はやぶさウィークリーブリーフィング第1回

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12日(月)、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル内のサンプル採集作業について説明するブリーフィングを開催した。JAXAはこれを当面の間、毎週開催するとしており、スケジュールは以下の通り。

第1回 7月12日(月)
第2回 7月20日(火)
第3回 7月26日(月)
第4回 8月2日(月)
第5回 8月9日(月)
第6回 8月23日(月)
第7回 8月30日(月)

出席者は、向井利典・JAXA技術参与、上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。以下に取材メモを添付する。

向井
ウィークリー
特になにもなくても開催ということで
今日もじつはあまりネタがないw

先週、回収作業を開始した
その際テフロンのヘラに微粒子が数十個付着していた
問い合わせがあった際に応えた

その微粒子を今後どう処置、回収するか先週は検討してきた
予想外に大変なことがわかった
検討しているがまだはっきりしない

現在のところ
ヘラにくっついた粒子の処置に集中している
新たに粒子を発見したことはない
状況としては以上

上野
とくに補足はない

広報
それでは質疑応答に…

向井
質問ないかもw

ーーーーーーーーー
質疑応答

Q 読売新聞
予想外に大変
具体的にどういうところが大変で何を検討

A 向井
原理的にできないことはないが
非常に小さな粒子 10ミクロン以下
それが静電気でヘラに付いている
静電気を除去しないと外せない
原理的にはリハーサルでやっているが

除電といって
紫外線やアルファ線をあてて
電荷をなるべく減らして
それでマニピュレータで

数が非常に多くて多変
ある程度予想はしていたが

大半が地球由来と思われるので
そこで時間をかけるのはどうかと
もっと効率的な方法はないか

Q 毎日新聞
するとサンプルキャッチャーの中の方までいっていない

A 向井
いっていない

Q 作業はまだ時間がかかりそうか

A
なんとも言えない
効率のいい方法が見つかればいいが

Q 1粒で半日かかっているのか?

A 向井
それほどではないが

最終的にその中から
初期分析にどれを回すか選ぶ
選び方も検討している感じ

Q 朝日新聞
大半が地球物質っぽい
中には違うようなのもあるか

A 向井
いまのところ全く分からないが
コズミックダストのひとたちが
最終的な作業をやっている
まだ感じだけ

それが分かるのは
電子顕微鏡で見ないと

いまの調子でやるととてつもなく大変
今の段階ではなんとも言えない

感じとしては比率が100:1か1000:1か分からないが
大半が、というのはそういう意味
それ以外の物質もあると個人的には信じているが
まだ確認できていない

Q
100:1や1000:1の1になるようなものは

A 向井
見つかっていない

Q 日経新聞
作業に時間がかかる
ほかの手法を考えている
マニピュレータ以外はどんな方法があるか

A 向井
1個1個顕微鏡で針で掴む作業
それで2個見つけたが
ヘラでこすったら数十個
基本的にそれ以外のやり方はないが
ヘラの形状とか
別のやり方もないかなと
まだ検討している段階

Q 共同通信
ほかの方法というのは
電子顕微鏡を使わないで、別の方法で選別するという意味か

A 向井
電子顕微鏡を使わないのは大変
使うのが一番分解能がいい
しかし電子顕微鏡自身が試料を汚染する
そこは慎重にやっている

Q
電子顕微鏡を使わないで見極める方法はあるのか

A 向井
私は知らない

影響がでるとなると
手順をもう1回考え直さないといけないかも

Q 東京新聞
除電のやり方
電子顕微鏡を当てるのはどんなイメージ

A 向井
当てるのは時間がかからない
まとめて当てる

Q 当てた後の回収に時間がかかる?

A 微小粒子なので大変

光学顕微鏡で見えるのはギリギリで数ミクロン
それより小さいのは見えない

それを含めて回収したものを管理するのが重要

いろんな検討を今やっている
どんどこやって後で大変にならないように
検討してから次に進む

Q 先週は数十個
これは20個なのか80個なのか
個数の目処は

A 80個ということはない
2~30個くらい 数えたわけではない

Q 毎日新聞
初期分析にどれを選ぶか
選び方はどうするのか

A 向井
なかなか決められない
どんな種類のがどのくらいあるか分からないと

初期分析に全部まわすわけではない
最終的な量によるが

全部を回収するのはそれはそれで大変
あるところで踏ん切りをつけないと

いずれにしても全体の量
ある程度の推測ができないと
なんとも言えない

いまの段階では
いくつか考えてはいるが
一人歩きすると困るので

Q 日経新聞
今のところの作業状況
テフロンの微粒子を除電して回収
あらたに探す段階ではないのか

A 向井
言い方がまずかったかも

回収方法をまだ検討している段階
具体的な作業については試験中

Q 朝日新聞
数十個の微粒子
全体のどのくらいを調べたのか
サンプルキャッチャーの中の
どのくらいをストロークしたのか
あと何ストロークくらいあるのか

A 向井
ヘラでなぞったのはまだ平らな部分だけ
ほかの部分はやってない
全体の3~4割ということはない

A 上野
なぞったところのどのくらいの比率が
ヘラについたのも確認していない

Q 大半が地球由来
見込みがありそうなのはないということか

A 向井
分かりませんというのが正確なところ

Q 毎日新聞
B室を開けるのはいつくらいになるのか
A室を全部やってからか

A 向井
いつころとはまだ言えない
回収方法をまた考えている
もうしばらく待って欲しい

Q NHK
予想外に大変だというのは
何が予想外だったのか
除電の作業か

A 向井
1個1個マニピュレータでやるのが大変だし
ヘラについたものを回収できるか確認するのも大変

光学顕微鏡で見えないものは残っている可能性もある

もうちょっと効率的な方法はないかと
まだアイデアの段階

Q どれもこれも回収じゃなくて
もう少しめぼしいものを回収する方法とか

A まずは全部を回収しないといけない
そうしないと全体が掴めない

Q もう少し早い方法を検討するのか

A 早いというかできるだけ確実に
いまの方法だと光学で見えないものは分からない
もう少し確実な方法はないかと考えている

Q 光学顕微鏡で見えないものも回収する方法?

A それも一部
ヘラをそのまま保管していないといけない
次またやったときにそれもとなると
そのこと自体が大変

最終的にどうやって見分けるかが大変
もう少しいい方法がないかと

具体的なことを言える状態ではないので説明できない

Q 東京新聞
回収作業の検討と平行してやっていることはあるか
例えばガスの分析とか

A 向井
ガスは初期分析の一貫としてやるので
まだやってない

コンテナはこの前肉眼で見たが
顕微鏡で中を細かく見ている
細かいのはあるが似たようなもの

現在はどこにどういうものがあるかマッピングしている状況

ー相模原へ

Q 青木
全部を初期分析ではない
仮にイトカワのものが見つからなくても
初期分析にかけないで保存しておくものの中から
将来的に見つかる可能性はあるのか

A 向井
仮定の話に答えるのは難しいが

分析技術は進歩するので
いま見えてないもののなかに
ある可能性は否定できない
あくまで一般論だが

Q 可能性はゼロではないが低い?

A 個人的な意見を言えば必ずあると思っている

Q 将来の分析のために保存するのは何%か

A 半分くらい残すはず
カタログの番号付けは
明らかに地球物質だと分かったものは除去していく

Q 将来分析用のものは手つかずに保存するわけではなくて
地球物質は除外して怪しいものを保管するということか

A そう考えている

Q かなり苦労しているようだが
当初の見込みと比べると遅れは

A こんなもの
報道の方が先走っているが
半年という目処でやっている
まだ始まったばかり

特に最初のうちは試行錯誤でやらないと
いくらリハーサルしていても
こんなとこかなと

もう少し落ち着いてやらせて欲しい
というのが正直なところ

Q リハーサル
実際にやってみたら違うということは

A 違うことはたくさんある
リハーサルで使った粒子
数ミクロンよりはもう少し大きかった
そういう面で大変なこともある

Q 初期の発表では
8月だったがいまは9月以降
状況次第で伸びることもあるか

A あり得る

Q 初期分析の結果は年末か年明けくらいか

A そんなところ

Q それも流動的?

A もちろん
予定としては半年が目処

Q NASAとか海外の機関の研究者
キュレーションで一緒に作業しているのか

A あのときまではいたが
現在帰っている

Q いまは何人体制

A 8人くらい

Q 作業時間としてはどのくらい

A 原則は普通の勤務時間
これは長丁場なので

最初は汚染されないように早く真空に入れるとか
最初の数日は24時間体制だった
いまはコントロールされた環境なので
あわててやってもいけない

朝は定時9時から夕方5時には打ち合わせをして終わる
土日もお盆も多分休む
長い話なのでバタバタやるようなことではない

Q 回収された物質はどういう温度・湿度で管理しているのか

A 高濃度の窒素
最終的には石英管のチューブに封じ込める

温度は室温 25℃くらい
湿度はゼロ 純窒素

ー東京

Q 不明
今週の作業スケジュールは

A 向井
引き続き検討しているところ
結果が出次第、次のステップに
再度回収するのかどうか

多分今週はまだそこまでいかないと思う
そんな簡単にいかない

Q 今週いっぱいは検討にかける感じか

A 一応その予定だが
いい方法があれば再度という可能性はあるが

Q 不明
現在コントロールされた状況下
いつまでに回収しなければいけない
のはあるか

A 向井
特にない
1日2日を争う状況にはない
いまはコントロールされた環境下

Q 1~2カ月も可能?

A 場合によってはあり得る

Q 松浦
100倍の顕微鏡
微粒子が思ったよりも小さいので
倍率が足りないということか

A 向井
我々が持っている最高分解能
これ以上のことはできない

Q 製品としてはもっと高い倍率もあるのでは?

A 上野
汚染しないような仕様で開発されたもの
市販品とはちょっと違う

Q 倍率を高くしておけば良かった?

A 上野
ただ倍率を上げると見える範囲が狭くなる
作業効率が難しいところ

A 向井
普通の顕微鏡だと油を使っているので汚染する
特殊な潤滑のもの

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