はやぶさウィークリーブリーフィング第3回
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月2日(月)、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル内のサンプル採集作業について説明するブリーフィングの第3回を開催した。じつは私は行けなかったのだが、マイコミジャーナルの小林記者が取材メモをまわしてくれたので、許可を得た上、ここで掲載したい。感謝感謝。
予想されていたことだが、今回もほとんどネタはなかったようだ。小林記者によると、この取材メモのあともじつは質疑応答が続いていたのだが、あまりの細かさにメモを取るのをやめたのだとか。
出席者は向井利典・JAXA技術参与。上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長は中継参加だったが、ほとんど発言はなかったとのこと。
ーーーーーーーーー以下取材メモ
サンプルキャッチャーの中から微粒子を回収、その後の処置について効率的なことの検討、研究中。
一方でテフロンのヘラで大量の微粒子がついてきた。それをマニピュレータを使って、石英の箱に1個1個移動を行っています。
質疑応答
Q 進展はない?
A 実際の知識は色々増えている。ただ、サンプルキャッチャーについての知見は増えていない。回収について、主に処置のところをいかに効率よくするか、という方法を研究しているが、それが役に立つかどうかははっきりしていない。
Q 先々週の会見で試しているものがあると言っていたが
A 今は、いくつか問題が発生してそのままでは使えないというのが現状。止まっており、別の方法で模索中。やはり、処置。電子顕微鏡をどう活用するかなどは新たな動きが見えてきた感じ。
Q 回収した後の処置は石英のシャーレに移した後に電子顕微鏡などに移すことなどを研究してる?
A マニピュレータでシャーレに移すのが従来の方法だが、それがすごく大変。例えばヘラから直接電子顕微鏡に回せないか、といった方法がないか、とかを検討している。
一個一個やってると、今の状況だと数カ月、下手をすると数年かかることになってくるので、地球物質を早めに見つけ出して、それ以上の解析に回さないといった方法などを何とか探したい。最終的には粒子を1個1個番号つけることには変わりない。それ以前のところでもっと効率化できないか、というのが現状
Q 新たに得られた知見はあるか
A 知見というか、電子ビームを当てるとどうなるか、電子ビームにもeVの強さとか照射時間とかによって、分析にどういった影響があるかとかがポイントになってくる。テフロンに電子ビームが当たるとチャージアップしてぜんぜん撮影できない、エネルギーとか真空状態とか荷電状態とかで得られる情報が変わってくる。そういった状況に対して、どういったパラメータが良いのかが分かってきた。
Q 検討するなかで、科学的に新しい知見が出てくる可能性は?
A サイエンスとして新しいかどうかはわかりません。本体のフライトモデルから分析する上での補助データに過ぎない。
Q 仮に得られたとしたら発表はする?
A そこまでは今は考えていない。いずれにしてもフライトモデルのキャッチャーの選別結果が、どれだけ正しいかの比較データとして用いるためにいまやっている。
Q テフロン以外のヘラを作って使うということでOK?
A それも候補。元々から考えていた方法の枠からはそんなに大きく乖離しているわけではなくて…ヘラっていうのは沢山あった時に使うもので、ヘラに付いても場所によって形を変える。いずれにしてもテフロンを使うことを決めていた。それで電子顕微鏡にかける。テフロンは絶縁物なので、電子ビームを当てると、そこに電荷が留まり、溜まっていく。これがどの程度サンプルに影響を与えるかを調べている。
もし、金属でヘラを作ったら、それはそれで微粒子が取れるかどうかが怪しい。また、使う金属によっては、その後の分析に影響が出かねない。ステンレス、アルミなどについては、その後の分析に影響は出ないので候補になっている。もともと静電気を付加した状態で入れるので、そこで微粒子が付いてくるか、というのが問題になってきそう。
人工的に微粒子を作って取れるかどうかの試験を始めたところ。
以上