JAXA記者会見、ALOSに電力異常が発生(速報版)

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月22日、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の電力異常について発表、18時半より記者会見を開催した。登壇者は、東京事務所に大澤ALOS2プロマネと滝口防災利用システム室長、筑波宇宙センターに本間理事と伊藤GCOMミッションマネージャ。以下に配布資料と取材メモを添付する。

大澤ALOS2プロマネ(左)と滝口防災利用システム室長(右)

プレスリリースはこちら

配布資料

<表1>軽負荷モード(LLM)に移行した際の詳細な運用状況

<図1>LLM移行地上位置

<図2>発生電力の経緯

ーーーー
本間

だいち
7:30ころ
急に太陽電池からの発生電力が低下
その後どんどん電力が下がってきている

伊藤から詳しく説明するが
電力を使わないモードにして
回復に努めたが
今日の4時前後に発生電力がゼロになった

今現在はバッテリでだいちが運用
バッテリの容量の限界が近づいている

かろうじて電波がでているが
次の運用
いま始まっているが
6:25からだいちからの電波を受信
最後の回復を試みている

太陽電池からの電力がゼロで
バッテリがそろそろ枯渇している

打ち上げから5年3カ月
みなさんに多く使っていただいた

大震災のさいにも緊急観測を行った
少しでも地震からの復旧に役立つように
我々も勤めていた

設計寿命が3年
目標5年ということで燃料も余分に積んでいたが
今日このような状況になった

ただいま鳩山での運用
まだ一縷の望みはあるが状況は非常に厳しい

大地をこれまで使っていただいた

国の内外でたくさんの人に使ってもらった
役に立ったと思うが
これからも期待されていた衛星だが
非常に厳しい状況

申し訳ない気持ち

同時に
長い間活躍してきた衛星が
こういう状況になったことは
残念に思う

ーーーーー
伊藤

経緯
運用中に

LLMに以降
異常を検知して
なるべく電池を使わないように

日本時間6:41に発生

つくばで受信
衛星は正常だった

6:41 ベルギー上空でLLM
原因は発生電力の異常

日陰
夜の状況から日向になって
2分20秒後
本来なら電力が出ているはずの状況

筑波の運用
運用者がLLMを確認

スペイン・マスパロマス
徐々に減少

筑波
電力が減少

勝浦
電力が減少

サンチャゴ
ここは日陰
HKDR1 データレコーダ
ここで異常発生時のテレメトリ取得

だいちの3つのセンサーのサバイバルヒータをオフ

最初は観測を止めて
ヒータ センサーの温度を最小限に保っていたが
このときはヒータもさらに切って電力を下げた

4:29
発生電力なじ

5:58
やはり発生電力無し

通常は8000Wを発電

LLMのところで
電力が大きく現象
3800Wまで落ちた
この時点で機器を安全なモードに移行

一度7000W超になったが
徐々に下がっている

9:00
3000W

12:00
2000~3000W

13:00前
0Wに

以降回復していない

ーーーーーーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 読売
太陽電池の状態

A 伊藤
設計寿命は5年としている

Q 太陽電池の寿命が切れているのか

A 徐々に電力が減ってきて
5年で尽きるわけではなく
なんらかの原因で大きく落ちたと思う
決して寿命ではないと思う

Q 太陽電池の異常か

A そこまで特定できない
太陽電池か関連する機器の異常ではないか

Q バッテリはいつまでもつのか
推定は

A すでにバッテリに入って長い
いつ途切れても不思議ではない

Q 途切れる前になにか地上に降ろすのか

A 異常発生時のテレメトリは取得した
今後も地上局が見えたらデータを降ろす努力をするが
正常に取れるかどうか分からない

Q 本体をどうするのか

A 本体についてはもうコマンドで制御できない状態

高度が徐々に下がって大気圏に突入して燃え尽きる

Q それはいつ

A 手持ちのデータはない

A 本間
補足する

バッテリの電圧は下がっているので
テレメトリは降ろせそうだが
地上からのコマンド
さきほどの運用では受け付けられていない

発生電力が下がっても長生きできるように
いらない機器を切って省電力で
それ以上
衛星本体に何かできないか検討しているが
まだ最終的に諦めたわけではないが
さきほどはすでにコマンドを受け付けていない

できるだけテレメトリデータを取得するように努力

そのうち大気圏に落ちるが
ALOSの軌道は高い
10年20年では落ちてこない

Q いつころ落ちてくるのか

A 伊藤
10年20年では落ちてこない

Q 時事通信
LLM移行の時間

A

Q 共同通信
どんな状態になったときに
運用終了を判断

A 本間
機器の異常が起こっている
寿命は設計寿命が3年
マージンをもたせて5年を目標

寿命で壊れたのかといわれれば
そうも見えるが

どこから衛星が壊れるものかというのは
事前に知ることはできない

寿命を過ぎた後にどの部分が壊れるか
予測は難しいがだいちの場合は
いま説明した場所から壊れた

いまちょうど鳩山局で運用
最終的にダメになったとは聞いていない
もうしばらく回復に努める

いつ機能を失ったかは
結果を見てから判断したい

Q 明確にこうなったら諦めるというのはないのか

A 衛星からの電波が来なくなった時点で
機能を失ったと判断する

Q 日経
機能を失ったら支障はあるのか
後継機もまだだが

A 後継機は2年後の打ち上げ予定
だいちのユーザーへのインパクトは滝口から説明

A 滝口
年々期待が広がっている中で
期待している人には申し訳なく思っている

何ができなくなるのかということは
今の状況からすると今後の観測ができない

大震災
政府等にデータを提供していたが
その観測ができなくなる

だいちがこれまでに築き上げた
センチネルアジアなどのネットワーク
世界の仲間がいる

災害に関しては
国際災害チャーターにお願いして撮ってもらう

我々には蓄積もある
協力活動をやっていきたい

だいち後継機が立ち上がるよう努力
その間は民間事業者から購入

A 大澤
ALOS2は設計を進めている
EMの開発がほぼ終了

これからPFMの製造が始まる

だいちの電力異常
これから原因究明
結果をALOS2に取り込むことが必要

Q 朝日
図2

このグラフはテレメトリからか

A 伊藤
そう

Q 電源系のショートなら急にゼロ
半日かけて落ちるのはどういうイメージ

A データを解析して突き止めているところ

Q 電源機器のオンオフはしているのか

A いくつかの機器の切り替えは試みた

Q それは通ったのか
通ったが効果がなかったのか

A サンチャゴまでは機器の切り替えには成功
それ以降は成功していない

Q ?(どっかのテレビ局?)
事故なのか寿命なのかはっきりして欲しい

電力異常がなければどのくらいまで行ったのか
何年ももつはずなのに
記事のトーンが変わってくる

A 大澤
衛星の開発の中では3年の寿命を設定した
それに対して5年目標を設定
5年分の寿命試験はやった
5年まではきちんと運用ができるだろうと
それに対して今回のような状況になっている

Q 十分寿命は真っ当したじゃないか
寿命でいい

謝らなくていい

A 滝口
確かに寿命は来ているが
後継機がなくてサービスを持続できないことに
謝りたい

Q 大震災での観測が大きな負担になったのか

A 原因究明の中で調査をしていかなければならない

Q 基礎的なことだが
だいちは地上700kmを飛んでいる
それで10年20年も飛んでいられるのか

A 高い低いはある
800km以上もあれば600km以下もある
だいちは真ん中かなと

高度500kmを切ると
格段に大気抵抗が増える

500km以上だと薄いがドラッグはある
それに押されて徐々に軌道を落として
最後には大気圏に

どうやって抵抗を受けるかは
衛星の形状によって違う

だいちは大きなパネル

もっと詳細に分析しないと
今後解析を
我々とは別のチームが行う

Q TBS
20年以上は落ちてこないと言っていいのか

A ざっくりとした数字しかない
10年以上という数字が妥当

Q NHK
質問が早いかもしれないが
これは意義があったというミッションを2~3上げて欲しい

A

1つは
防災の活動の中で一緒にやれたのが大きい
夜中にプリントアウトして届けたり
肉体労働を伴った
活動がかなり定着した
防災訓練もかなりやった
かなり認識してもらえた

もう1つは
国土地理院の地図
当初の目的

較正検証のなかで
地理院の要求にも一致

JICAの活動も

だいちによる地図作成に成功

Q だいちはJAXAにとってどんな衛星だったのか

A JAXA統合後にいくつか事故
信頼性向上して利用で成果を出す
だいちは最初からそれを意識した衛星

いま宇宙を利用だと言われる
その中で成功した衛星だと

ーーーーーー筑波

Q NVS
みどりとの関連

A 本間
関連があるのかどうかは
不具合対策チーム
私がチーム長になるが
1つの焦点になる

みどりのときはバタンと電力が落ちている
だいちは6時間くらいかけて落ちている

時間の流れから違うように見えるが
予見を持って入ると原因究明の目を曇らせる

Q 電源系 冗長系は用意されていなかったのか

A 伊藤
冗長系はない
機器もパドルも1系統

ーーーーー東京

Q 時事
大震災では何枚くらい撮影

A 滝口
400シーン

「だいち」の目 宇宙から写した世界の壮観・奇観
クリエーター情報なし
日経ナショナルジオグラフィック社
地球観測衛星「だいち」の目2 宇宙から地球を観る
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日経ナショナルジオグラフィック社

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