あかつき取材まとめ

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日本初の金星探査機「あかつき」について、マイコミジャーナルで記事を書いた。本当は、12/7朝の軌道投入開始で小林記者が速報記事を書いて、夜の記者会見で私がレポート記事を書く手はずになっていたのだが、ご存じのように、金星周回軌道への投入失敗で予定はグダグダに。結局記事は4本になってしまった。

【レポート】金星探査機「あかつき」にトラブル発生 – これまでの状況を整理する

【レポート】金星探査機「あかつき」の周回軌道への投入は失敗、6年後の再投入を目指す

【レポート】金星探査機「あかつき」続報 – エンジン噴射中に1回転していたことが判明

【レポート】金星探査機「あかつき」に新情報、燃料タンクの圧力が異常低下していた

ちなみに12/7は、私は相模原キャンパスに行かずに、自宅で仕事をすることにしていた。たまった仕事をなんとかする必要があり、担当している22時の会見だけ行けばいいか、と思っていたのだが、どのみちあかつきが気になってあまりはかどらなかったので、こんなことなら行っておけば良かった…と思わなくもない。でもまぁ、相模原は遠いのよ。ということもあり、上記の取材はすべてJAXA東京事務所でのネット中継だけで行った。


「あかつき」の現在の軌道の推定値(赤色)。今後、かなり太陽に接近することが予想されている。

これまでに分かっている事実は大体記事にまとめた通りだが、まず「高圧ヘリウムの供給系に問題があり、燃料タンクの圧力が徐々に低下した」ことと、それによって「燃料の供給量が少なくなって、軌道制御エンジン(OME)の推力が徐々に低下した」ことは確実。これらのことは、データレコーダに残っていた推進系や姿勢系の記録の解析から明らかになっている。


探査機の角度の履歴。OME噴射後152秒から姿勢を大きく崩し始め、158秒後にはX軸周りに42°まで傾いた。


探査機の角速度の履歴。


探査機の加速度の履歴。本来ならば、噴射を続けると消費した推進剤の分だけ探査機は軽くなるので、加速度は右肩上がりにならないとおかしい。


燃料タンクと酸化剤タンクの圧力の履歴。本来ならほぼ一定になるはずだが、燃料タンクの圧力が徐々に下がっている。


石井プロジェクトエンジニアリングマネージャによる手書きの推進系系統図。燃料と酸化剤を高圧ヘリウムで押し出している。

ただ、これがOME噴射後152秒から起きた大きな姿勢の乱れには、直接的には結びつかない。現在、解析が進められているところであり、推測は避けたいが、記者会見でのやりとりからは、「酸素過多になったことによるOMEの異常燃焼(破断?)」や「共通の燃料タンクを使っている姿勢制御スラスタ(RCS)の動作異常」などが疑われているようだ。

次の会見はいまのところ予定されていないが、また事実が明らかになり次第、続報をお届けしたい。
(12/15追記)次回の会見は17日(金)にセットされた。

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