はやぶさブリーフィング&初期分析会見(速報版)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月17日、小惑星探査機「はやぶさ」のキュレーション作業に関する定例ブリーフィングと、初期分析に関する記者説明会を開催した。
まず15時半から行われたのが定例ブリーフィング。出席者は、向井利典・JAXA技術参与と上野宗孝・JAXA/ISASミッション機器系グループ副グループ長。取材メモをそのまま以下に転載する。
ーーーーーここから
向井
正月休みがあったが
前回に引き続いて
A室の自由落下法で得た数百粒
そのなかから電子顕微鏡で観察を
引き続きやっている
現在
50個くらいが岩石質と同定された
ここまできたので
前回予告したように
これらの粒子を選別して初期分析を開始したい
その情報についてはこの後の16時のプレスリリースで
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質疑応答
Q 日経
岩石質の総計は
A 向井
1,500個よりは多い
大半は0.01mm以下
50個程度は0.01mmよりも大きい
光学顕微鏡で分かるもの
電子顕微鏡で1,500個程度
光学顕微鏡で50個程度
Q NHK
母数はどのくらいか
A 60個超
ハズレだったのは数個だったと思う
Q 50個の中から初期分析に回す数は
A 大体50個くらいまわすことになると思う
Q 共同
電子顕微鏡の1,500個 ピックアップのメドは
B室の状況は
A B室はストップしている
まずは初期分析の粒子の選定
そのために電子顕微鏡を使っている
他の用途に使えないので
1,500個についてはこれから
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続いて16時からは、川口淳一郎プロジェクトマネージャが加わって、初期分析の開始に関する記者説明会が開催された。
プレスリリースはこちら。
はやぶさカプセル内の微粒子の初期分析の開始について
こちらも以下に取材メモを掲載する。録音を聞き直している時間はないので、とりあえずそのまま載せる。間違いも含まれている可能性もあるので注意して欲しい。
ーーーーーーここから
川口
(リリース読み上げ)
プレスリリースは今回で終わり
プレスリリースとしての発信は終わり
昨年の今頃を思うと大きな変化
進展があった
なによりもチームとして嬉しく思う
プロジェクトとして
何よりの成果をこれから迎える
ー
向井
特にないが
添付資料の一覧
代表者の五十音順にしている
初期分析は数ヶ月にわたって行われる
何回か
11月中旬に話した
テフロンのヘラ上の小さい微粒子
0.01mm以下については
扱いはこれから
B室についても分析はこれから
初期分析は
さらに詳細な分析を国際AOでやるための例として
数ヶ月
中身の説明は省略するが
もう1点は
NASAの代表としてマイク、スコット
この2人が分析チームに参加
トレバー(オーストラリア)
ーーーーー
質疑応答
Q 読売
微粒子の数は
大きさは
分配は今日から始まっているのか
いつからか
A 向井
50個程度
一度に分配されるわけではない
サイズは数10ミクロンオーダー
30ミクロンよりは大きいかなと思う
大きいのは100ミクロンを超えるモノもあるが
今回は1個だけ入っている
一覧表にあるのは
数ヶ月間での全体計画について
ここに書いてあるのが全て
今回の50個を使うわけではない
十分な数がないものもある
Q 早いところであればもう渡しているのか
A それはこれから
Q 早ければいつ
A いま決まっているのは
今週末からスプリング8で
X線の照射を始める
Q 日経
はやぶさプロジェクトチームはいつまで存在するのか
今後のリリースは個人の研究者が出すのか
A 川口
相模原にはキュレーション棟 そこに設備
その設備は汎用設備
将来 月とか彗星とか他の天体の試料を受け入れる
キュレーションのために設置した
はやぶさプロジェクトはユーザー
汎用設備ではまかなえない試料のハンドリング
例えばヘラを作ったりとか
プロジェクトとして支援することもある
しかし活動がだんだん一般研究になる
それは当然のこと
企画モノを無期限につづけるわけではない
ある時期から切り替える
国際AOまではプロジェクトが行う任務
それが終わったら一般研究になるのだろう
概念としてはそう
A向井
成果
あくまではやぶさのサンプルの代表的なものについて
カタログ化を行う
これははやぶさプロジェクトの仕事の一環
共同研究員
JAXAの仕事を一部分担する形
まずカタログ化のための分析
初めてのことなのでサイエンスの価値もある
サイエンスの成果
しかるべき科学論文として公表してもらう
従来の研究論文と同じ扱い
あくまでJAXAの成果になるので
しかるべきまとまったところで
みなさんに説明する機会をどこかで持ちたい
論文の時期はこれから
明言はできないが
3月上旬に
ヒューストン近傍で
月惑星会議
ルナー&プラネタリーカンファレンス
LPSCがあって
初期分析
日本では5月末
月惑星連合大会
そこで国際セッションを計画している
個別に報告
なんらかの形でJAXAとしてまとめたいが
決まってない
Q 読売
その発表というのは
研究者が学会でするのか
JAXAが発表するのか
一番最初に発表するのはだれか
A 向井
原則では
サンプルで得られた情報の知的所有権はJAXAが所有するが
分析を担当した研究者には優先する権利
学会での発表は従来と同じ
初期分析については
すべてJAXAの了解を得ることになっている
発表するかどうかは
ケースバイケースで判断
あありJAXAで発表しちゃうと
論文として投稿しても拒否されるので
Q なにか大事なことが分かったらJAXAでも会見?
A 重要な結果は
論文を出すと同時に出すのでは
一般論だが
Q 共同
計画について
必ずしも試料がいかない可能性?
A その通り
Q 今の時点ではどこに行くのか
A 大体は言えるが
分析の関係上
サンプルの移送方法が決まっていないものもある
そこには行かない
1~2月に行かないのは岡山大学
まだ打ち合わせ中だが
数ヶ月の間には確実に行く
最初の第1ラウンドの時には行かないだけ
Q 第1ラウンドの結果次第で行く行かないもあるのか
A あるかもしれないがはっきり言えない
Q 初期分析が終わる時期は
国際AOまでか
A 国際AOは今年の暮れには出したい
そのためにはカタログを公表しないといけない
応募するにはどんなかわからないと
公表するためには初期分析はあるところで区切り
数ヶ月というのはそういうこと
その前にNASAにある程度
全体の10%
全体を把握するのはかなり先だが
それまでにNASAに渡さないわけにはいかないので
約束だと1年なので6月
予定がずれるかもしれないが
Q NASAとオーストラリア
A はやぶさサンプルプレナリーエグザンプルチーム
全て日本で行われることになっている
そこにNASAとオーストラリアの研究者が加わる
サンプルが外国に行くことはない
Q NHK
表の見方
8つの区切りは
A 分析チーム
Q 8つの分析チームに配るということか
A そう
Q 50個の微粒子はA室のものか
初期分析の第1弾で全て使うのか
A その予定
これ以外にもあるが
Q 1,500個については回す予定は
A 全部ではないが
一部を回す予定
電子顕微鏡の中で操作可能なマニピュレータを
いま準備している これから試験
その結果次第だが
我々としては一部を初期分析に回したい
Q 何回か決まっているか
A 決まってない
Q 初期分析の終わり
前回は夏頃までと言っていたが
その理解でいいか
A 宣言をするかどうかは別にして
夏頃には公表できる準備をしておきたい
実際に公表するためにはいろいろ手続きが必要
どうやって
Q 全体の15%を初期分析にまわす方針に変わりはないか
A とくにない
Q 東京新聞
量として十分でないのは
有機物とか希ガスでいいのか
全体の重量 大体グラム
A トータルの重量は量ってない
サイズは平均5~60ミクロン
密度は大体2くらい はかってないが
測れないので
Q 有機物の分析に十分な量はあるのか
A そうは思ってない
十分でないかもしれない
Q スプリング8でX線CTをやってから各機関に配布するのか
それともそれぞれに
A スプリング8にまわさずに行くモノもある
例えば希ガス 全部高温にして希ガス
なくなってしまう
地球大気の汚染を予防しないといけない
これまで純窒素の中
その状態のまま運び出したい
それ以外にもスプリング8に行かないものはある
ものによっては行っては行く
Q 産経
分析の50個程度
イトカワの物質が特定しているのか
A 可能性が高いと考えているが特定してはいない
Q 目的としては判断するためもあるのか
A 1,500個のはたくさんあったので
はやぶさのリモセン結果と合致
それで判断した
今回は同位体分析
数が少なくても判断できるものはある
それが第1の目的
Q 今回の8チームの選択は公募か
A ずいぶん前
MUSES-Cのサンプル分析委員会が当時の宇宙研に作られた
委員長はクシロ先生?
そこでコンペをした
審判がレビューして
2000年と2004年だったかに2回
それから時間がたったので
2008年だったかに
JSPとペアになった形で
キュレーション&アナリシス委員会
C&A
最初に選ばれた人の中には定年になった人もいたので
追加したりした
A 川口
ジョイントサイエンスチーム JST
研究者の集まりがあって
その中にサブチームを作っている
国内委員会向けには
リカバリーキュレーションアナリシス RCA
国際的な科学者の集まりの中で方針を決めている
Q 時事
リストの試験
全部をやるためにどのくらいの微粒子があれば十分か
A たくさんあるほど精度はいいが
有機化合物は量がないと精度がない
簡単に答えにくいが
もともと非常に少ないと思っていたので
15%を夏までに全部できるとは思わないが
全部やらないといけないわけではないので
数については明言はできない
上野
それぞれの分析
数が多い方が精度が上がる
どのくらい初期に回すかは今後の進捗で判断せざるを得ない
Q 朝日
有機化合物の分析に回すのが難しいのは
ほかの分析が優先と言うことか
A 向井
有機化合物があるかどうか
まずはカーボンがあるかどうか
そういうものがある程度の数がないと
初期分析の判断は難しい
しかし電子顕微鏡の分析でカーボンのピークがなくても
そのときの感度が問題
ピークがなくてもカーボンが見つかった例はある
50個のうちの数個をやってもらうことはあるかも
いま候補を選んでいる
フローとしてはX線CTとか
ある程度ピークが出ればいくフローもあるし
なくても行くのが3~4個
相模原の電子顕微鏡で特性X線である程度は分析
過去の例
なくても有機物が検出された例がある
Q 共同
運び方について
どんな入れ物に入れて移動するのか
A 分析によって違う
X線CTのためには小さい針の上に載せる
それをクリーンな容器の中に
石英とか
希ガスの分析には大気に触れられないので
石英管の中に封入する
Q 方法は
飛行機、車
A 答えられない
Q 読売
外国人は8チームのどこに入るのか
A どこかのチームに参加している
それぞれ専門があるので
Q NASAへの提供
初期分析が終わらない段階で提供することもあるのか
A 同じような時期
メドがないと渡せない
Q スプリング8
3次元形状の分析か
A そう
Q NHK
スプリング8
いつからビームライン
A 21日
Q 初期分析は21日からと言っていいか
A 結構
Q ニッポン放送
状態が変わる分析
A 希ガスの分析
どうやってやるか
熱する 熱し方はいろいろあるが数千度に
岩石は全部ガスになる
いろんな成分を全部トラップで取る
最後に希ガスが残る その同位体を取る
Q ほかの状態が変わる分析法はあるか
A 最初の
放射線を当てる
ある程度変位させる
Q 山に例えると何合目か
A 川口
分析の結果を見ないと分からない
プロジェクトは国際AOで終わり
それだとすると
頂点に非常に近いところまで来ている
返ってきてからにすると
5合目? 6合目?
A 向井
目的がいくつかある
イトカワの進化、生成過程
宇宙風化とか
いろんな研究が始まる
A 川口
それからするととてもとても
カプセルを受領してからで言うと
半分くらいだと思う
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