HTV2号機説明会

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月25日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)2号機を種子島宇宙センターにてプレス公開、あわせて説明会を開催した。私は種子島には行っていないのだが、東京事務所の中継で説明会のみに参加してきたので、内容をここで報告したい。

種子島での説明者は、虎野吉彦プロジェクトマネージャと佐々木宏ファンクションマネージャ。説明会の資料については、以下のWEBサイトからダウンロードできるので参照して欲しい。

HTV2号機説明会資料(PDF:3.5MB)

プレゼンはほぼこの資料に沿って行われたので省略して、質疑応答の部分のみ以下に掲載する。

ーーーーーー
種子島から

Q 西日本新聞
2号機の製造費用はいくらか
打ち上げも含めて

A 虎野
H-IIBの価格は知らない

HTV2号機は140億円

A 東京広報
ロケットについて
この前の機体公開でプロマネは
民間移管時の受注交渉に影響を及ぼすので
差し控えたいと回答していた

Q 実験機器について
どういう実験ができるのか詳しく

A 虎野
東京側から説明する

A 東京
実験装置について

ラックが2つ
資料13P

Q 与圧部の拡張
いままでの余白を有効活用したのか

A 虎野
初号機は真四角になっていて
真ん中の空間が少し空いていた
あそこにもモノを詰めるように
新たな治具みたいなものを作って
その分たくさん荷物を詰めるようにした

荷物は容量もあるので密度によっては
めいっぱい積んでも6トンにならない場合がある

ー筑波

Q 読売
2号機になって
技術的な改善点は

A 虎野
国産化の部分
LED照明と
ISSとの間の通信機

もう1つは
初号機の異常
その対応をとった

大きなものが3つあった

1.GPSの航法値の誤差がどんどん蓄積する
軌道制御に困った状態になった

初号機では定期的にリセットしていたが
2号機ではソフトウェアで処理をすることにした
初号機のように定期的にリセットしなくていい

2.スラスタの加熱
ISS直下500mから上昇するときに
スラスタの一部が高温化した

もともとISSよりも低い軌道を同じスピードで飛ぶのは至難の業
物理的には、普通は早くしないとどんどん落ちる
HTVは下にエンジンを吹きながら
プールで立ち泳ぎをしているようなもの

そこで温度が上がったが
スラスタ自身は高温に耐えられるが
センサーが高い温度に耐えられない
2号機ではもっと耐熱性が高い温度センサーに変えた

3.コンピュータのいくつかが運用中にフリーズ
これもGPSがらみだが
週や日が変わると時刻が変わる
週の番号、日の番号、時間の番号、分、秒、
うまく同期しないときは
まだ週替わりしていないと認識
処理が長くかかる

これもソフトのバグ
これを修正してフリーズしないようにした

ー東京

Q 朝日
実験ラック
JEMに入れるのか

A 東京
その通り

Q LEDのメーカーは

A 虎野
パナソニック電工

Q 今日NASAがディスカバリーの延期
2号機への影響はあるのか

A 12/18ころなら問題ない
予定通り打ち上げて運用できる

Q それ以降になるとシャトルが優先か

A 優先かどうか決めるのはNASA側になる

Q HTVとシャトルは同時に接続できないのか

A 佐々木
同時にランデブーはできないが
係留中については可能な見通し

シャトルが係留中にHTVはランデブーできない
HTVが係留中にシャトルがランデブーするのは
まだ確認中だが可能だろう

Q 時事通信
延期になると
打ち上げの時間はどう変わる

A 佐々木
3:03ころ
24分早くなる

Q 大塚
与圧部の補給能力が最大4.5トンから5.2トンに増えたのは
スペースが広くなったからか

A 虎野
初号機よりもたくさん積める治具を開発したので
そういう表現になった

Q 与圧部にもっと積めるようにしたのは、そういうニーズがあったからか

A ニーズもあった

Q 与圧部の荷物が重くなったときに、大きな開口部がある
曝露部にかかる負荷は大丈夫か。何か対策は

A 解析の結果問題ない
5.2トンを積み込んでも大丈夫

Q 再突入を地上から撮影する予定はないか

A 虎野
我々もやりたいとは思っているが
撮影には結構お金がかかる
船にしても飛行機にしても
距離が遠いこともあって相当のお金がかかるということで
とても我々の懐ではできそうもない

Q 見たいんですがw

A その代わりと言ってはなんだが
いまNASAやESAと調整している

落下中に極力データを遅れるような
通信装置を最終搭載(打ち上げ1週間前の予定)で
レイトアクセスということで
データ通信装置を搭載する方向で調整している

うまくいけば落下中に
電波でHTVの状況がある程度は送ってこられるだろう

送られるのは
温度や加速度などのデータ

Q ニッポン放送
搭載物資で何か特徴のあるものは
例えば食料など

A 特に変わったことはないが
初号機でなくて2号機に載せるモノは水
80kgくらい
ある意味試験的に載せる
23Pに詳しく

Q 産経
船内物資と船外物資のそれぞれの重量

A 11ページに
比率は書いてあるが

A 東京
与圧部 3.9トン
曝露部 1.4トン
合計 5.3トン

あとはレイトアクセスが少しある
それも込みで5.3トン

Q では全体で15.8トンか

A 虎野
荷物込みで16.0トン

残りの200kgは推進剤を多めに積む

Q カナダやESAの分の荷物はないのか

A 東京
ない

A 佐々木
リエントリの観測装置はNASAの装置

A 虎野
ESAのもあったような気がするが…
あとで回答する

A 東京
確認した
ESAのものは乗っていない

Q 今回の荷物で来年古川さんが使うものはあるのか

A 虎野
HTV側としてはこれがどこで使われるかは把握していない
東京側で

A 東京
こちらもHTVの担当しかいないが…

Q 与圧部の拡張で増えた重量は何百kgか

A 佐々木
スペース的には
ラックが40個分確保されている

Q 読売
2号機で試験やデモはないようだが
ISS到着まで同じ8日間かかるのはなぜか
デモがなければ短縮できるのでは

A 佐々木
8日間というのは
日本時間では同じに見えるが
前回は午前2時 今回は午後
実質的には7日間のランデブーと考えている

5日間でも可能だがドッキングできるタイミング
飛行士の作業のスケジュールも決まっている
2日間の余裕を持たせてNASAと合意した

打ち上げが遅れたときは
ここで1~2日を吸収する考え

Q 初号機のミッション期間が長くなったのは
曝露パレットの運用と与圧品の輸送廃棄を別に

今回は同時に
今回積んでいるものだから
与圧部と非与圧部を同時にできるのか
それとも前回は慎重を期してやったのか

A 虎野
後者 慎重にやった
本来は同時にできる

あとは飛行士のスケジュールもある

Q ATVの運用のスケジュールはどうなっているか

A 佐々木
2号機は2/15に打ち上げ
ドッキングが2/26の予定

Q HTVが離脱した次の日にドッキング?

A その通り

Q もし天候でHTVの打ち上げが何日も遅れた場合は
ATVの日程にも影響がでるのか

A 係留期間も調整できるが
最終的にはNASA/ESAと調整することになる

Q 日刊工業
初号機からの仕様変更による
コストの変動は

A 虎野
設計変更に基づくコスト変動
国産化については当初の既定路線
増減はない

2号機以降の部品はまとめ発注している
各号機のコストの増減にはほとんどきいていない

今回の改修の影響はほとんどない

Q スラスタの温度センサー
具体的にどう変わったのか

あと通信装置のメーカー名は

A 当初は熱電対型
せいぜい300℃くらいしかもたない
白金センサーに変えたので飛躍的に高温までもつ

通信装置は三菱電機

1/72 スペースクラフトシリーズ No.02 HTV (宇宙ステーション補給機)
クリエーター情報なし
青島文化教材社
1/72 スペースクラフトシリーズ No.03 HTV-R (ISS物資回収機)
クリエーター情報なし
青島文化教材社
1/200 スケール H-?B ロケット レジンキットモデル
クリエーター情報なし
ビー・シー・シー
宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日経BP出版センター

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