今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第7回会合

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4月20日、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第7回会合が開催された。この会合は、今回が最終回となる。今までの議論を踏まえた提言をまとめて、前原宇宙開発担当大臣に提出したとのこと。

会合の後に開催された記者ブリーフィングには、初めて、5人の有識者も出席した。以下に、記者会見の内容をそのまま掲載する。

ーーーーーーーー
泉政務官

13:30~14:30まで有識者会議の第7回会合
最終回を開催した
全員出席した

座長から説明してもらうが
報告書の取りまとめをして
さきほど前原大臣に手交した

ーーーーーー
松井座長

今まで7回の議論

特に新成長戦略が6月までにということ
それに関連して急いでいろんな議論をまとめた

今までの宇宙に関する議論は
内部で閉じて外に漏れないで行われていた

我々としてはそれを分かりやすい形で
みなさんにお伝えしたい

ということで報告書は
A4の1枚にまとめてある

提言は3つ

提言1
宇宙にいつでもいけるような能力を維持し続ける
まずこれが重要なことで
これを決断してほしい

我が国がそういう能力をこれからも
ずっと維持し続けるのかどうか
それをまず政治に決断してほしい

それをいらない、というならもういらないわけだが
それをまず政治としては決断して欲しい

宇宙政策を実現するにはお金がかかる
資料1を見ると
これまでほとんど国が投資して産業を維持してきた

これが減るとそういう能力が維持できなくなる
今はその瀬戸際にいる

大体過去8年で54社の関連企業が撤退している中で
このまま推移すれば
日本は自在に宇宙にいける能力が維持できなくなる

それをもし維持するのであれば
それをどうやって実現するのか

まずは米ロ中のように
すべてを官需でやるやり方

あるいは欧州のように民需
ある程度民間を利用して
民間で産業を生み出す

方式が2つある

これから日本はやるとしたら欧州方式ではないか
もっと民需に目を向けた宇宙政策を活用していかないと
それが提言2

提言3
それらをやるときに
具体的にどうやってやるのか
組織として今までの組織でいいのか
それじゃ困るんじゃないか

国として政策を一元的に決めていく
政策立案、企画
予算を一元化してやっていくような
そういう組織が必要じゃないか
それを仮称で宇宙庁と呼んでいるが
それを内閣府に作る

当面の緊急課題としてはとりあえずこの3つ
それを決断していただきたいというのが
我々が今日提言としてまとめたもの

もちろん具体的な内容
新成長戦略に関連してどうあるべきか
この3つの提言が
具体的に入ると思うが
それを話すと時間がなくなるので省略

以上が我々の提言の中身

ーーーーーーーー
質疑応答

Q 時事通信
民需 経済界の意見は

A 松井
経済界というかタスクフォース会合で
企業の意見を聞いたり

経団連からは国家戦略としての
宇宙開発利用の推進に向けた提言
これは公開されている

基本的な内容としてはほとんど同じ方向
同じような内容が入っている

直接意見を聞いたわけではないが
中身や方向性はそれほど変わらない

Q お金がないから民間でということだが
経団連は国が出して欲しいと言っているのでは

A 今まで国の方針は研究開発
利用は全く考えていなかった
利用と一体に研究開発もやっていく

いま使える衛星やデータがある
これからはそれを増やしていく
それで提言2がある

国として、宇宙が重要だという決断をするんだったら
今までの研究開発主体でなくて
利用コミュニティと一体になった

具体的にはそこに
パッケージ戦略
グリーンイノベーション戦略
こういう方向にいけば民間と共同で
いろんなプロジェクトができるのではないか

Q 宇宙庁
他の省からすれば
個別にやればいい、ということにならないか

A なんで利用が進まないかと具体的に考えると
例えばデータをとると
生のデータを使えといっても
こんなもの使えない
それを使えるように加工するのは国がやる

そのときにどういうデータが必要だとか
根本に立ち返ればH-IIというロケットを
いままでは研究開発でやってきたから
それを急に売り物にしようとしても
急に転用できない

そういうものを開発するときの利用者を入れて
売れるようなロケットを開発するような方向性に踏み出すということ

いままでのやり方を抜本的に改める
そういう方向が提言2
それをやるには組織を変えないと、というのが提言3

A 秋山
宇宙庁が全てやると言っているわけではない
むしろ企画・立案をするという話

例えば利用は各省庁にこういう利用法もあると進めたり
各省庁で利用をどんどん深めてもらう

例えば農水省
リモセンはまだあまり使われていない
こういう使い方があるとどんどん推奨していく

会社で言えば
我が社はWindowsを導入することにしました、
Windowsをどんどん使ってください、ということ

我が社は宇宙をどんどん利用することになったので、
宇宙を使ってくださいということを宇宙庁
実際に使うのは各省庁

Q 朝日新聞
現行の宇宙基本計画の中で
月探査について議論が進んでいるが
どのような方針で臨むべきという結論か

A 松井
基本的に我々は横一線でいままでのを見直すということでやってきた
月探査ありきという考えはとっていない
月探査が必要なのか
いろんな側面から議論していく

月が身近で行きやすい、利用しやすい
それで月を考えることはあり得る
では科学として他の太陽系天体の中で
特別なのかというとそんなことはない

いろんな議論がある中で
それは政治が決めること

しかし月に人が行くと言っても
宇宙に自在に行く能力がなければ
行きようもない

ISSでは滞在する能力だけ開発している
行く技術は独自に持っていない

やるとなったらそういう技術を全部開発しないといけない
あるいはその前に地球の周りで活動しなきゃならん
例えばそこから始めるとか
しかし今の予算だと100%使わないとできない
他を全部切り捨ててそういう方向に行くのかという議論になる

そういうことをきちっと
もう1回議論しないといけない

月探査については
有人宇宙は日本独自の新しい何か
現状を考えた上で
それどころじゃない状況にある
上げるための技術にほころびがでている
それをきちっとやった上で
その先に有人プログラムがどういうものがあるか
きちっと検討した方がいい

Q 月に関してはゼロベースで議論しなおすという考えか

A そう

Q 提言1
いつでも宇宙に行けるというのは
人を含めてか

A もし有人で行くならそう。
でも当面は無人、ロボットでいいじゃないかと考えている

Q 毎日新聞
提言の中に5月中に関係省庁と公開討論とあるが
誰が集まるのか
狙いは何か

A 松井
本当は一番重要なところだが不透明
我々は前原大臣に集められて宇宙開発に関する提言
宇宙戦略本部での提言

僕らはこういう提言が実行に移されないと意味がない
ぜひ実行に移すような具体的な手順を考えてくれと要望している

その要望がここにある
これは我々の要望

なるべくこういう方向でやってくれということ
具体的に何かが決まっているわけではない

これから内閣の中で調整があって
具体的には前原大臣、官房長官、文科大臣とか
その三人が議論してそこで決まることだと思う

Q 政府で意志の統一を図って欲しいと

A それはもちろん

説明しなかったがJAXAの見直しも入る
政府としてどう考えるのか
まとめてくれないと

出して終わりじゃない
前原大臣からフォローアップもお願いされている
意見は出したい

Q テレビ朝日
提言3について
現在の宇宙行政に問題があるのか
事業仕分けでJAXAが取り上げられるが

A 松井
私は事業仕分けとは全く関係ない立場
基本的にこれまでの日本の宇宙政策
透明化されていない

現実に例えば
月探査は
いつどうやって決まったのと
我々がどこに聞いてもわからない
なんかいつのまにかそうなっていた

これはおかしいでしょと
目に見える格好で
どういうものがあり得るのか
資料3-1のような案を出した

企画立案の部分と
個別に専門家が集まって何が必要か議論するようなところを下に置いて

これとJAXA
どことどれがどう重なるのか
詳細な議論はしていない

JAXA
理事長あたりは執行機関と言っているが
実質的には企画立案をやっている
そういう部門はこちらに移してもいいんじゃないか

宇宙庁だからといってJAXAを全部吸収するような
イメージではない

ーここで政務官退出

Q 読売新聞
座長
産業界が能力を維持できない
国に対して何を決断して欲しいのか

研究開発で
大きなプロジェクトがない
もっと大きなプロジェクトをくださいということか

A 松井
基本的に一番何が問題かというと
打上げられるロケットの数が少ないと
これが採算が取れない理由

たくさんあげればコストも下がる
関わっている企業も利益がでる
なんとかやっていける

数が圧倒的に少ないのが
一番大きな問題
それをどう増やすか
その議論をしないといけない

Q 国に対してロケットをもっと上げろと

A 日本だけじゃなくてアジアにも働きかけて
アジアも含めて諸外国と一緒に宇宙をやっていくという
格好で利用を増やすとか

さきほど秋山さんが言ったように
使いやすいデータを我々が用意することで
利用者が増えれば
ロケットの数も増えるでしょう

そういうことを総合的に
方針としてやって欲しいと

Q 限られた予算であれば衛星をやればロケットが減る
もっと国に対してお金を投入しろとならないか

A 基本的に考えている予算の推移
増やすことは考えていない

ほとんど現状維持でどうやって欧州型に移行するか
民需をどうやって増やしていくか

それが新成長戦略に組み込むべきもの

Q 2日間でタスクフォース
これが宇宙産業界の総意か

A 産業界の意見も踏まえて
我々の判断も入れてまとめた

全く違う方向ではない

Q 東京新聞
有人宇宙のところ
ISSについて費用対効果を

投資額ではなくて
投資するかどうかを判断するという理解でいいか

新しい有人プログラムを考案すべきとあるが
これはISSと両立するものか
有人プログラムを2つ並行に走らせることが可能なのか

A 松井
これに関してはじつは委員を含めて
コンセンサスが得られているわけではない

有人をどうするのか
そこまで詰めての話

A~Iまでどう割り振るかという話はしているが
有人をどうするか
具体的な話はしていないが

我々としては今までの有人
ISS的な有人プログラムは
それほど効果を上げてないんじゃないかと
だとすると
日本独自の有人活動を考えてもいいんじゃないかと
方向性としては一致している

具体的にどうかと
そこまで詳細については議論してない

月の有人をやるなんていったら
100%やらないとできない
そんな方向に行くとか
そのためのステップとしてどうやるのか
いろんな議論がありえるが詳細はやってない

Q 新しい輸送系
基幹技術保持の観点からとあるので
H-IIA/Bに次ぐ新たな基幹ロケットの
開発を推進すべきということか

A ロケットは1回作って終わりじゃない
絶えず研究開発を続けないと維持できない

そういう意味でH-IIA/Bだって
それ以外の固体ロケットに関しても
続けるべきというのが我々の意見

A 中須賀
戦略的にどういうサイズのロケットを狙うべきか
新しいロケットを狙った方が産業的に有利であれば
そこを狙っていくということ

今の我々だけではできない
しっかりと戦略を練ることが非常に大事

常に研究開発を続けることが
ロケット技術を維持するためには必要

Q 共同通信
今回の提言は何に対するものなのか
新成長戦略に盛り込まれるものと把握していたが
もっと長期的なものなのか

A 松井
当然、新成長戦略に対する提言ではあるが
方向として、長期的な方向が逆を向いていたら意味がない
まず長期的な方向を考えた上で
短期的な方向としてこういうことが
あり得るんじゃないかと提案している

だから両方議論しているわけだが
ここで言っているのは早急にすべきこと

Q この先10年くらいの方針か

A ただし提言3にあるが
組織改革をしないとなかなか
ここで言ってることは実現しない

新成長戦略を進める上では
こういう体制を整えてやらないと
今までの延長のバラマキでやっては
全く意味がない

Q 前回の資料では市場の目標などもっと具体的な数字があったと思うが
あれらはこの提言内では有効なのか

A 1枚にコンパクトにするために
関連する資料で付け加えているが

基本的には今までの議論を踏襲している

Q 質問者不明
測位についてだが
準天頂
民間が参加しない
あれをやめればH-IIAが1機余る
やめた方がいいのでは

A 松井
それを我々が決めることじゃない
そういう問題がありますよと
国交省がどう考えるかという問題

実際にそういう議論は今日あった

A 秋山
測位を推進するのは国の方針としてある
我々も測位の重要性は認識している

ただ残念なことに重要性は唱えられているが
ユーザーが出てこない

準天頂の1号機は研究開発
でも実用のためには2号機3号機が必要

それに投資しようという民間が生まれていない状況
これは非常に大きな問題だと我々は認識している

今回の話もベースは全て
日本が宇宙の進出能力を持つために産業を維持しなければならないが
もうお金がないということ

例えば測位はいい例
これを本当にやるんであれば
ちゃんと民間投資が生まれてくるような状況を
国が施策としてしないといけない

その尻叩きとして宇宙庁があって
実働部隊として各官庁がある

測位が上がれば国として使う体制を整えようと
要は測位のアンカーテナンシーを
もし国が保証すれば民間参入は増える

そういう政策を打たないと
民需を取り込めない

ここの話はすごく端的
まさに研究開発に偏っていると
実利用の部分をもっとやるべきだと

Q 毎日新聞
提言3つあるが研究開発から利用へと
民間の参加を促すと
これはいまの基本計画にも入っている
今の基本計画と今回の提言の大きな違いはなにか

A 松井
一番の違いは考え方を整理したこと
いままでの何が問題か
研究開発の中身がどういうことなのか

本来は利用があって研究開発がある
目的がある

しかし今まではその目的がなかった
歴史を考えたときに

その結果として変な格好になって
利用が進まなかった

最初から利用ありき
利用があって初めて研究開発がある
そういう枠組みの中で
今までのいろんなものを全部整理して順番付け
つまりウェートをつける
まずこういうことをやるべき
それが大きなこと

Q その中で測位や通信を推進と

A 通信は民需を考えたときに
現実的に一番大きな分野

測位はやるところがないのに
やれやれと言っても駄目

やるところと一緒にどうやってやっていくのかと
踏まえて研究開発もやっていく

そういうことを始めないといけない
そのために新成長戦略を使うんなら
いいんじゃないかと

今ないことをやろうとするのだから
そのためにどうやってやっていくか
考え方、道筋を示したのがこの提言

A 中須賀
利用を重視しようという政策をたてても
省庁がその気にならないと駄目

本当に潜在利用者であるべき省庁が
宇宙を使ったらこれだけ良くなるよと
本当に信じてやっていかないといけない

それがない限りいくら枠だけ作っても駄目
そう思わせるにはどうしたらいいかと
真剣に考えようというのが大事

トップダウンでやらないといけないし
インフラを整備して省庁が使いやすい環境を
作っていかないといけない

あるいは各省庁の中にそれなりの研究機関を作って
その中で利用をどうしていくか考えていく体制を作るとか

そういうことをいくつか提言している

枠や見かけはあまり変わってないかもしれないが
その中で実際に動くダイナミックスを作っていかないといけない
そこが非常に大事なところ

A 松井
利用者が利用するようなデータを出さないといけない
それをどうやっていくか

維持していくために新しい技術を開発し続けないといけない
そういうのが新しく付け加えたところ

それ以外は基本的に、宇宙基本計画に含まれている

ーーーーーーーーーー
ぶら下がりにて

記者
会合のやりとりを通じて決断できる三役だと思ったか?

松井
珍しく非常に積極的に実行していこうという三役だと思う
だからこそこういうことが実現した

我々はタスクフォースで体制まで議論したときに
文科省からは「そんなことやる場じゃないでしょ」という意見が出た
それを押し切れるのはそれだけのサポートがあるから

方向性としては同じだが政治の世界はそれだけで決まらないから
提言を出したからといってすぐに通るわけがない
かなり政治的な議論があると思う

大塚
政務官あたりは「提言は提言として受け取ってあとは政治の判断」と
一歩引いた言い方をしているがやる気はあると考えていいか

松井
やる気はあるが全部が実現するとは言っていない

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