HTV2ブリーフィング(速報版)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月15日、現在ISSに係留中のHTV2号機について、最新状況を説明するためのブリーフィングを開催した。説明者は佐々木宏・HTVファンクションマネージャ。以下に取材メモを添付する。
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佐々木ファンクションマネージャ
資料1P ミッションスケジュール
結合以降順調に作業が進行
暴露側の作業が完了
ー
2P 運行状況の概要
(資料読み上げ)
予定より早く宇宙飛行士が入室
ー
3P 飛行実績
ほぼ計画通りの運用
ー
4P以降 入室以降の状況
予定よりも早く入室
入室は宇宙飛行士に任されている部分
(資料読み上げ)
ー
5P
(資料読み上げ)
スペース的に71%のバッグを搬出済み
アイテム数で40%が搬入済み
ー
6P
昨日
シャトルが接近
国際調整会議を行った
問題ないことが確認
HTVを天頂側に移す準備が始まる
作業
ロボットアームで把持
ロボットアーム
ノード2に基部をおいて作業するが
今回はトラス構造からHTVをつかむ
そうしないとアームが届かない
外した後にノード2のハッチも閉めて
CBMを外して天頂方向へ
結合
スケジュール的には17日にハッチを閉める作業まで行う
18日 ケーブルの取り外し作業
ハッチを開けるのは21日になる 次の日は土日なので
シャトルに
上に付いたとき用の通信ケーブルが入っている
それまではPROXでデータをやりとりする
シャトルが来た段階で
ロボットアームの作業は4時間程度になる
基本的には18日に作業
ー
8P 今後
しばらくは天頂側に設置した状態
2/26にシャトルがドッキング
3/5まで係留
その期間は天頂
離れた後に地球側に戻す
予定では3/8
離脱 3/28
再突入 3/29
ー
9P
アリアン5
明日打ち上げ
ATVは8日間飛行して2/23にドッキング
翌日にシャトルが打ち上げ
ドッキングは2/27
シャトルとATVとHTVが同時に係留
ー
10P
結合離脱計画
さきほど説明
ー
11P
シャトルがドッキング中のコンフィギュレーション
右下にSPDMという特殊目的のアーム
2つぶら下がっているのはソユーズとプログレス
一番右側にATV
各国のモジュールが並んで見える
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質疑応答
Q ?
2/4の会見で勾配炉ラックの不具合
原因や解決法は
A 荒木
原因究明の作業を行っているが
具体的な原因は分かっていない
地上での確認試験をしたい
もう少し時間がかかる
Q NVS
太陽フレアの影響はあるか
対策は
A 佐々木
いまのところ影響はない
対策も特に立てていない
ー東京
Q 共同
資料6P
天頂に移設後 ハッチを開けるのはなぜか
A 搬入は予定していないが
ハッチをあけて空気を循環
温度を良好にしたい
Q CGを見たら
かなり狭い隙間を通っているように見えたが
どのくらい
A 目分量だと
JEMの直径が4.4m
JEMとトラスの隙間を通る形になる
大体10mくらいあると思うので
その間を4m強のHTVが通る
Q 作業する飛行士にとって
このくらい隙間を通すのは難しくないのか?
A 暴露パレットの作業も
この隙間を通ったりするし
隙間が狭い作業もある
特に難しいとかできないという話は
飛行士からは聞いていない
Q ニッポン放送
ケーブルの取り外し
地上だと簡単だが
ISSで行うと何か注意点はあるのか
A 作業自体には特にないが
地上だと気軽に挿したり抜いたりできるが
電源が120Vの直流電源
気をつけないといけない
上流で電源を遮断した上で実施する
Q 時事
移設作業 4時間ということだが
スケジュールを見ると5時間
この違いは
A ロボットアームの作業が4時間くらい
そのほかに結合機構の作業も入る
Q 赤旗
10Pの図
7機
最大何機までできるのか
A 結合ポートとしては
ATVとプログレス 4ポート
シャトル 右側と真ん中の下 2ポートがあるが
しかし現実的には右側のポートだけ
HTVと米国の民間宇宙船 ノード2の地球側、天頂側の2ポート
しかし地球側にいるとシャトルが接近できない
現実的には今回の6機が最大になると思う
HTVについてはモジュールがつくポート
将来的には
Q 日経
勾配炉
マニュアルで動かす方法も検討するというのは
手動では動かせるのか
A 荒木
電気炉
試料を交換する装置に異常があると思われる
手で交換することは可能だが
手順が整備されていないので検討中
実験の実施
いつ回収
いま予定 5月末のソユーズで1回
その後のソユーズ
そのタイミングを逸すると遅れるが
試料そのものは生物試料ではないので
遅れても問題ない
回収時期が遅れるだけ
Q 毎日
写真で撮れるのは何機まで
A 佐々木
ノミナルの計画
シャトルがないとき
3/19にソユーズが離脱するときに
撮影が可能と聞いている
シャトルがついた状態はまだ分からないが
場合によってはソユーズを切り離して撮影する
こともあるかもしれない
NASAが検討中と聞いている
5機は撮れる
6機で撮れるかもしれない
ー筑波
Q 朝日
シャトルで運ぶケーブル
延期になった段階で
天頂側への移設は予測できた
ケーブルが必要になることも分かっていたはず
HTVで運ぶことは考えなかったのか
A 12月の打ち上げが延期
我々としてはそれを取り出して移したいと考えたが
当時シャトルがローンチパッドに移動
縦置き
かつケーブルが荷物の奥にあってとても取り出せない
そのためには戻さないと
結果的には戻したが
その作業をしていると
HTVのレイトアクセスが10日
それには間に合わなかった
Q ケーブルをステーションで作ったというのは
A 1本はもともとJEMの保管室を天頂に付けた時期があって
それが使える
もう1本を軌道上で作った
工具は準備されている
もう作ってあってチェックも済んでいる
Q NVS
CBM 何度も取り外しは想定しているのか
A CMBはもともと
シャトルのコンテナを付けるため
何回も使う
ー東京
Q NHK
宇宙機の撮影
もう一度説明を
A ノミナルだと
シャトルが離れたとき
HTV、ATV、ロシア3機 合計5機が写せる
そのあとソユーズが離脱
シャトルが来て作業が終わったとき
ソユーズを離して周囲を回って写真を撮ることを検討
シャトル、HTV、ATV、ロシア2機 合計5機
Q 共同
天頂側を利用する宇宙機がないが
そもそもリロケーション用だったのか
それとも時号機以降HTVが天頂側から来ることもあり得るのか
A そもそもセントリフュージがとりつく予定だった
それがもともとも計画
キャンセルになったのでポートが空いている
荷物を出し入れするポートは地球側を使っているので
いろんなケーブルがあるので
HTVもこれを使う
今後シャトルとHTVが同時に係留とか
HTVと民間宇宙船が来るようなことがあれば
検討調整しているのは
1つを天頂側に移す
今回はそのデモの意味もある
Q 天頂側の環境の違いは
A 基本的には温度環境の違いが一番クリティカル
それ以外だと特別に大きな影響はない
デブリは上の方が少し当たりやすいがマイナーな違い
評価はしたが問題ない
Q 東京新聞
シャトルが運ぶコンテナ
最後は付けっぱなしで終わると聞いたが
それはどこに付けるのか
A PMMと呼んでいるが
永久的に取り付ける
そのポートは10Pのイラストで
ソユーズの右側のポートの下になる
もともと保管スペースが足りないということで
スペースを確保するために
Q 後のシャトルでもあるのか
A 今回のシャトルでのミッション
今後の予定はない
Q ライター林
廃棄予定の40%を搬入済み
シャトルで出るのを含むのか
ISSに溜まる廃棄品
主にどんなものなのか
A 40%というのは
すでにISSにあった不要なモノを乗せている
それが40%
軌道上にあるものは全てリストアップされている
不要品はこれとこれと
重心を管理しないと姿勢制御がうまくできないので
きっちりとアイテムと大きさ・重量について
NASAと調整して決めてもらうようにしている
Q シャトルのドッキングが遅れた場合
A シャトルが来ない可能性もあった
来ないという前提でのリストをNASAからもらって
そのリストで配置を検討
シャトルが上がったら新しいリストをもらって
配置をまた検討
はやめにデータをもらって検討
廃棄品の概要
不要になったモノ
いろんな実験装置・試料
輸送用の梱包材も馬鹿にならない
Q 国産のLED照明
飛行士のコメントは
A 私も聞きたいと思っているが
まだ聞いてない
特にコメントがないということは
うまく動いていると思う
Q 産経
今回宇宙機がたくさん
居住空間が過去最大になると思っていいのか
A これだけ付くのは一番大きい状態だと思う
Q これだけ全部付くと空間はどのくらいと言えばいいか
A ちょっと即答はできない
Q 地上から見える明るさ
変わったりするのか
A ちょっとよく分からない
シャトルとISSはそれぞれよく見える
それが足された感じか
HTVは影になるので明るさには寄与しないのでは
HTVはMLIと太陽電池で覆われている
あまり明るくない
放熱版が光る
角度によって
私が一度見たときには3回くらい光った
Q これまでで一番明るくなると言えるのか
A 光の当たり具合の方が支配的では
Q たくさんくっついているからこそ
やるようなことはあるのか
例えば高度を上げるとか
A 特にないと思う
Q NHK
ソユーズを切り離して
どっちのソユーズか
どういう向きか
NASA TVで放送するのか
A 広報
まだ決まっていない
どういう画が撮れるかは分からない
できれば動画も欲しい
切り離すのは先に切り離す方
24Sだろう
しかし検討中
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