はやぶさブリーフィング11月第2回

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月29日、「はやぶさ」カプセルのキュレーション作業について、定例のブリーフィングを開催した。今月16日に、微粒子1,500個がイトカワ由来と判明したばかり。もっと期待できるB室の開封が今月中に実施されるか…という期待もあり、会見には大勢の記者が詰めかけたが、現時点では未開封だった。だが、B室に移行する前にA室をひっくり返して調べたところ、新たな微粒子が数百個見つかった。

出席者は、向井利典・JAXA技術参与と上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。以下に、いつものように取材メモを添付する。なお、ブリーフィングの通し番号に段々意味がなくなってきたので、ブログのタイトルは今回から~月~回目という形式に変更した。

ーーーーーここから
向井

11/16に大きな発表
岩石質1,500個
ほぼすべてがイトカワ起源

21日に停電が予定されていて
重要なサンプルが入った状態でクリーンルームを止める
慎重に行った

停電のあとに復旧作業
結果としては全て順調に復旧している

前回も話したが
これからの作業の優先度
B室の開封を優先する

B室を開けるためには
ひっくり返さないといけない

まだA室に残っているかもしれないので
シャーレで蓋をして
ひっくり返したところ
またたくさん微粒子が出てきた

今回は光学顕微鏡で見える程度のサイズ
ざっと見た感じ数百個くらい出てきた

クオリティからすると
9月末だったかに回収した60個
それと同レベルのもの

その粒子がどういうものか
判定するためには
走査型電子顕微鏡(SEM)にかけないと
それはこれから

前回1,500個を同定したときみたいに
ヘラで一挙にやるのはできないので
1個1個マニピュレータでやる作業になるので
時間は多少かかる

うまくいけば
先日発表した10ミクロン以下の微粒子の初期分析の前に
大きい方
今回数百以上、その前のが60個あるが
この中から初期分析に回すものが
可能性としてはあるのではと期待している

なので
B室の開封はまだ
これからになる

この3週間の状況はそんな感じ

ーーーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 読売
今回の微粒子 岩石質はどのくらいあるのか
初期分析の前に

A 向井
この前ヘラでこすったものは
まずSEMの中で見ながら操作できるマニピュレータが必要
すぐにはできない

1月に入る予定だが試験もあるのでだいぶ先

これだけたくさんあれば
かなりの確率でイトカワと言えるが
1個2個の場合は当たり外れがある

ただアルミとかそういうものは除けると思うが
それが全部イトカワ起源かどうか、それはどうか

なかには特殊な
この前の1,500個の中にも硫化鉄とか

しかし最初はもうちょっとオーソドックスなものから
初期分析しないと分からないのが正直なところ

初期分析にまわせる比率は
サイズ分布が違うので一概には分からないが
岩石質よりは人工物の方が多いと思うが

岩石も同じような比率だとすると
人工物が2で岩石質が1とか
正確ではないがそんな感じかなと

なので結構な数があるのではないかと期待したい

Q 光学顕微鏡で見つかった微粒子
1月までに電子顕微鏡にかけるのか

A 全部は終わらない
まずは電子顕微鏡にかけて初期分析に回すものを選ぶ
いくつ選べるかは

ある程度の数がたまれば初期分析を開始できる

B室を開けて中の状況を見た上で

B室から回収・採集はまた時間がかかるが
全体の様子を見て判断する

Q 毎日
大体のサイズはどのくらい
そもそもどこから出てきたものか

A 10ミクロン以上
サイズは大体何十ミクロンだと思う

どこからはA室

ぱっと見て見えなかったのにどこにいるんだということだが
光学顕微鏡だと傷と粒子の区別は難しい

我々も正直こんなにあったのかと不思議だったが
まだ残っている可能性がある

微粒子は大体静電気でくっつている
まだ全部出てきたとは思えない

Q NHK
シャーレの上でトントンは初めて?

A もともと開けて最初にやる作業は
自由落下法(トントン)というのが最初の手段であったが
最初見て何もなかったのでそれはやらずに
ずっと顕微鏡でやってきた

今回はどうせひっくり返さないといけなかったので
ついでにやってみらたこんなに出てきた

Q 朝日
今にして思えば、最初にやっておけばよかった?

A 上野
トントンはしてなかったが
作業の過程では
粒子は確認できなかったので
作業を進める間に落ちやすくなったのかも
耐電状態がいまとは違うと思う

Q 石英のシャーレに落としたのか?

A そう

Q 赤旗
トントンといのは
何をどうトントンしたのか
もう少し詳しく

A 向井
私がやったのではないので詳しくはないが
実際はキャッチャーハンドリングユニットがあって

シャーレで蓋をして
どこを叩くか決めて
側面を叩いたんだと思う

A 上野
やり方は極めて原始的

Q 共同
今まで見ていた側面でなくて
死角に一杯あったのか

A 向井
どうかな
あったのかもしれない
回転棟のそばは見にくい

Q 媒体不明
これまでの60個
電子顕微鏡で調べる予定は

A どちらを優先するか
一挙にはできないので
順番を決めてピックアップするしかない

Q 来月の早い時期に判明?

A そう期待したいが
1個1個ピックアップして電子顕微鏡に乗せるので

でも数百個全てはとてつもない時間がかかるので

初期分析にどのくらいまわせそうかという
情報は早く出てくると思うが

Q 微粒子の写真はないのか

A ない
いまピックアップする作業をしているので

ついでに説明
回収はどういうことかといと
石英の碁盤の目があってそこに番号
カタログのための
それができれば回収

我々がいまやっているのは採集
ナンバリングはこれから

Q 東京新聞
いままで逆さまにしたことは?

A 向井&上野
分からない

Q 手作業でひっくり返した?

A 向井
キャッチャー~ユニットに付いた状態で

Q 何かモノでたたいた?

A そう

Q 朝日
トントンはいつやったか

A だいぶ前

Q この前の発表の後?

A そう

Q 11月中旬と言っていいか

A そうかもしれない

Q 指で叩いたのでなくて
器具で側面を叩いたのか

A そう

Q 何で叩いたのか

A 何かの工具だと思う

Q 日経
今回の数百個
初期分析に回すときは石英のガラス管で?

A そう考えている
何らかの固定は必要だと思うが
従来のやり方でやろうとしている

Q 媒体不明
科学的に分析する上で大きい微粒子の利点は

A 専門家ではないので
この前の記者会見では中村さんだったかが説明していた

A 上野
結晶構造の解析
スライスは5ミクロンでも頑張ればできるが
10ミクロンあると作業は楽に進められる

初期分析に必要な作業や手順は
より迅速にできるだろう

Q ヘラについている微粒子の作業は当面止めるか

A 向井
同時にやっている
この前発表したヘラ
電子顕微鏡の中で使えるヘラは1月に入ってくる
だが難しい

Q 聞いている限りでは
そっちはもういいのかと

A 大きいのが出れば
でもせっかく同定したものなので
初期分析に回すと考えている

A 上野
今後B室を開けてどうなっているかにかなり依存する
A室からかなり出てきたとはいえ

初期分析だけじゃなくて
今後プロポーザルを出してもらって分析してもらうときは

小さい粒子でもできる研究はなるべく小さい粒子で
大きい粒子は大きい粒子でないと実験できないものに
多分そういう形になる

A 向井
スターダストでも
大きい方の10~20個は置いている

大きいがゆえにいろいろ入っている可能性がある
誰が何をやるかまだ決めかねている

Q NHK
初期分析の開始時期は

A なんとも言いようがない
10月以降は間違いがないがw

B室を開けての状況にもよるが

ヘラに付いた状態の微粒子はだいぶ先
それよりは早いだろう

これからSEMにかけるので

今後のブリーフィングもどうするか

いろんな作業を平行しているので
なかなか発表となると良く見たりしないといけないので

もし隔週開催なら次回か次々回くらいには
いつと言いたい

Q 年内には厳しいのか

A SEMは年内に見るが
初期分析はいくらなんでも

Q 読売
新たに見つかった数百個
10ミクロン~数十ミクロンでいいか

A 正確なサイズは測っていない
数10ミクロンなのか100ミクロンなのか
曖昧な状態

Q じゃあ数十から数百…

A 数百もあったら目で見える
大半は10ミクロンのオーダー

Q 割合は個人的な印象か
それとも見た上で1/3は岩石質と言えるのか

A それは前者
サイズ分布によって割合は違う
テフロンでこそげたものの比率は大体そのくらいだった
それと同じくらいはあるんじゃないか

いま確認中

Q いまA室から出てきた数百個を電子顕微鏡にかけるのを
優先させるということで良いか

A 優先はどういう意味で

Q 1,500個の続きに対して

A それは間違いない

A 上野
それにあわせてB室の開封も進める

A 向井
どっちもドーム2の中にあるので
平行にできない部分もあるが

Q 時事
2回目のタッチダウン
地面に着いたことの確認はできているのか

A 上野
テレメトリ上はタッチダウンしている
実際にやったかどうかは誰も確認できない

Q 日経サイエンス
トントンとやって
サブミクロンオーダーが無数に落ちている可能性は

A 向井
確認していないので分からない
光学では確認できない

Q シャーレの上はどうやって調べるのか
ヘラも使うのか

A 最終的にはそうかもしれない
まだそこまで考えていない

Q ニッポン放送
今回の数百個
形で地球のものと分かったもの
ぱっとみて分かったことは

A 私は見てないので伝聞になるが
人工物か岩石質か見た瞬間に分かるものもあるし
そうでないものもある

岩石質らしいものはそういう形や光沢
そう判断できるものもある

やる人の目も肥えているので

Q 同じ方法で確認するのか

A 番号づけをまずやらないと管理できなくなる

Q 読売
今後の予定
B室の開封はいつくらい

A さあ
予定としては今週末か来週か

開封にはまずワイヤリングを切らないといけない
切れば粉が出る

粉が入らないように
慎重にしないといけない

Q 媒体不明
はやぶさは流行語大賞の候補
研究者としての思いは何かあるか

A 正直言って
私は最初からからんでないので

多大な関心を持っているのは嬉しいが
本音はもうちょっと静かにして欲しい

大学が仕事にならない
小さい研究室でいちいち取材は大変

研究者に迷惑はかけないようにしないと

研究者は論文を書かないといけないので
マスコミの発表とのバランスは
理解して欲しい

以上
ーーーーー

来月のブリーフィングは、13日(月)と27日(月)に開催される予定。今度こそB室が開封されているか、注目が集まるだろう。

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