表紙
目次
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懇談会での議論については、以下に取材メモをそのまま添付する。速記なので抜けや間違いがあると思うが、その点には留意していただきたい。
ーーーーーーここから
宮本参事官
資料2の読み上げ
白井座長
質問は
伊丹
10Pの「その後の実機規模」とは何か
宮本
有人についてのこと
ロボット月探査のこととは別
伊丹
そう明記した方がいい
山根
先週種子島に行ってきた
盛り上がりが変わってきた
身近なものになってきた
この勢いを受けてこの計画も魅力あるものにしたい
月の活動は
太陽系への活動のベース
どんなことが可能か
火星や小惑星
そういうことのベースだというのも入れて欲しい
太陽系全体へ目を向けているんだという意思表示になる
太陽系大航海時代という言葉が使われるようになってきた
こういう考え方が国民もワクワクする
こういう意識が大きくなってくる
その最初のステップ
そういろんなことができないのも分かっているが
そういうことの
あとハイビジョン
ハイビジョンは当たり前になっているので
それが素晴らしいとは誰も思わない
NHKはスーパーハイビジョン
これほどリアルなものはない
こういうものも
日本のテレビ技術は韓国に負けている
そういうものに力を入れるためには
スーパーハイビジョンの中継くらいやって欲しい
そうすると月にいるような
技術的にできるかどうかわからないが
テレビは3Dの時代
ハイビジョンならば3Dで
かぐやのハイビジョンは素晴らしかったが
次の世代を考えて欲しい
ロボットということについては
はやぶさへの人々の思い
はやぶさはロボットだったんだと
あかつきやイカロスもそうだが
若い人が人格を見いだしている時代
アトムやガンダムのような
新しい文化になっている
若い人が身近に感じるような要素があるといい
何か答えてくれるようなもの
例えば月面のロボットが地球に向けて
レーザーを点滅させる
望遠鏡で見れば分かるような
何かメッセージを
遊びの要素も入れたいなと思う
白井
「はじめに」は真面目なトーンだが
3Dはいいのでは
ロボット
最後に言おうかと思っていたが
魅力的なタイトルはないかなと
お知恵を拝借したい
久保田
ロボット月探査には議論
収まるところに収まったかなという感じ
世界初や日本初がずいぶんある
モチベーションとしてはいい
技術的・科学的だけではなくて
社会科学・人文科学との関連は何かないか
と思っていたが
山根委員が言っていたのがそうかと
大学にいると
学生
人材育成
それは報告書に入っていて満足している
オープンな研究開発体制
人材育成が波及効果なのかなと
もっと重要なのでは
またかと思われるかもしれないが
有人の技術基盤構築
が大きく取り上げられたのはいいと思う
いままで有人を正面からやってきたのはない
日本の有人宇宙活動の推進力になるのでは
有人往還システムがカギというのはその通り
前回
有人ロケット、有人宇宙船がこれから
やることだと書いてあることに反発した
ロケットとカプセルだけではない
当面はそうだろうが
将来的に有人を考えるのであれば
有翼で再使用も考えないと
ただここで有人というのは乱暴なので
将来的にはいろんなシステムを考える必要
有人・再使用を含むと書いて欲しいと言ったが
「などの」となっているので
これはこれでいいか
将来的にはロケットやカプセルだけでは
やれないのではと思っている
白井
「など」なので入っていると言えば入っている
里中
「など」は都合のいい言葉
できないと不都合がある場合も
できっこないことを入れてしまうのは大いに問題
確実にできることを書くのが正しい計画書
それはそうなのだが宇宙開発は何が起きるか分からない
テレビも3D、追っかけ再生なども
振り返ると
H-IIA
無駄遣いとか
何になるとか
福祉に回せとか
最初のころは色々言われた
今は多くの人が宇宙開発に理解
夢を抱いている
嬉しいこと
これではやぶさが帰ってくれば
心配なのは昔だったら
もしはやぶさが手ぶらだったとき
何か言われるのでは
しかし、もし手ぶらであったとしても
行って自力で修復して帰ってきたこと
それ自体がすばらしいことをいまは
国民が知っている
イメージ図
確実にできそうなことで出来上がっている
仕事柄つい人目を引く楽しい絵を考えてしまうが
もう少し大胆な
こんなことできるのか? というようなことが
入っていてもいいのでは
白井
事務局は真面目なので
そういうのも入れたらいいと思う
里中
補足すると
こういうものがつまらないものだとは
思っていない
国井
見せ方は仮想空間
ITの技術はいろいろある
報告書全体
重要なポイントを抑えてよくまとまっている
目的は3つにまとめた
技術と科学をバランス良くまとめた
オープン性について
公募なども書かれている
これは重要になってくる
広くいろんな人のアイデアを取り組むのに
今まではクローズドだった
民生も協調されている
日本では女性の研究者が少ない
それも入れてもらえば
折井
いいまとめ方
まとめるのはいいのだが
確実に実行して欲しい
というような書き方をすべき
4Pの2015年
確実に実施としてほしい
今朝 宇宙開発戦略本部
月探査が入れられた
大きなステップになる
山根
だいぶ楽しくなってきた感じがする
さきほどの男女のこと
いまはやぶさの本を書いているが
それぞれ性別を調べてみた
のぞみは女性
はやぶさは男
ミネルバはどうも妹みたい
早い段階で名前を決めて
女性か男性をはっきり
月探査戦略というのは
それはそれでいいが
こういう探査機を送るんだと
探査機そのものを表に出す
逆転した方が一般の人には
分かりやすい
日本のロボット技術
筑波万博
いろんな映像を見たら
日本刀の上にコマ
今のロボットは相当なことができる
例えばはやぶさは
画像認識で位置を航法
ロボットがスケッチして見せるとか
チタンで折り紙とか
一般からアイデアを募集
こういうことを考えていますということを
発表するだけでもいい
鈴木
人材育成の観点で考えを述べたい
夢を与えるという言い方
日本人の大人がチャレンジしている姿を
子供に見せるのは非常に重要なこと
できることだけではなくて
子供が成長するのは
大人がチャレンジしているのを見せること
日本人はチャレンジするんだと
分かるようにしてもらえるといい
与えるんじゃダメ
自ら考えるようにしたいと
将来の技術者・科学者を育てるには
チャレンジしている姿を見せる
葉山
全体の構成はいい
6P 2020年の活動
世界初
サブミッション的な公募
2020年に出てくる?
できれば2015年の初期探査でも
公募プロジェクト的なものも
加えたい
広瀬
普通の国民
月の問題
科学技術
2000億円
有人を入れると2,900億円を10年間で使う
いろんな分野の科学がある中で
僕はこのくらい使ってもいいと思うが
うまく説明した方がいい
地雷除去ロボットやレスキューロボットもやっているが
そういうロボットとの整合性
いくら夢があっても納得してもらえないかもしれない
説明の仕方が重要
井上
子細に報告書案を読んだが
一度委員の意見を聞きたいと
宇宙開発は非常に大きなお金を使う
10年間で2,900億円
意義目的
科学だけではちょっと説明が苦しいかと
代表としてロボットと燃料技術が目玉に入っていたと思う
私はロボットが専門
ロボットの技術を最大限活用して
新しい月探査を行う
イノベーションエンジンとして働くのなら
素晴らしい構想だと懇談会には期待していた
事務局の苦労は大変だっただろうが
5P 2015年は5年後
いま目処がついていないと実行できないので
これは致し方ない
2020年 ローバータイプが有力だが
今後の~となっている
書き方としては問題ない書き方だが
この報告書の中にはチャレンジ精神がない
現実にできることで粛々とやっていくという
ようにしか読めない
変えろというつもりはないが
2020年には~
の下に
先行研究を行うなど
適用可能な最適な技術を
この文章がないと
ロボットの開発は受け身に
世の中の技術が進めば使おうという
受け身の姿勢
技術的にできるかどうか
5年後は難しい
10年後にはできるのでは
先行開発に予算をある程度使うような
姿勢がないと
月の仕組みが分かるかもしれないが
その後で世の中がどう変わるのか
この報告書は何も答えていない
イノベーションエンジンに繋がる部分が表から抜けている
新しく加わってきたのは有人活動
前回まではほとんど議論がなかった
ロボット月探査という場合
ロボットの将来に少しでも投資して欲しい
それがあると種になって産業界が活性化する
最初はこの懇談会でワクワクしていたが
最近はちょっとブルーな感じになってきて
しょうがないかと
略
伊丹
こういう文章を読んで
なるほど、となるよう変えるべきだと思った
2015年にロボットで世界初がないのは納得がいかない
何か作れないかとひねり出した方がいい
古城
分かりやすい書き方になっている
月面からのハイビジョン映像
2015年は月面からとなっているが
2020年は臨場感のある定期的なハイビジョン
これは2015年ではできない?
豊田
2020年は中継のイメージ
2015年は情報をプールして配信
通信技術の容量の問題で
それができるかどうかという問題
今のところは難しい
古城
波及効果
人材育成
理科離れが深刻
そういうことも訴えた方がいいのでは
泉政務官(いま到着)
最後まで出席する予定だったが
参議院の委員が長引いて
またすぐ出ないと
議論も進んできて
私いま空気が読めないので
深刻な話をしていたかもしれないが
感謝したい
山崎さんの件
帰ってきて成功
あかつき・イカロスもいい形
来月ははやぶさの帰還
私もウーメラに行ってみたい
宇宙への関心が高まっている
国民が親近感を持っている中での懇談会
最終的な報告書についても
我々はしっかりと受け止めたい
朝一で宇宙戦略本部が開催されて
私が説明したが
月探査 2020年のサンプルリターンを目指すと
記載した
鳩山総理からは
有人に対する期待の言葉があった
パブコメで意見をもらうが
しっかりと尊重して
重く受け止めたい
宇宙の政策に活かしていきたい
白井
これを実現すると保証さえしてもらえればw
泉
かしこまりましたw
(退席)
葉山
どういう技術でやるんだと
技術革新を引っ張るんだと
これから10年 世界の進歩が激しい
2足歩行 いまは無理だが
2020年にもう当たり前になっているかも
2015年にもうアメリカがやっているかも
7Pのオープンな研究開発体制が重要
きちんとした体制を提言できるかが
議論の結果の1つだと思う
事務局でも検討してもらえれば
毛利
これからパブコメ
2足歩行も含めて
パブコメでいろいろ出てくるだろう
8回に渡って
いろんな観点でここに落ち着いた
いいものができてきたと思う
宇宙関係の人間からの発言がないのは
もう大体この中に入っているのかなと
インド・中国が月探査をしても
もっと現実で役に立つという発想だけ
次のレベルに日本が行くということで
みなさんキツイ意見を述べてくれるのは
嬉しいが
日本は物質的なものにはある程度満足
豊かさの意味が違う
リアルタイムで月からコミュニケーション
生活の質を豊かにするもの
研究開発は豊かにするものだという
発想があってもいいのでは
若者に
「今日の生活をすぐに豊かにするものではない~」という部分はいらない
あと次も文章が長い
的川
宇宙関係者が誰も話さないということで
毛利さんが話がことは重要
私の感想
H-IIA17号機のあと
人から聞いた感想
これで失敗しませんねと
でも種子島では全く逆
準備をして心配をして
一般に宇宙開発
外から見るのと現場はかなり違う
成功が増えるほど心配になるのが本音
この報告書
これまでの議論を踏まえて非常に良くできている
言葉遣いはあるが
雰囲気をもっと前向きに
チャレンジングにして欲しい
20世紀と21世紀では時代が変わった
20世紀は宇宙で競争が激しい
世界的にも戦争
いろんな戦いがあった
21世紀でも戦いはあるが
核兵器や地球環境もあるが
途上国が余所の国をみるとき
教養を見る
パラダイムが変わりつつある
日本は
2050年くらいの予測
GDPは8位になるという
中国はアメリカの2倍
インドネシア、ブラジルにも抜かれる
競争だけでやるとうまくいかない
山崎さんの報道
琴や和服
ロードマスターの仕事も報道して欲しかった
ど真ん中の姿勢をもっと報道して欲しい
日本人が仲間入りしたのではなくて
大きな役割を果たすようになった
そういう日本人が大勢
人と競争して勝つとか
そういうセンスではなくて
貢献するという
宇宙開発を教養の時代と
日本のあり方
負けない、というセンスではなくて
それを通じてどう世界に貢献するか
そういう立場で宇宙戦略を立てるべき
ISSは日本
2020年まで伸ばそうかという
結論も出ていない
時代が大きく変わって
日本が果たすべき役割も変わってきた
月探査以外の太陽系探査
はやぶさやのぞみが獲得したのは
太陽系探査の技術だけではない
挑むことで国民が感動する
元気づける要素がたくさんあった
はやぶさはそういう役割を果たしている
大人がどれだけ頑張っているかを
見せるのは
宇宙開発の重要な側面
月のようながっちりした軸を持ちつつ
はやぶさ的な新技術への挑戦も
宇宙開発の1つの柱に
国際的なプレゼンス
日本がGDP8位になったとき
後ろに行ったと後ろ向きになるのではなくて
8位でも素晴らしい宇宙開発をやっていると言われるように
戦略を立てて欲しい
鶴田
2015年、20年
新しい試みとしてロボット研究者が一緒に
ある種の難しさがあるかなと
従来考えている月探査
サンプルを取ったり分析したり
ロボット技術者が参加する場合
ターゲットが出しにくい
どうやったら双方満足するか
よく分からない
2年後とか5年後とか
探査機の開発は
私が関わった探査
探査が社会からどう見えるか
それは2の次3の次だった
有名な話では
的川先生の提案を
私がむげに断ろうとした
的川
鶴田先生がこのような話を公の場で
話したのは初めて
のぞみのときは
名前を載せてどうするんだと
それより前にハレー探査のとき
名前を集めて一緒に行くキャンペーンを提案した
私もまだ若かったころ
野村先生がイカンと
ロケットは失敗して海に落ちるかもしれない
そうしたら文句を言われる
びっくりした
年取った人はいろいろ考えるモノだと思った
のぞみのときは27万人がメッセージ
野村先生からお褒めの電話
いいことやったと
ハレーのときは握りつぶされたと言ったら
時代が違うんだねといわれた
21世紀になって
かぐやのハイビジョンも鶴田先生にかなり反対された
これは渋谷のある喫茶店で始まった話
宇宙の現場の人がどのくらい国民のことを考えているか
国民と一緒に宇宙開発しているかと
いつも気にかけることが大事
これくらい規模が大きくなると
現場の姿勢が大きな影響を与える
いつも気にかけていれば
いいアイデアが出てくる
そういう方向性を宇宙開発に活かして欲しい
毛利
はやぶさがウーメラに着陸
オーストラリアの方から
これはすごいことなので
日豪で何かイベントができないかと話があった
川口プロマネ
6/6に未来館と
キャンベラとメルボルンの科学館で
川口先生と
向こうの方はサンプル回収に向かうオーストラリア人
みなさん興味がありましたら
6/6は未来館に
久保田
堅い名前の戦略ではなくて
愛称のようなものを付けるのはどうか
白井
いまのタイトル 面白くもおかしくもない
アメリカだともっと落ち着いた名前が付いている
パブコメの前に委員に考えて欲しい
豊田
3週間程度はパブコメにかける
報告書のタイトルはなるべく早く
1週間以内とか決めてもらえれば
宮本
今週中にパブコメにかけられるかなと
事務的にはタイトルが決まっていないと
パブコメにかけられないものでもない
白井
修正の時間はあまりないが
内容の修正は座長に任して欲しい
宮本
タイトルについては明日明後日中にいただいて
座長と検討
なるほど宇宙
なかなか興味深い記事でした。
2020年に GDP8位という認識も、よいことだと思います。
事業仕分けもあり、国民レベルで納得できるテーマを
意識している点も、これからの宇宙開発のあり方で
あろうと思います。
ただし、基本的な考え方のところでも、パブコメを
活用する柔軟さは欲しいと思った。技術開発をどのように
演出するのかも、戦略としては必要だと思いました。