HTV2号機・Y-0ブリーフィング(速報版)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月18日、20日に打ち上げる予定のH-IIBロケット2号機/HTV2号機に関して、Y-0ブリーフィングを行った。以下に取材メモ(資料を読み上げている部分は省略している)を添付する。
出席者は、中村H-IIBプロマネ(打ち上げ執行主任)、虎野HTVプロマネ(HTV射場主任)、川上射場技術開発室長(企画管理主任)の3名。
ーーーー
中村
ロケットの状況
(資料説明)
ー
射場整備状況
ー
コンフィギュレーション
ー
スケジュール
順調
明日明後日
最後のカウントダウン
ー
今後の予定
MIG/PIG
エンジンの点火器
アーミング
結線作業
ー
天候
あいにく
曇り一時雨
ー
Y-0スケジュール
予備時間は3時間取っている
ー
カウントダウン
ー
飛行計画
分離まで15分5秒
2段ロケットが1周して種子島に戻ったときに再燃焼
減速させて太平洋に落下させる
初めての実験を行う
ー
制御落下実験
正常であれば地上から燃焼の許可を出すコマンド
2段が53秒間逆噴射
落下する場所は5角形
長辺が4,600km
ー
実験の意義
打ち上げ高度が低い
短期間で落下してくる
このミッション固有の取り組みとして
制御落下実験をしようと計画している
機体が健全で
落下推定点が落下点に入ることが確認できた場合に実施
ロケットの判断ではなく
種子島局の可視域で健全性を確認して
許可コマンドを出す
アイドルモード燃焼
ターボポンプを使わずにガスで推進剤を押す
推力は小さいがこのような燃焼モードで行う
ー
制約条件
ー
特別点検
あかつきの失敗を踏まえて
独立的に点検を行うチームを編成
追加的な点検をした
チーム員
虎野さんとかHTVメンバーも入ってもらった
逆止弁の不具合
チャタリングによる閉塞
FTAをH-IIBの逆止弁にもあててもう1回評価
H-IIBの1段2段
151個の逆止弁を使っている
いずれも
ーー
虎野 HTV
スケジュール
ー
射場状況
ー
運用準備状況
ー
HTV2の概要
HTV係留中にシャトルが来る可能性
最大6日間になるかもしれない
変更点
ー
プログレスも来る
STS-133が来てドッキングして離脱
ややこしいことになる
シャトルが来るとカーゴベイにロボットアームが近づけなくなる
HTVが邪魔になる
HTVを天頂側に移さないとだめになる
リロケーション
シャトルが離脱したら下に戻す
温度の制約が出てくる
解析に時間を要したが
結果的に問題ない
ーーーーーーーーーーー
質疑応答
Q 鹿児島テレビ
天候は問題ないのか
意気込み、心境は
A 川上
気象については制約条件が定められている
A 中村
2回目
いよいよステーションの運用
国際約束をはたす重要なミッション
あかつきの失敗もあるので
我々としては
22年度としては最後の打ち上げだが
23年としては
さい先の良いスタートを切れるようにがんばりたい
A 虎野
さきほど説明を忘れたが
特別点検
HTVでも実施した
推進系のトラブルは徹底してやった
HTVは重量的にシビアじゃなかったので
2重冗長になっている
シリアル・パラレル
1フェールでもミッションは遂行できる
2フェールでも安全
外部の有識者にも見てもらった
HTVのハード・ソフトに改修が必要な部分は見つからなかった
2号機は成功して当たり前、100%と思われているかもしれないが
それがプレッシャーになっている
我々は常に地上からコマンドを打って運転をしている
運転ミスの可能性もある
ミスしないようにするのがなかなかしんどい
こんな長い間係留
緊張が2カ月以上続く
しんどいが元気を出してがんばりたい
Q 氷結層は大丈夫か
A 川上
予報は雨なので雲はある
氷結層が最大の注目すべき点
今日の厚みは結構ある
Q 共同
GO/NOGOの判断は
A 川上
Q 南日本新聞
打ち上げ費用はどのくらいか
A 中村
H-IIAと同じようにいずれ民間に移行
具体的には公表していない
Q 逆止弁
HTVにどのくらいあるのか
A 中村
HTVではシリアルに上流下流 閉じなくなっても大丈夫
それがパラレルになっている 開かなくなっても大丈夫
Q ?
HTVに対する期待度 国際貢献の
有人を見据えた期待度
A 虎野
2号機から運用機になる
今回を含めて少なくとも6機は上がる
大きな荷物の出し入れが可能
期待されている
初号機のあと NASAから賞賛
各国から大きな荷物を運べると期待されている
荷物の量だとATVとほぼ同じ
しかしATVのドアは小さい
将来的
内部ではHTVのことを宇宙船と呼んでいる
HTV-R 将来有人化したい
与圧部を帰還カプセル化して荷物を載せて
Q ?
最大60日
シャトルが来る可能性があるから?
A 虎野
ドッキングしている間に天頂側に移動
その後元に戻す
シャトルが遅れるようならとっとと離脱したい
Q シャトルが遅れたら短くなるのか
A 佐々木
2月中には離脱する方向
Q
A
パラメータの計算に抜けがあった
再計算したら0.数kmの誤差しかない
それで3つ
もう1つは現場の点検を念入りにした
燃焼ガスによって腐った部分が飛散しないように
それで4件
電気がどうのとかいうのはなかった
Q 打ち上げには海外からの視察は来るのか
A 虎野
NASAは来る
A 佐々木
欧州はATVがすぐあるので来れない
NASAからはインクラインが来る
Q ロケット
逆止弁 151個
なんでこんなに多いんだ
A 中村
一番多いのは1段エンジン 46個
それだけで92個
2段の5Bが
Q エンジンに逆止弁が多いのはなぜか
A ガスの圧力で回転させたり
開いたり止めたりする
いろんな系統に流してパージすることも
逆流したら困るエンジンシステムなので
そういうところに入れている
結果的に1段エンジンに46個
Q あかつきと同じなのか
A あかつきのは小さい
ここで言っているのは同じ会社のものということ
酸素タンクの加圧ライン
合計2個使っているが
サイズが全然違って大型
5~6cmもあるもの タイプが違う
日本の特注品
Q それ以外のバルブのメーカーは
A MHI名誘が担当
ー東京
Q 東京新聞
ドラゴン
早ければ年末にも補給を開始する
ハッチの開口部も大きいし暴露も搭載
HTVと比べてどうか
A 虎野
私が評価するのは変だが
良き競争相手
いろんな機材をたくさん持って行かないといけない
大型を運べるのがHTVだけというのが
ISSの存在を危うくしている
絶対ということはあり得ない
そういうときにHTVしかなかったら問題
ドラゴンがあるのは
全人類的にはいいこと
Q 2号機は電池をヘラした
リチウムで良かったか?
A こんなにいらないので
余裕をヘラした
Q 読売
60日
A その通り
Q 大塚
HTVにもあかつきと同メーカーの逆止弁はあったのか
A 虎野
なかった
ー筑波
Q NHK
打ち上げシーケンス
表と違う
A
Q NVS
前回のライブ中継
キーン音はなにか
A 中村
1つ可能性は
射場
水を噴射するタンクのガス
A 虎野
もう1つはガスタービンの音かもしれない
A 中村
窒素ガスの音と現時点でなっているそうだ
Q 読売
ロケットの逆止弁
大丈夫なのはなぜ
A 中村
1段の酸化剤
100%開いて使う設計にしているので
一度開くと中途半端に
振動するような使い方はしていないので
閉塞するようなことはない
Q 1回開いてしまえば開きっぱなしということか
A その通り
Q 赤旗
2段制御落下
デブリをなくす目的か
A 中村
HTVの軌道は高度300kmと低い
打ち上げて普通でも3日で落ちてくる
正常ならデブリになることはない
3日で落下するものなので
安全という観点だと
リスクはゼロではない
管理して無人の南太平洋に落下させれば
死傷率はゼロにできる
より安全にするための取り組み
Q 読売
死傷率 初号機はどのくらいだったのか
A 仮の値はあるが
具体的には公表は控えたい
これまでに上段や衛星
スプートニク以来50年打ち上げてきて
リスクとしては実体的には小さい
14年くらいまえにアメリカの女性に
ロケットエンジンの繊維が当たったくらい
生活上のリスクに比べても非常に小さい
Q その女性はけがは?
A 燃焼室のガラス繊維がひらひらして肩にあたっただけ
けがはなかった
ー筑波
Q NVS
燃料注入後の延期
インターバルは何日
A 中村
1段のタンクは1.7倍だが
H-IIAと同じに中2日
3日後には再打ち上げが可能
ー種子島
捕捉
NASAのほかタイからも視察
1/72 スペースクラフトシリーズ No.02 HTV (宇宙ステーション補給機) | |
クリエーター情報なし | |
青島文化教材社 |
1/72 スペースクラフトシリーズ No.03 HTV-R (ISS物資回収機) | |
クリエーター情報なし | |
青島文化教材社 |
宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1) | |
宇宙航空研究開発機構(JAXA) | |
日経BP出版センター |