リモートカメラで打上げを撮る!~H-IIAロケット15号機の巻(後編)
○いざ種子島へ
種子島入りしたのが1月20日。天候不良により、打上げはすでに1日遅れて22日の予定になっていたのだが、到着したその日の夜のうちに再延期が決まってしまい、早くても23日ということになってしまった。
バラバラにして持ち運べるのもメリット。空港の検査も無事通過 | 到着した日の天気は良好。大体いつもこんなもんだ |
天候が期待できそうにないので、次の日、本格的に防水対策を考える。西之表のスーパーで物色したところ、ちょうどいい大きさのお米ケースがあったので、これを購入。フタの部分がちょうど窓になって、まさにリモートカメラのガワになるために存在していると言っても過言ではない。サンコープラスチックさん、ありがとう!
西之表のスーパーで見つけたお米ケース。10kg用 | 宿でテストしてみたら、窓もあって案外いい感じ | プレスセンターの筆者の席。一体なんの大会だという状態に |
22日の午後、いよいよリモートカメラの設置。プログラムを本番用に入れ替え、起動時間も決めて、KCB-1をセットした。深夜の機体移動のあとに、少しだけチェックするための時間がもらえることになっているのだが、ほんの短時間なので、ここで全て準備を終わらせておく。ただし念のため、雨よけにビニールでフタをしたので、そのときにこれをはがす予定。
杭の上にガムテープで固定。方角は射点にあわせる | フタは開けておいた。この判断が後でとんでもないことに… | 天候は大丈夫そうだが、念のため、雨よけにビニールも |
晴れ間も見え、天候は悪くなさそうだったのだが、しかし午後8時ころ、種子島宇宙センターは突然の雷雨と暴風に見舞われた。まさに横殴りの雨。フタを閉めてくれば良かった…と思うも後悔先に立たず。あとは祈るしかない。頑張れお米ケース!
雨は1時間ほどで止み、機体移動のあと、再び設置場所へ。予想通り、風でビニールは吹き飛ばされており、窓は全開。中はびしょ濡れ。一応、数cmくらい浸水しても大丈夫なように、電子回路のケースは深めのものを使っているし、外部バッテリはその上に乗せていたのだが、カメラやサーボモーターまで濡れるのは想定外。ちょっと不安だが、どうしようもないので、このまま行くしかない。
大雨の後。風でビニールが飛ばされていた | あああ、中までびしょ濡れ | カメラもサーボも濡れてしまった。大丈夫か? |
そして23日。H-IIAロケット15号機は、定刻通り、12:54に打上げられた。その後、回収したカメラをチェックしてみると――ちゃんと撮影されていた。グッジョブお米ケース!
打上げられたH-IIAロケット15号機。雨で視界は悪い | 回収されたカメラ。まだ少し濡れたままだった |
これが撮影された動画(※打上げ以降はカットしてWMVに変換)
しかし強風のため、視点がどんどん右へ移動しており、危うく枠から外すところだった。このあたりは欲張らずにワイド端で撮影したのが良かった(もっとも、FZ3にはズーム位置を記憶しておく機能はないので、ズームで撮るにはまた一工夫必要だが)。
打上げを見に行った人なら分かると思うが、射点から3km以上も離れると、轟音は10秒くらい遅れて届く。上記の動画は、画像そのものは竹崎展望台からズームで撮った方がマシなくらいだが、音のタイムラグの短さから、射点への近さが実感できるだろう。これはこれで面白い動画になったと思う。
○さて次回の予告
以上のように、今回、撮影には一応成功した。画質が悪かったので、次は、現役バリバリの「DMC-FZ38」あたりを投入して、AVCHD LiteのHD動画を撮るという手も考えられるのだが、私は同じ方法でやることにあまり興味はないので、おそらく別のものを作ると思う。アイデアはすでにいくつか考えている。いずれまた報告したい。
近藤科学「KCB-1」
http://www.kondo-robot.com/product/KCB-1.html
ロボットショップ テクノロジア
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