はやぶさウィークリーブリーフィング第11回
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月9日、はやぶさカプセルのキュレーション作業について、定例のブリーフィングを開催した。説明者は、向井利典・JAXA技術参与と、上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。
以下はいつものように取材メモ。
ーーーーーーーーーここから
向井
前回も説明したが
新しいヘラを使って採取した微粒子について
電子顕微鏡で観察して
粒子の同定とマッピングを継続している
前回は800個だったが
この2週間で増えて1500個になった
こういった微粒子の初期分析には
大半がミクロンオーダーなので
光学顕微鏡では見えないので
取り扱いに特殊な技術が必要
ナノテクのメーカーや専門家など英知を結集して
準備しているところ
今後どう作業していくか
分析に時間がかかっているが
いくつかオプションがある
現在は
B室の開封とサンプル採集を優先することにして
現在その準備をしている
まだそういう状況が現時点での状況
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質疑応答
Q 読売
1500個というのは地球のものは除いた数字か
A 向井
明らかに人工的なアルミとかではないもの
地球外かどうかはまだなんともいえない
Q これは最初のヘラについていたものか
A 最初のヘラのまだ片面だけ
Q 毎日
B室 今後の段取りは
1500個の扱いはどうなるのか
A 向井
1500個の扱いは
ヘラに付いた状態なので
次の分析にはまず動かさないといけない
ピックアップの準備をやっている
光学顕微鏡では見えないので
電子顕微鏡を見ながら操作できるマニピュレータを準備している
いずれは初期分析に回るがいつかは現時点ではなんとも
A室をしらみつぶしに調べてからB室に行くのも考えられるが
いまの状況だと何年かかるかわからないので
現在はB室の準備をしている
段取りを決めて
開けるといっても
B室が下にあって蓋がある
ひっくり返さないといけない
A室の中にまだ残っていたらどうなるんだとか
いろいろあるのでその準備をしている
B室の開封
ネジを取ればいいというものではなくて
いままでリハーサルはしてきたが
そこは慎重にやりたい
手順は一応検討したものがある
Q 時期の目処は?
A 今月いっぱいには開くと思う
いままでの作業と並行作業になる
人も限られるので完全にパラレルにはならないが
今月20日か21日に点検のために停電がある
いま中にサンプルがあるので止まるのは困る
環境の整備
シャットダウンの仕方とか
再立ち上げの方法とかも
鋭意検討している
その前後の時間
あと連休もある
時間的に
できるだけ早く
間違いなくやりたい
Q 読売
確認だが片面が終わって1500個なのか
もう片面がまるまる残っていると
A まだひっくり返さないといけない
Q B室が今月中ということだが
A そういう予定だ
Q B室を開けてから
もう1回A室をヘラでやることは
A 向井
(かかってきた電話に出る)
A 上野
ヘラはA室は中断してB室に行く
Q 今の段階でA室を中断するのは
B室の方が有望だという理由か
A 向井
それよりもいまはヘラで分析
どう取り扱うか確定しないと
目処がないと
たくさんヘラで捕まえても
処置の仕方に困ることになる
その目処がついてから
次のステップに行きたい
たくさん粒子があることは分かったが
初期分析にどう回すか
目処がないと
次の作業に移るのは危険だという判断
B室はまだ開けてないし
たくさんあるかもしれないしないかもしれない
それよりも全体を見渡した方が
最後またA室に戻ることもあり得る
Q B室を開けて
ヘラを使うかどうかはわからない
A ヘラの作業はは慎重にしないといけない
A 上野
ヘラの作業自身は
回収作業がそれなりに大変なのが分かってきている
数も多いので
今後どういう方法がいいか並行して考えながら
初期分析に入る時点で
全体の様子が分からないと目処が立てられない
あまり極端にスケジュールが遅れるのも望ましくない
B室への準備に向かっているところ
Q 媒体不明
A室のヘラの観察も今後も平行して続ける
作業が倍になるが人員の関係からどうか
A 向井
人員は限られる
どんどこどんどこやって間違いがないように
次どうするかは一回開けて見てから考えたい
また裏面も続けるかどうかも
いまはB室を優先
A室にばかり集中するのは
Q NHK
ヘラから回収したあとの作業
小さい粒子の取り扱いが大変で
取り扱えない可能性も出てきた?
A 向井
現状では取り扱えない
マニピュレータもない
Q 新たな設備を追加すれば
できるようになるのか
A その準備をしているところ
電子顕微鏡を見ながら操作できるマニピュレータの技術を
持っているメーカーがいるのでそこと相談しながら
いま作っている
できるとは思うが初めてのことなので
Q B室を開けるまでの手順は
A 最初にやるのは
ひっくりかえしたときに
A室からこぼれないように蓋をして
残りがないように
ネジをロックしているワイヤーがあって…
A 上野
当初から何度かA室を扱って
最初は自由落下でまず調べていて
その後作業していてひっくり返してどうなるか
もともとの蓋を閉めるのでは扱いにくいので
確認できる方法で作業しないといけない
ネジがゆるまないようにワイヤー止めがあるが
それを順番通りにほどかないといけない
A 向井
B室の構造はA室に比べると複雑
それを順番に取っていく
ネジを外すのはこすれる部分が出る
そういうものが影響を出さないように
どんどん人工のものを落としかねない
自由落下はしていなかったような…
最初A室をあけても何もなかったので
A 上野
細かいパウダーのようなものなら落ちてこない
かなり大きなものでないと転がり落ちないだろう
A 向井
一見して大きなものがなかったので
最初は自由落下しなかったような
従来の方法で採取したシャーレもあるので
ちゃんと順番に保管していかないと
サンプルをなくさないように
慎重にやっている
Q 東京新聞
ヘラについた粒子のピックアップについて
ピックアップのあとどうやって保管するのか
A 上野
現在検討中
大きなものは中空の石英の中に封入する予定だったが
小さいものでそれをやると見つからなくなる
配布を前提にするなら何らかの固定が必要
そのあとの分析にあわせて方法を考えないと
一種類の方法で全部をやるのは無理かも
いま検討中
Q ピックアップするには
容器もできないとということか
A 専用の受け皿が必要になる
分析の担当とも相談をしていて
将来の分析に困らないように
材質も含め検討中
Q 赤旗
A室 のこったものに蓋
そこにかなりの部分が残るのか
A 向井
いつかは分析する
A 上野
B室のあとにA室に戻ることはあり得るが
そのまま現状保管することになる
Q そのことで分析上のデメリットは?
A ベストな方法に達しているかどうか分からない
窒素雰囲気の環境に置いておいた方がいいだろうということで
Q 共同通信
B室 開けて見ないとわからないが
最大でどのくらいのものが見つかりそうか
もっとも楽観的なもので見通しは
A 向井
誰も知らないから難しい
期待としては
長時間いたし
でも時間が長いからたくさんあるとは限らない
上がり方とか
弾は出なかったし
表面のレゴリスのサイズ分布にもよる
0.1mmくらいあればいいなとは思うが
Q 最初にCTで1mm以上がなかった
それ以下ということか
A そういう意味ではない
コンタミは2~3mmのものはあった
あの素性はまだ分かっていない
あれがどこから来たかにもよる
いかにもねぇという気はするが即断は避けたい
Q 読売
B室は開けて光学で見るところまでは行く
A 上野
光学顕微鏡で見ることができるサイズは
最初のマニピュレータで取り出す作業を行う
Q ヘラを使うかどうかが検討次第と
A 向井
もともとの予定では
目で見てたくさんありそうなら
自由落下でコンコンと回収
逆さにして落ちてくるものを拾う
あとマニピュレータとか
大きさに応じて
どこかにフローチャートが出ていなかったかな
こういう状況だったこういうフローチャートがある
Q 初期分析
開始の時期の目安は
A 今日の時点ではなんともいえないが
できれば1月になんとかできないものかと
マニピュレータで1つ1つピックアップしたものが60個くらいある
そのうちの何個かは明らかに人工的だが
そういうものもあるので
あまり先延ばしにするのはどうかと思うが
B室を開けてみての判断になる
ーーーー相模原
Q 青木
1500個で大体取り終わった感じか
A 向井
1回目のヘラで1500個
あちこちこすったわけではない
最初のヘラに付いていた粒子
岩石質と思われるものが1,500個
Q 最大の大きさは
A 大半がミクロンオーダー
10ミクロンはいってない
Q B室の状況が公開されるのは来年になってからか
A A室では試行錯誤しながらだったので
A室よりは早くできると思う
Q やり方は同じような手順か
A 開ける手順が全然違う
上下関係が違うし
Q 採取の仕方も変わるか
A ヘラで取るのは最後の手段
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