はやぶさウィークリーブリーフィング第10回(速報版)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月25日、小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルのキュレーション作業に関するウィークリーブリーフィングを開催した。
さあ、ついにこのブリーフィングも10回目だ。すでに回数に意味はなくなってきているので、タイトルにわざわざ入れなくても良いのだが、区別のために一応残しておく。ちなみに来月は、9(火)と29(月)に開催される予定となっている。
今回の出席者は向井利典・JAXA技術参与。いつものように取材メモをそのまま添付する。
ーーーーーーここから
向井
前回電子顕微鏡で直接観察した
現在は採取した微粒子の同定・マッピングを継続
先週
岩石質と判断された微粒子 数百個 800程度
電子顕微鏡でしか見えない微粒子なので
初期分析のための取り扱い
これまで話したように
ナノテク関連の技術者
専門家の英知を結集して検討している
その準備をしている
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質疑応答
Q 朝日
800個は前よりずいぶん増えたが
A 一部の写真の中にはマークしてないものもあったが
チェックして数はどんどん増える
ルーチン化してきたので
1日100個くらい増える
Q ヘラでなでては電子顕微鏡
何回くらい終わったのか
A 今までやったのは1個だけ
同じ場所を何度かこすっている
何度こすったかは憶えてないが
ヘラは1個
現在 ヘラ 最初なので
ついているものの素性を調べてから次に
いまはついているものを丹念に調べている
以前1週間と言ったが
いまの感じだととても1週間では終わらない
網羅的に調べるには相当時間がかかる
ヘラのついた状態だと分解能を良くできない
いくらルーチン化しても3週間はかかる
Q 3週間というのは1つのヘラという意味か
A その通り
とてつもない時間がかかるので
次にどうするのかは検討中
再度ヘラを使うのか
おおよその素性が分かればB室にいくか
別の場所にいくか
Q A室は何割くらい終わったか
A 2割くらい
前回話したように
回転棟の半分をやっただけ
まだ横のカベもある
3割は終わってない
Q なでた場所は前回の1回から増えてない
A 新たになでることはやっていない
Q 共同通信
以前の話では10月にもB室
遅れそうか
A A室の別の場所をこする作業をするのか
それとも
岩石室以外に
マニピュレータで採取したものは
もう少し大きい
それを電子顕微鏡で見てからB室に行くか
それは判断がいる
NASA側の研究者も含めて次ぎどうするか相談しているが
少なくとも10月中ということはなくなった
Q いつくらいに
A いつまでにということはない
競争相手もいないので
ただ関心も高いので何年も先に引きずるわけにもいかない
いつとは言えないが
今のままのペースだとA室だけで何年もかかる
それはできない
こするという作業は壊している可能性もある
こする場所とこすらない場所を残す
後で調べるために
全ての場所をこすることは考えていない
Q 媒体不明
初期分析は当初は8月とか9月
現時点でも12月以降
このスケジュールはそのままか
A 12月以前ということはないので
12月以降で間違いないw
Q 12月以降というと
12月にも始まるという印象を受けるが
A いまのままではなんとも言えないが
難しいかなという感じ
Q 毎日
粒子の素性
どんな作業をやっているのか
A 電子顕微鏡の写真を見せたが
粒子らしきものが見える
傷なのかどうか紛らわしいものも
1つ1つ成分分析をしている
Q 外さないで?
A 電子顕微鏡でしか見えない粒子なので外せない
初期分析のためには移動しないといけないので
その準備
見ながら操作できるマニピュレータが必要
Q 面白い知見は?
A いろんな岩石があった
人工的なものも混じっている アルミの粉とか
マニピュレータで取ったものはまだ調べてない
Q A室をもう1回か
それともB室か
その判断ポイントは
A それも含めていま検討中
Q NHK
1つめのヘラ
微粒子は800より増えるか
A まだ全体を見ていない
まだ半分も見ていない
Q 素性は
蛍光X線を見るとか?
A そう
帯電の問題とかあるので
電子ビームのエネルギーを低くしている
何ミクロンくらいのものしか見れてない
それでもそのくらいの数
Q 読売
前回 ざっとみたら微粒子が100個くらい
それが800個に増えたのは
解像度を上げたのか
A 同定したのが100個
全部見たわけでない
Q 見ていない部分があって
それで増えているということか
A そう
見たけどアルミだとか
見てないものとか
写真にはマークのついてないものもあった
Q 成分分析
火山灰に比べてどうとか
そこまで見ているのか
A 見ているのもあるかもしれないが
全部ではない
Q 宇宙のものかどうかはともかく
事前に用意したサンプルと比べて
可能性は判断できるのか
A 答えにくい質問
人工的なものもあるし
地球のものもあるし
たまたま調べたのは地球のごく一部
初期分析しないと結論は出せない
Q 読売
マニピュレータ
電子顕微鏡で見る
いまのヘラが終わった後で電子顕微鏡でみて
それからB室にいくかどうか判断するのか
A その予定
いままでマニピュレータで60個くらい
全部見る必要はないと思う
電子顕微鏡で見るということは電子ビームをあてるということ
変質する可能性がある
素性が同じようなら次に行くかということも含めて
現在検討中
先のことはまだ
いま半分も終わってない
一通り見て
心配しているのは
ヘラでこすって人工的なものを出してないか
その確認の上で進まないと
今後に影響がでないように
Q 60個の中に岩石質のものはいくつあるか
A 分からない
でも目が慣れてきた
最初のものにはアルミが多かった
怪しいと思って調べたらやはりアルミ
見るとなると慎重にならないと
Q 媒体不明
岩石質が
A 岩石質が800
アルミやテフロンは除いている
Q どういう物質が含まれているのか
A 定性的な状態なので
具体的な話をすると間違えるといけないので
今日は言えない
元素は何種類かある
Q もっと詳しく
マグネシウムがこれだけとか
A 使っているビームが弱い
鉄があっても見にくい
いまの段階ではあるともないとも言えない
マグネシウムは一部検出されているとか
そういうのはある
しかし定量性はないので
こういうものがあったとは言えない
Q 読売
定量的なものはいいが
なにがあったか
A 定量性がないので言えない
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囲み(向井氏)
12月に初期分析にまわすのは厳しいと
個人的には思っている
定量性は難しい
初期分析で分かるもの
岩石質というのは
シリコンがあるから分かる
微粒子の数
次回は800よりも増える
操作も慣れてきたので
1日あたりの数が増えてきて
むしろ素性が重要だろう
それはなかなか確認できない
初期分析しないと素性が分からない
いまのペースでいくと
B室を開けるか
A室を続けるか
侃々諤々の議論
B室を開けたときに
A室の微粒子が入る可能性はあるだろう
多少隙間があるので
逆にいま見ている微粒子はB室からきたものかもしれない
A室B室というのは今は意味がない
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